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令和5年6月本会議での個人質問

令和5年3月31日、文部科学省にて「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)が取りまとめられました。
これまで不登校支援について様々お尋ねして参りましたが、コロナ禍を経て、小・中・高校の不登校児童生徒が過去最高の30万人に急増し、本市でも増加している状況において、改めて質問いたしました。 

不登校支援と子どもを育む環境づくり

① 不登校の要因について本市の見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 不登校の要因としては、無気力・不安、生活リズムの乱れ、親子の関わり方などが挙げられますが、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の影響により、学校行事や部活動の簡素化、外出機会の減少、家庭環境の変化など、児童生徒にとって生活リズムを崩しやすい状況であったことが、不登校につながったものと考えております。

②不登校の要因として、親子の関わり方とありましたが、子どもを育む環境づくりにおいて、昨今の状況からも親支援の重要性は更に高まっていると考えます。
 そこでお尋ねしますが、すべての子ども・子育て家庭に対し、包括的な支援を行う「はぐくみセンター」における親支援の取り組みについて具体的にお聞かせください。
 また、「はぐくみセンター」では全庁横断的な支援体制を構築しているとのことですが、従来からの改善点、及び市民のニーズに円滑に対応するための窓口体制についてお聞かせください。

〔答弁〕
 まず、はぐくみセンターにおける親支援については、心理職員による「心の悩み相談」や、親子関係の形成を支援するための「各種ペアレントプログラムの提供」、さらに訪問による「家事育児支援」や「ショートステイ」など、それぞれの子ども・家庭の状況に応じて必要な支援を行なっている。
 次に、はぐくみセンターにおける従来からの改善点としては、全ての妊産婦、子育て世帯の状況を把握したうえで、支援を要する子どもや妊産婦等については、センター内の各課の専門職等の担当者が一同に会して合同会議を開催し、支援計画(サポートプラン)の作成を進めています。そして、サポートプランに基づき、各課の支援サービスなどを有機的につなぎ、一体的な支援を行なっております。
 最後に、市民のニーズに円滑に対応するための窓口体制として、こどもに関する相談については、こども支援課に設置している「こども総合相談窓口」で一元的に、広く受付を行なっております。
 さらに専門的な内容を含む相談については必要な窓口につなぐとともに、アセスメントシートによる判定により、虐待等のリスクがある事案の場合は、こども安心課に引き継ぎ対応します。 
 ただし、緊急を要する児童虐待の相談や通告については、こども安心課において、直接相談を受け付け、重症度に応じて池田子ども家庭センターと連携して対応しております。

③ 昨年度モデル事業を終え、今年度から本格実施されている子どもの居場所・相談支援拠点事業の仕様として、週5日及び開設時間の拡充での不登校対応とありますが、どのようなものか具体的にお聞かせください。
 また、学校など関係機関との連携支援を行い、成果として、学校教諭との関係構築、情報交換の実施、子ども・保護者への「いこっとhome」の利用推奨とありますが、内容詳細を教えてください。

〔答弁〕
 子どもの居場所・相談支援拠点事業については「いこっとHome」という名称で南部地域を拠点に運営しております。
 食事の提供や学習サポートを中心に支援ニーズの高い子どもに、個別の課題に応じた支援を行い、不登校についても学校との連携のもと協働して支援にあたっているところです。
 「いこっとHome」における関係機関との連携については、事業に関するチラシを子ども・保護者をはじめ、学校などの関係機関に配布し、支援対象児童の利用につなげるとともに、必要に応じて関係機関との情報交換を行なっております。

④「いこっとhome」においてはチラシを学校に配布されているとのことですが、子どもの居場所運営者のお声には、学校が全く関知しておらず、チラシも配布させていただけないとあり、地域や学校、校長によっても差異が生じているのではと思われます。
 学校への事業周知強化の取り組みについて見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 市立小中学校が参加する会議や研修等で市内のこどもの居場所や本事業の周知を行うとともに、必要に応じてこどもの居場所と学校を個別につなぐ取組みなどを行うことで、引き続き学校への周知を図ってまいります。

⑤このような居場所は、子どもの内なる声に耳を傾け寄り添える重要な場となります。子どもの少しの変化に気づき、家庭環境や学校での様子にも触れることのできる居場所運営者の方々の存在は、保護者にとって大きな支えになっていると実感しております。
 そのように子育てを支援していただける方の発掘や育成が肝要であると考えますが、担い手の確保について見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 子どもの居場所の担い手については、こども居場所ネットワーク事業において居場所支援ボランティア講座を開催し毎年20人が受講しており、その後、主催者や運営スタッフとして従事しております。 
 また、SNSを活用するなどして、大学生・高校生のボランティアを募り、スタッフが必要な子どもの居場所に紹介しているところです。

