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金木犀と青空

今日は晴天だ。昨日までは曇りや雨が続いていたのに、それがまるで嘘だったかのようにきっぱり晴れている。
今日も曇っているのだろうと思っていた。後悔だった。もっと早くに外出していれば、もう少し健康的に居られたのかもしれない、やる気が出ていたのかもしれない、体がよく動く日になっていたかもしれない。
けれど、遅いなんてことはなかった。私は今日早起きをしたんだから。「気がつくのが遅いな」と思ったその瞬間でさえ、ただの正午であった。

食料の買い出しに行くため外に出ていた。私は幸せな気持ちで歩いていた。あまりの気持ちよさに「家に帰ってご飯を食べたら、また出かけるとしよう」とわくわくしていた。が、紫外線の強さと、この暑さと来たら。歩きたい気分ではあるものの、ずっと日のもとに晒されるのは嫌だな。そう考えてしまった。いや、でもいいのかもしれないと言い聞かせる。なぜなら私は今無一文に近い状態だからだ。この状態で外に出ても、図書館か公園にしか行くところがない。
図書館と公園を頭に思い浮かべた。公園は何もすることがない。一人でいてもつまらない。蚊に刺されるだろ、とも思う。すぐに考えるのをやめた。そうして自動的に図書館のことを考えた。最近「図書館に行きたいなぁ〜」と思っていたから、行くのもいいかもと思えてきた。けれど、今ここに本があるんだ。見たことのない聞いたこともない作者の漫画と、私の好きな歌手がおすすめしていた小説が届いてしまったのだ。これを先に読むしかないだろう!!他の本に目移りする暇はない。
そして何より図書館自体があんまり好きではないからだ。調べたいことがある時はいい。だが、特に何のあてもなく本を手に取り眺めるには、空間が整いすぎている。居心地の良さを「清潔さ」で出しているのだろうが、それが仇となり少しばかり居心地の悪い空間となってしまっているのだ。芸術を嗜むかのように本を読む時は少し雑多なくらいがちょうどいいのだ。整っていては落ち着かん。人が居ても落ち着かん。ならば家だ、となるわけだ。
図書館で借りるにしてもまたいつものように好きなコーナーへ行ってしまうだろう。それではなんの冒険にもならない。だが私は冒険の仕方を知っている。それはAmazonで本をありったけ調べることだ。ネットを使えば「パケ買い」というものが一番簡単に出来るのだ。表紙でなんとなく作風を掴み、気に入ったら買う。それだけでいい。普段読んだ事のない本を手に取るには、全ての本を、表紙から見たらよいのだ。

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