銀河鉄道999 3巻 第2話 人生は輝いていない時期の方が圧倒的に長い
「プロフェッショナル魂」
停車駅 思い出星
いよいよ3巻目に入りました。正確には前回の話の後半が3巻の第1話として載っていたのですが、細かい事はいいでしょう。
改めて読み返すと、999の旅は人が大人になるために必要な経験する旅なのだと思わされます。その中には自分も通ってきたもの、知らずにきてしまったものなど様々です。
これからもきっと楽しくそして考えさせられる出来事がたくさんあると思います。
今回のサブタイトルはプロフェッショナル魂です。みなさんはプロと言う言葉にどんな印象を持っているでしょうか。例の番組を思い出す人もいるでしょう。
しかし、もしかするとこの星をみてプロへの印象が変わるかもしれません。
思い出星に降りる前、メーテルは鉄郎に銃の手入れと、星の住民の目を見てはいけないと注意をします。
メーテルの注意はいつも物騒で、鉄郎以外の人であれば降りるのをためらうでしょう。
「人間の思い出というのは悲しくて・・そしておそろしいものだから」
街並みは火星のようなゴーストタウンです。そしてここから様々なプロフェッショナルが出てきます。穴掘り、鉄砲鍛治、漫画家。それぞれの専門技術はあってもゴーストタウンとなっている街を良くしようという人々ではなさそうです。
皆自分の仕事以外には興味はないようで黙々と自分の仕事をしています。
そしていつもの事ながら鉄郎が事件に巻き込まれます。投げ縄のプロに首をくくられたところを銃の早撃ちのプロに助けられ、目を見てしまうのです。
「おい お前、銃を吊っているな!」
早撃ちのプロに絡まれてしまいました。そこから延々と早撃ちの訓練が始まります。一回一回修正点を教えプロは鉄郎が致命傷になるところは撃ちません。
「勉強のチャンスはそうやたらにはない だから寸刻をおしんで学べ プロフェッショナルだけが宇宙の無法地帯で生きて行けるのだ」
言ってる事はまともですが初めて会った鉄郎に何を要求しているのでしょう。
ここで不思議なのがメーテルです。はじめメーテルはこの早撃ち訓練を黙って見ています。鉄郎も不思議に思っていますが、何度も倒されます。そしていよいよ限界となった時にメーテルが間に入ります。
そしてあっさりガンマンを破壊してしまうのです。
破壊されたガンマンは機械の身体であり、この星の人々は身体の99%が機械だそうです。しかし、そんなほぼ機械のガンマンを倒したあとメーテルは涙を流すのです。
プロは自分の仕事や技術に誇りを持っています。生きる意味そのものと言っていいかもしれません。99%機械の身体にしているのも技術の向上を目指しているためという理由もあるのでしょう。しかしそんなプロたちも必ず衰え世の中から必要とされなくなる時がきます。それは自身の衰えの時もあれば時代の流れもあると思います。
全身全霊をかけていればいるほどその時のショックは大きなものとなります。ここの住民たちはほとんど機械の体となり思考力もほぼない状態で昔の栄光が忘れられず「思い出星」に流れ着いたのです。
この残酷な状況は現代でもおきているのではないでしょうか。良い引退ができなかったプロたちの末路は「悲しく、おそろしい」ものだと言ったメーテルの言葉が思い出されます。それは長い時間を旅して何度も見たつらい出来事なのです。
「この星は戦いにつかれ・・仕事につかれて・・使い古された身体を引きずって旅路の終わりにやっとここへたどりついた男の住む星」
少年誌にこんなテーマを持ってくる松本氏はやはり型破りだと思います。漫画家という職業柄、同僚にはつらい引退をした人もいたのではないでしょうか。
しかし最後に少し希望を残してこの物語は終わります。ほとんどが途中で挫折する厳しい世界の中、メーテルはこの星にたどり着いた者たちはプロフェッショナル中のプロフェッショナルだというのです。これを聞けばこの星の人たちも少し気が安まるのではないでしょうか。
「プロフェッショナルの魂がさまよいつつ永遠に生きる星 人はその星を「思い出星」とよぶ その星はなぜかどんなに遠くからでも見えるという 宇宙を旅する男たちはその星を見て心の支えとするのだ」
日本のプロのみなさん!いつもありがとうございます!
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