⑥子どもの居場所ネットワーク事業「いこっと」のひとつ、曽根西センターで開催されている「みんなの広場」には多くの子どもたちが集まります。
 机を囲んで宿題をしたり、本を読んだり絵を描いたり、また、身体を動かして活発に遊ぶ子もいて、子どもたちが思い思いに過ごしています。まさに手作りの児童館といった雰囲気で、「いこっと」が目指す居場所の成功例といえるのではないでしょうか。 
 課題となるボランティア要員の不足には有償とするなど対策を講じ、このような居場所については多くの子育て世代の方々より要望のある児童館へと発展させていくことができればと考えますが、見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 子どもの居場所ネットワーク事業においては、多様な居場所が広く普及することをめざしており、それぞれの居場所の活動は、不定期に開催されるものや週2日以上開催されるもの、また空き家の活用や市有施設での開催など、開催頻度やその規模など多様であります。
 ご質問にあるような、児童館的な機能を帯びている子どもの居場所もあり、その頻度や規模によって運営スタッフの不足が課題となっていることは認識しているところです。
 一方、児童館については、児童福祉法に基づく児童福祉施設であるため、施設・人員配置等の基準に則った運営が必要となることから、転換は容易ではないものの、子どもの居場所には児童館的な過ごし場のほか、こども食堂や学習支援など、多様な形態があることから、その成り立ちや実施形態を活かしながら、それぞれの取り組みを深めてまいります。 
 あわせて、地域における子ども・家庭の相談支援体制としての居場所については、拡充を検討します。

⑦不登校支援における本市のこれまでの取り組み、また成果についてお聞かせください。

〔答弁〕
 不登校対策については、学校内外において、児童生徒に応じた支援策を講じているところです。 
 学校においては、教員が家庭訪問や電話などにより、子どもや保護者とコミュニケーションを図りながら学習支援や登校支援を行なっているのをはじめ、登校はできるものの教室には入れない子どもに対しては校内の別室で受け入れるなどのきめ細やかな対応をおこなっています。
 学校外では、青少年交流文化館いぶきを中心として、学校内外におかえる相談・支援体制の充実強化や早期発見・早期支援の徹底、創造活動や学習機会の提供など、不登校児童生徒の状況を踏まえた多様な支援に取り組んでいるところです。
 不登校児童生徒は、個人から集団へと様々な支援活動を経験することで、自己肯定感の醸成につながり、自らの力で自身の進路を判断するに至るケースも多くあり、学校といぶきの連携を柱とした多様な支援が一定の成果を挙げているものと考えています。

⑧夜間中学の在り方についてお尋ねいたします。
 令和4年3月本会議でのご答弁では、「学齢生徒を現行の夜間学級で受け入れるには、施設環境の整備をはじめ、法令に基づく不登校特例校に係る申請を行う必要もあり、受け入れることは困難」とありました。一定理解するところではございますが、令和4年開校の香川県三豊市の市立夜間中学のニーズ調査では、100人以上から「学んでみたい」との回答があり、また、不登校の小学生の保護者や朝起きられない「起立性調節障害」の子どもの保護者からも問い合わせがあったとのことで、夜間に学びの機会を設けることは不登校生徒にとって選択肢が広がり、以前、教育長のご答弁にありました「社会的自立に向けた多様な選択ができることは望ましいものと考えている」とのご意向にも沿うものと考えますが、見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 本市中学校夜間学級については、満15歳以上の義務教育を修了していない方、多くは年齢層の高い方の学びなおし、在留外国人の日本語学習を中心とした学級運営を行なっているところであり、不登校となっている学齢生徒を受け入れることは、現状においては、困難なものと考えております。

⑨夜間の学びの場について、もう一点お尋ねいたします。
 令和4年度にモデル事業として実施された放課後・土日の学習支援「マチ☆スタ」では不登校生徒の参加もあり、不登校支援の可能性が大いにあると考えます。
 また、運営実績をみますと夜間に行われていた庄内公民館での参加率が高く、それに伴い本年度の全校実施における時間については3分の2の中学校が夜間となっております。
 これらを踏まえ、青少年交流文化館いぶきと庄内コラボセンターでの自主創造活動プログラムを夜間でも実施できれば更に支援の充実が図れることと考えますが、見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 
青少年交流文化館いぶきにおける創造活動については、初回面談をはじめ、児童生徒の個々の状況を踏まえ、保護者懇談を通して今後の方向性を決定しています。
 また、社会的自立に向けた支援を行う上で、人との交流も重要な観点として捉えていることから、児童生徒の可能な範囲で、個人援助から他者との交流機会が、より増加する集団援助につなげているところです。 
 また、創造活動プログラムメニューの一つとして学習時間を設けたり、庄内コラボセンターまなびの場において、不登校児童生徒に対する学習支援に取り組んだりしているところです。
 一方で、放課後・夜間の学習支援に関しましては、公民館において放課後・土日の学習支援事業「マチ☆スタ」を実施しており、不登校児童生徒に対する支援の一つの選択肢として有効な取り組みであると考えております。その活動場所として、庄内コラボセンターやその他の公共施設の活用を検討するなど、不登校児童生徒も参加しやすい環境づくりに取り組んでまいります。

