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どうすれば恋人できるか
弟が高校1年生の頃のことです。
ある朝、弟が
「今日は平日や」
と言います。
私は「?」と思います。
確かに平日なのですが・・・
すぐに理解しました。今日はバレンタインデー。
弟にとっては特に何の変哲もない、ただの平日ということなのです。
モテない系の自虐ネタでは、弟の右に出るものはいないでしょう。
しかし!
弟にとって、この年は「平日」ではなかったのです。弟は陸上部で、先輩女子の方々から手作りのチョコレートをいただき…(まぁ、他の男子部員も平等にもらう、いわゆる義理チョコだったわけですが…)
嬉しすぎて、密かに自室の机に並べて、しばらく眺めていたと言います。先輩方は、美人で可愛い、とても素敵な方々だそうです。
後日、弟から次のように前向きな相談を受けました。
ホワイトデーも、男子部員から手作りでお返しすることになってるから手助けしてほしいと。
お菓子を作り慣れていた私は、事もなげに
「作っといたるわ」
と言いました。うちの台所は寒かったので、バターをどう扱うかとかありますし、私に任せてくれたらいいと思ったのです。
で、その日になって作っていると、終盤に弟が現れて
「ラッピングだけでも手伝わせてほしい」
と言います。
リボンや、ちょっとした造花、ポチ袋などなど、私はラッピングに使えるものを普段からたくさんそろえていました。
なかなか楽しい作業です。弟も「なるほど、これはこうするのか…」と、袋の口に造花を巻き付けたりする作業を、空前絶後の前向きさで取り組んでいました。
そして先輩方に渡すことができ、弟が渡したお菓子を見た先輩が「めっちゃラッピングしてるー♪」と言ってくれていて、嬉しかったみたいです。
弟の話が長くなってしまいましたが、本題はここからです。
タイトルの
どうすれば恋人できるか
は、毎日新聞の人生相談で、漫画家のヤマザキマリさんが回答していた記事の一つです。
22歳・男性からのこんな相談でした。
女性とデートした経験がない20代の男性が増えているようですが、僕もその一人です。
片思いをしていた女性から最近、インスタグラムのフォローを外されました。
原因は、突然に電話やメールを何度もしたことだと思います。
彼女との交際は難しいでしょうか。
また今後、どのように行動すれば恋人ができるでしょうか。アドバイスを下さい。
この相談に対し、ヤマザキマリさんは、このように回答されていました。
あなたと距離を置きたいという意思をインスタのフォローを外すという行為で表明したその女性を、再び振り向かせるのは難しいでしょう。潔く諦めるべきです。
あなたも気がついていますが、相手をおもんぱからず一方的にメールを送り続けるというのは大きな失態です。
場合によってはストーカー行為とみなされ、訴えられる場合もあるということを考えましょう。
恋愛という感情が芽生えたからといって、どんな情動や衝動も許されるというわけではありません。付き合う意思のない彼女をそれでも自分のものにしたい、というのは迷惑極まりないわがままです。
あなたはまず、恋愛をする以前に現代の社会における人間付き合いの常識というものをしっかり学ぶ必要がありそうです。
自分の一方的な希望的観測を成就させるために、自分が考えている筋書き以外の展開は許せない、という気持ちは人間にあらゆる負の感情を導き、恐ろしい判断をさせてしまいかねません。
戦争も紛争も、不条理な事件も、その発端はすべて相手が自分たちの思い通りにならないことが要因になっているのです。
好きな人ができたらどうやって自分を満足させるかではなく、相手の存在を尊重し、おもんぱかることを優先すべきです。
それが彼女を作る前にあなたが身に付けるべき必須の条件でしょう。
これ、私にも身に覚えがあって、けっこう刺さったのです・・・だから、記事を切り抜いて保管していたのです。
ちなみに、ヤマザキマリさんというと、漫画『テルマエ・ロマエ』の作者として有名です。この作品は映画化もされました。
私は新聞の人生相談でヤマザキマリさんを知り、彼女の著書『地球生まれで旅育ち』で、彼女が『テルマエ・ロマエ』の作者だと知ったのでした。