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UIとグラフィックデザインは違うのか?

わたしがデザインを教える大学において、ここ数週間で来期のカリキュラムに大きな教育方針の変更がありました。

「広報はグラフィックデザインを中心とせずに、
デザイン教育はUI/UXを中心にシフトする」

まあ、聞こえのいい内容です。
この考えを受けて、DX時代の変化に沿う考え方だと受け入れられる点もある一方で、一つの疑問が沸きます。

「グラフィックデザインとUIデザインは、
そこまで切り分けられるものなのか?」

わたしはこのUIへの過剰は傾倒には違和感しかありません。
そこで、クリエイティブデザイン職に携わる多くの方々にも共通の疑問投げかけてみようかと思い、共有させていただくことにしました。


インターフェースの使いやすさ、情報の無駄のなさ、アクセシビリティの良さに重きをおかれる、いわゆる「人の動き」を「解答」として作りあげられるユーザビリティ主体のデザインが生まれてきています。UXの考えを機能させるUIデザインが昨今の「DX」の流れの中で加速度的に浸透してきているわけですが。ではここで「その他のデザイン」と見なされるグラフィックデザインは、果たして排他すべきものなのでしょうか?
私見ですがわたしは以下のように考えます。

「UI/UXは一つのデザインフィールドであり、それ以上にはなり得ない」

ではなぜか。理由は以下です。



インターフェースのデザインは、
「インターフェースの」デザインだからです。



ではいわゆる「インターフェース」のデザインから外れるデザインとは何かいわゆる「グラフィック」のデザインでなし得るものを以下に列挙します。

・キービジュアルデザイン
・デジタルサイネージデザイン
・デジタル広告デザイン
・看板デザイン
・ロゴ・シンボルデザイン
・ブランディングVIデザイン
・タイプフェイスデザイン
・展示グラフィックデザイン
・パンフレットデザイン
・ブックデザイン
・エディトリアルデザイン
・モーショングラフィック
デザイン
・パッケージデザイン

細かくあげてばまだ出せますが。。


以上のクリエイティブ思考が求めれるデザインにおいて、UIデザインがカバーできるフィールドがどれだけあるのでしょうか?

将来的にこれらがなくなる見込みが強いのであれば、わざわざ教える意味のないのは理解はできます。ですが。。

ついでにwikiのキーワードの意義もついでに調べて見ました。

グラフィックデザイン
グラフィックデザイン(英: graphic design)は、主として平面の上に表示される文字や画像、配色などを使用し、情報やメッセージを伝達する手段として制作されたデザインのこと。‥(wikipedia)

ここでは「平面」とうたわれていますが、昨今のグラフィックデザイナーは3D表現やモーション、動画編集も求められもします。その意味で極めて包括的な職能の総称であるわけですが、上記のリストのデザイン職能を保持する方々は、たとえアートディレクターやクリエイティブディレクターなど、役職の呼称は違えど保持する職能次第では「グラフィックデザイナー」とも言える場合もあります。


では、UIはどうでしょうか?

UIデザインでも取り扱う情報は、プログラミング要素を除けばグラフィックデザインと扱う情報に変わりはありません。

インターフェースでさえ、デジタル上の情報は「色」「サイズ」「空間」「文字」「記号」「画像」なわけです。
あとは「時間軸」や「動き」も入るのでしょうか。ただ、これでさえも上記に紹介した一部のグラフィックデザイン分野で必要とされる構成要素です。
ちなみにUIは、figmaやXDに始まるアプリの進化で、プログラミング知識を十分に持たなくてもできるものになってきています。

では一方で、

「UIデザイン」と「UIプログラミング」は違います。

それは「絵」を作る技能とそれを「動かす」技能の違いであり、これは切り分けて考えられるものだと思います。


余談ですが「ウェブ」デザインもインターフェースですが、業界ではUI/UXデザインとは切り分けて考えれるようです。noteのUI/UX系記事の多くに、webデザインは「装飾的」、UIは「機能的」と切り分けて考えれらるものを多く見受けれらますが、これにも違和感を覚えます。そこまでシンプルに分けられるものではないのではないかというのが私の見方です。装飾的なUIも存在しますし、機能的なwebデザインも当然ですがあります。作り方や考え方にそこまでボーダーラインを引けるものではなく、また使うアプリや技能も近しいため、この考え方には懐疑的です。



脱線しましたが、冒頭で述べた疑問に戻ります。



「グラフィックデザインとUIデザインは、
そこまで切り分けられるものなのか?」




この問いに対して、以下のことが言えるのではないのでしょうか?




「UIデザインも、
グラフィックデザインの一つのデザインフィールドである


いかがでしょうか?

もう今の現代のデザイン業界において「グラフィック」とはwikiのような「平面」だけを扱うという認識はむしろなくなってきているのではないかというのが私見です。

UIとグラフィックデザインが切り分けられない理由のもう一つに、
UIデザインにおいて一部を除いたグラフィックデザインの技能は必須です。
理由は上記でも触れたのですが、取り扱う視覚情報が同じだからです。

ここでいう一部というのは例えば、紙や印刷の知識に始まる「マテリアル」を扱うことに関するデザインノウハウです。これ以外はグラフィックデザインの技能がないとむしろ、インターフェースの枠を外れた場合に応用力の乏しいデザイナーになるのではないでしょうか。UIデザイナーならそれでいいのではと?言われてしまうとそれまでなのですが。。


次回ですが、
この「不毛」とまで言えるカリキュラム決定について、今度は
生徒の「多様性」という視点を持って語ります。

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