⑩ 文部科学省は5年前、不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方として、不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があると教育委員会等に向けて通知を出しました。
 学びの目的は社会的な自立であり、学校へ戻すことがゴールではないという観点より、また、平成 29 年度、公益財団法人よこはまユースが実施した「青少年期の体験活動・社会活動に関する実態調査」によると、青少年期の「社会体験」は、社会性が高く社会参加に意欲的な人を育てるとあり、校内でのキャリア教育はじめ、生徒自らが居場所としての校内カフェを運営するなど、社会体験ができればと考えますが、見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 
不登校傾向のある児童生徒の学校でのまなびの場として、ステップルームが運営されていますが、教科学習が中心となります。
 校内におけるキャリア教育としては、ボランティア学習、職場体験学習を行なっており、その参加支援に努めます。
 不登校傾向にある児童生徒自らの居場所としての校内カフェ運営については高等学校の事例が報告されるところであり、小中学校段階での校内でのキャリア教育、居場所づくりについては情報収集に努めます。

⑪文部科学大臣がCOCOLOプランに寄せたメッセージに、「不登校児童生徒が急増した背景の根底には、子供たち一人一人の人格の完成や社会的自立を目指すための、学校や学びの在り方が問われているのだと考えている」とありました。
 子どもにとって置かれる環境は成長に大きく影響するもので、文部科学省の提言にありますように、一生を通ずる人間形成の基礎として必要なものを修得する学校という場の影響は多大なものであります。
 また、同じく文科省が掲げる学校の目指す教育として、「“生きる力”の育成を基本とし、知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育から、子供たちが、自ら学び、自ら考える教育への転換を目指す。そして、知・徳・体のバランスのとれた教育を展開し、豊かな人間性とたくましい体を育んでいく。また、生涯学習社会を見据えつつ、学校で全ての教育を完結するという考え方を採らずに、自ら学び、自ら考える力などの“生きる力”という生涯学習の基礎的な資質の育成を重視する。」とあります。
 市内の、あるオルタナティブスクールでは、子どもたちが伸び伸びと個性を育み、子ども同士で問題を解決していく、自ら考え行動する力が育まれています。
そこへ通うすべての児童生徒は不登校となっている子どもたちで、入学当初は笑顔がない子どもいました。
 先日、生徒のひとりが出演するダンス発表会に行きましたが、舞台で生き生きと笑顔で踊る姿やチームの仲間と友情を築いている様子に、感動とともに子どもはあらゆる場所での様々な体験から社会で生きる力を育んでいることを改めて感じました。
 長内市長は就任以来、常に子どもたちの笑顔あふれる未来に向けた取り組みにお力を注いで来られました。所信表明におきましても、未来を担っていく子どもたちが夢や希望を持って元気に学び、成長できる環境を整えるのは、私たち大人の責務であると述べられました。まさに、すべての子どもたちが夢や希望を持って生きる力を育み、また、「誰一人取り残さない」学びの保障に向けた取り組みとして、不登校特例校の設置は必要不可欠と考えますが、市長の見解をお聞かせください。

〔市長答弁〕
 
コロナ禍の3年余りにわたり、日々の行動制限や教育活動の制限が余儀なくされましたが、そのような中でも、ひたむきに努力する子どもたちを私は心から誇りに思っています。
 一方で、コロナが及ぼした影響は大きく、不登校となっている子どもたちは大勢となっています。
 豊中市では、これまで青少年交流文化館いぶきを中心に様々な不登校支援に取り組み、国をはじめ多方面から高い評価をいただいております。しかしながら、現状を鑑みると、今後はこれまで以上に多様な教育機会の確保に力を入れる必要があると考えております。
 いぶきをはじめとする様々な不登校支援を充実するうえで、「すべての子どもの学びへのアクセスの確保」、この視点が大変重要となってまいります。
 その観点から、不登校特例校は通常の学校とは違い、個々の状況に応じた心理的ケアや柔軟な教育プログラムの提供が可能な「特別な学校」であり、豊中市にとって今必要な学校であると考えております。
 私は、この豊中で、子どもたちの誰もが夢と希望をもって、元気に学び、そして、成長できるよう、不登校特例校の開設にむけて、速やかに取り組みを進めてまいりたいと考えております。

意見要望

 子どもたちへの熱い思い、そして、「不登校特例校の開設」に向けての強い決意をお聞かせいただき心より感謝申し上げます。また、これまで常に子どもたちが健やかに育つための環境づくりを優先課題として御尽力いただきましたことに御礼を申し上げる次第です。
 不登校特例校は、生徒自身が授業を選択可能とする仕組みや校内に設けられたフリースペース・個別ブースなどでも参加可能とするための教職員体制の確保はじめ、設備や備品配置等の工夫が必要と伺っております。先進事例をしっかりと踏まえた上で、柔軟に対応いただけますようお願いいたします。
 また、特例校の申請手続等を経て開設されるまで時間を要するとあり、答弁にもございました様々な不登校支援にさらに努めていただくと同時に、文部科学大臣が述べられた今ある学校自体の在り方についても検討いただけますよう要望いたします。
 不登校特例校の名称は子どもたちの目線に立った相応しいものとするとございます。子どもたちが夢と希望を感じる名称となりますよう、そして、子どもたちが元気に学び、健やかに成長されることを心から願い、質問を終わります。




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