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2度目の就職の話 【薬局編 ③】

科長の退職間近の頃のこと、私は薬の分包機の使い方を彼女から教わり、一枠ごとにシートから直接錠剤を入れていってました。
私は慣れるとともに少しずつピッチを上げていきました。
その姿を見た桐島さんがひと言。
「この仕事楽しい?」
私は戸惑いながらも笑顔で、
「はい、楽しいです。」と答えると、
桐島さんは次の瞬間、
「楽しいって…。たこ焼き屋のほうが向いてるんじゃないの?」と答えたのです。

私はなんとなく違和感をおぼえました。
そして、その頃、内ドアを隔てて隣にいる受付の上村さん(仮名)が時々、薬局側に遊びに来ていたのですが、気さくな科長や母年代の桐島さんを慕う感じで他愛ない会話をされたあと、私には一瞥もくれず自分の持ち場へ帰って行かれたのでした。

そういや、入社以降、まだほとんど受付の人たちとは会話らしい会話をしたことがありません。

そんなある日のこと、受付と薬局の窓口は横から見るとちょうどお互いの姿が見えるようになっていたのですが、受付側から私と同じ年の岩橋さん(仮名)が唐突に声をかけてきました。
「好きな男性俳優は?」
「バージンなの?」
「彼氏はいるの?」
私は戸惑いながらも答えていくと、直後、隣で聞こえるように岩橋さんと上村さんのふたりが私の話題で盛り上がっていたのです。


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