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高校生に読書のキッカケを作るには

先日『不読率』に関する記事を投稿した。

小中学生と比べて高校生になると読書をする人の割合が減る。(つまり不読率があがる)
しかしながら対象を高校生から16歳以上の個人に広げた調査では、更に不読率が増加したという結果をふまえ、高校生や若者に限らず、16歳以上の大人全体の不読率が高いと推測した。

私が住む地域の図書館では、中高生を対象としたビブリオバトルや、図書館員と高校生のポップ交換、図書館ボランティアの募集、10代向けブックガイドの発行等が行われている。
高校生に読書を届けるための工夫は、全国の図書館でなされているのではないだろうか。

ただ私が考えたのは、このようなイベントに参加したり、図書館のHPに自らアクセスするような人はそもそも図書館や読書に興味がある層で、おそらく不読者層ではないということだ。

1ヶ月間に1冊も本を読まない不読者層に読書のキッカケを作るには何が効果的なのだろうか。

文部科学省が発表した『国語力を身に付けるための読書活動の在り方』より下記に引用する。

特に小学校,中学校,高等学校と進むほど「読む本の冊数」が減るという状況は,国語力の育成という観点から,見過ごすことができない問題である。このことは,学校教育において読書が十分に位置付けられていないことや受験などのために子供たちに読書のための余裕が十分にないこと,大人の「読書離れ」によって,身近な大人が読書をする姿を見ることが少ないことなどに起因するものと考えられる。

国語力を身に付けるための読書活動の在り方 より

前出の「学校読書調査」によれば,学校や家庭で「本をすすめたり,本の話をしたり,読んでくれる人がいる」と回答した児童・生徒の割合は,小学校から,中学校,高等学校へと進むにつれて下がる。また,「何を読んだらよいか分からない」児童・生徒が多いことも同調査で指摘されているが,このような実態を踏まえて,学校では,個々の子供たちの状況に応じたきめ細かな読書指導を行っていくべきである。
 読書については,「本を読むこと自体が楽しい」という読み方を学校教育の中で教える必要があり,これまでの教育では,読むことの楽しさを教えることに失敗しているのではないかとも考えられる。さらに,学校教育の中で,なぜ読む必要があるのか,なぜ読んだ方が「生きる力」になるのかなどについて考えさせることも大切である。

国語力を身に付けるための読書活動の在り方 より

高校生向けの本の出版が1年間に150点ほどという現実があり,中学校,高等学校と進むにつれて本を読まなくなる背景には,そもそも読む本がないという面もあると考えられる。また,「易しく書かれた古典」のように,本格的な作品への橋渡しとなる入門書がそれぞれの段階に応じて作られていないのも実態である。関連して言えば,一般向けの本に積極的に振り仮名を活用することで,漢字への抵抗感をなくし,中学生や高校生にも読みやすくする配慮を出版関係者に求めることも考えられよう。
 しかしながら,中学生や高校生の読む本がないことについては,出版社の問題だけでなく,書き手の問題もある。子供たちの能力に合わせることのできる文筆力を持つ書き手が出てくるためには,本を読む中学生や高校生が少しでも増えて,需要が生まれる必要がある。そうすれば,出版社も関心を持ち,書き手ももっと出てくるものと考えられる。
 また,中学生や高校生が積極的に読書活動に取り組むきっかけとなるように,例えば,著名な作家や有名人に読書経験を書いてもらい公表するなど,読書活動の推進運動を展開していくために,関係団体との連携・協力の下,出版社や作家・著述家などの関係者への働き掛けも進めていくべきであろう。

国語力を身に付けるための読書活動の在り方 より

親が家庭で本を読まない為に、その子供である高校生も本を読まない。この理論は、16歳以上の不読率の高さを鑑みれば理にかなっている。

また、生徒たちが本を読むことが楽しいと思う体験をしたことがないという学校教育における読書指導の失敗、そもそも絵本、児童書、大人向けの本に比べて、ヤングアダルト向けの本の出版数が少ないこと、出版数が少ないから読まれない→読まれないから書かれない→書かれないから読まれないの不読ループが出来上がっていることも指摘されている。

しかし、思春期の子供達に親や先生が「本を読みなさい!」と押し付けるのは無理がある。下手をすれば、そのせいで読書嫌いになってしまう可能性すらある。

親が読書をするか否かも重要な要素であるとは思う。つまり、高校生の不読率を下げる為には、まずは親世代の不読率を下げる必要があるのかもしれない。
でも、私は読書や図書館利用は誰にでも開かれた権利だと思うので、各個人の家庭環境や親の教育方針に依存することなく、高校生が自発的に読書をしたくなるキッカケが、何かしら存在して欲しいのだ。

それを自分が作り出せたら...という願いも込めて、今後もこのテーマについて書きたいと思う。

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