V17 為になる本『茶の本』第二章〜The Book of Tea〜
by 岡倉 天心(原著は英文。宮川寅雄氏訳)
第一章 人情の腕
V16 為になる本にて要約済み
第2章 茶の流派
茶の進化の歴史、日本においては茶は生の術で宗教
第3章 道教と禅
道教は審美的理想の基礎を与え禅はこれを実践的に。
第4章 茶室
茶室の簡素純潔、外界からの煩わしさから隔たった聖堂
第5章 芸術鑑賞
暗示の価値
第6章 花
花はわれわれの不断の友、形式派と写実派の存在
茶道とほぼ同時期に生まれた華道については、花の
位置づけにおける意味合いの違いを指摘し、茶道の
花を評価している。
第7章 茶の宗匠
利休の最後の茶の湯
読後感想
〜茶には、酒の持つ尊大さはなく、
コーヒーのような自意識もなければ
ココアのような気取った無邪気も無い〜
〜西洋社会での花の理不尽な浪費は、
東洋の生花の師匠の扱いにも増して
恐るべきものである。ヨーロッパや
アメリカの舞踏室や宴席を美しく
飾るために、毎日切り取られ、翌日は
投げ捨てられる花の数は莫大なものであろう。
もし、それをひとつに繋ぎあわせたならば、
一大陸を花輪で飾ることもできよう。
このように生命をまったく軽んずる・・・〜
このように全編に流れる西洋文化や哲学と
東洋文化・哲学の対比的に語られる民俗学的な
優位性については、天心の学んだ教育履歴、
東京大学から国への出仕等華々しい経歴、そして、
『茶の本』が発表された1906年前年における西洋の
大国ロシアとの日露戦争の戦勝の経験さえもが
底辺に強く有って、西洋との比較したい環境下での
著作であったと感じてしまう文脈には、いささか
容易に受け入れがたいものがあるのは私だけ
だろうか?
本書を通じて得た感想・成果は、
茶(煎茶・抹茶・だし茶)のもたらす自然な
やすらぎと茶の味の微妙な魅力を愉しむだけで
良さそうである。
もちろん、岡倉天心の見識、知見、知識の深さは、
茶道を拡げ、茶人を目指す人々にとっては非常に
有益な論著であることは論を待たないだろう!
2023年10月吉日 by kentakunte
『茶の本』第一章要約は下記にて