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2019センター試験の古文を、15分で解いた結果・・・【現役ライターの古典授業・番外編】
まずは高校生の皆さん、センター試験お疲れ様でした。
これから二次試験や、本命受験のための最後の追い込みをする時期だと思います。
とにかく体調管理に十分留意して、普段通りの力を出し切っていただきたいと思います。
(なお、2020年版はこちら↓)
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さて、私は普段フリーランスとして働いており、平日午前のみ、高校の古典教師として教壇に立っている人間です。
今年(2018年度)教えている生徒は高2以下なので、受験生の担当ではありません。
ただ「今年のセンター、どんなんやったんかな」というのはチェックすべきところなので、私も解いてみることにしました。
・・・が!
私に許された時間は「主人がこどもたちをお風呂に入れている間の15分間」という、超限られた時間のみ(笑)。
あかんやん・・・古文しかできんし、見直しもほとんどできん・・・
とは思いましたが、力試しもしたいので。
15分。
限られた時間を有効活用し、超特急でやりました。
バーッと解いて。
バーッと採点。
そしたら・・・
意外にも、満点でした。
・・・
・・・正直、私自身が、ちょっとビビりました(汗)
というのも、現役時代、古文で満点を取ったことはなかったからです。
現役時代と、今の私。
そして今年のセンター古文。
何がどう違うのか。
今回、私が解いた2019年のセンター古文に関して、考えられることは以下。
●何の緊張もプレッシャーもない状態なので、現役の高校生と圧倒的に置かれた状況が違った(これは当然)。
●2019年のセンター試験の古文が、易化した(実際、そのように分析している予備校もある模様)。
●ここ半年ほど古典ばっかり勉強しているので、高校時代より自分の古文レベルが上がった(そうかもしれない)。
●現役時代にはない解き方ができるようになった(そうかもしれない)。
どれが、どれほどの割合で当てはまるかは分かりませんが。
ただ現役時代、私もよく
「満点とる人の頭の中はどーなってんの!?」
と思った覚えがあるのも確かです。
そこで『満点とった人の頭の中』を開示する試みも含め、「センター試験の古文を、15分間でどう解いたか」を、自分なりに書いてみようと思います。
いざ、2019センター試験の古文を15分で解いてみる!
0.まずは、導入文を3回読んだ。(10秒)
センター国語の第3問、古文。
解くに当たり、最初に導入文があります。
第3問 次の文章は『玉水物語』の一節である。高柳の宰相には十四、五歳になる美しい姫君がいた。本文は、花園に遊ぶ姫君と・・・ (2019年センター本試験より抜粋)
なんてことない文章です。下手したら読み飛ばします。
でも、ここから物語は始まっています。
小説もそうですが、物語形式の場合、その世界観や設定、登場人物が頭に入らないと全然理解できません。
その点、ここの導入文は物語に入り込むための大事な踏み台。
私はこれをかなーり大事にしているので、3回読みました。
1回読んで、よく分からなくて、2回目読んで、なんとなくわかり、3回目で理解する感じ。
それから本文に入っていきました。
1.第一段落を読み、該当する問題を解く。→問1,問3(5分弱)
最初の段落。ざーっと読んでいく。
ふむふむ。狐が出てきて、姫に恋して、ご飯も食べずにやせ細っている模様。
(と、振り返れば、頭の中で「この段落、要はどういう内容?」と“まとめる作業”を段落ごとに入れていたと思う)
そして、まずは問1に取り組む。
なになに。「ア:しづ心なく思ひ奉りけるこそあさましけれ」の意味を、選択肢から選ぶ問題・・・
これは「あさまし」の意味で振り分けると、「驚きあきれる」が入っている2が最初に残るなぁ。
前半もよく合っているので、疑いなく2にマル。
ついでに隣の問題「問1 イ:いかにして」も目に入り、二段落ではあるが、解いてしまう。これは「なんとかして」の意味なので、これも疑いなく4。
さらに「問1 ウ:この人の御おぼえのほど」も目に入ったので解くことに。
「人の御おぼえ」が「寵愛」なので、これも疑いなく5。
(↑源氏物語『桐壺』の段で出てくる有名な語彙!)
・・・と、ここまで解いて、完全に問1は文脈よりも「語彙を知っているかどうか」という語彙力の問題だということを実感。
実際、問1に関しては語彙を知っていたら「本文に戻る」「選択肢を比較する」ような作業も大して必要なく、選択肢も迷わないと思う。
(逆に、語彙力が怪しいと選択肢の比較や本文に戻るような作業が発生して、時間ロスになる)
そして、第一段落は「問3 いたづらに消え失せなむこそうらめしけれ」の心情を尋ねる問題が該当する。
これは
・いたづら消え失せなむ→ムダに死んでしまう、
・うらめしけれ→残念、悔しい
なので、選択肢としては5が一番近い。
5の前半を読んでも「かなわぬ恋に身も心も疲れ切って」というのはよく合っているので、このまま5を選ぶ。
というように、問3のような心情を尋ねる場合でも、基本的には「語彙力」によって助けられている。
語彙力、強いなぁ。
飛ばした問2は、第二段落・第三段落にかかるので、ひとまず置いておく。
3.第二段落を読み、要約・解答。→問4,問5(5分)
第二段落は、狐が女に化けて別の家の養子に入り、姫君のおそばで宮仕えする展開(ここでも段落要約)。
問4は、「『つやつやうちとくる気色もなく、折々はうち泣きなどし給ふ』のはなぜか」という問題。
まずは、問いに答える前に、傍線部を訳す。
・つやつやとうちとくる→全く打ち解ける気配もなく
(ツヤツヤピカピカ、という意味かと一瞬思ったが、はっ、これは『つゆ~打消(全く~ない)』の副詞の呼応だ!と気づく)
・折々はうち泣きなどし給ふ→折に触れて泣くなどしなさっている
・・・という意味か。
じゃあなんで、女に化けた狐が泣いているのか。
その後の展開(姫君に宮仕えする)を「期待」して、ということだろう。
となると・・・5つの選択肢のうち、最後だけを見れば
「縁談を誘導する思惑」 →×そんな話じゃない
「~不満」 →不満という時点で×
「願いを伝えるきっかけを得られる期待」 →○あってそう
「心細さを伝えたいという願望」 →×心細さは伝えない
「~苦悩」 →苦悩という時点で×
ということで、3番目。
そう考えると、選択肢を選ぶ前に自分で解答を考えてから選択肢を見ていた気がする。
選択肢を先に見ると迷ってしまうので、自分で考えて、それに近いものをまず確保。
その方が、ムダに惑わされずに済むので。
問5も同様に、狐が女に化けた理由に関する問題なので頭の中の解答(宮仕えするために化けた)を持ってから取り組む。
ただ・・・問5で、ちょっと、つまづいたことがありました。
4.「あれ?こういうこと言ってたかも・・・」と、選択肢にまどわされる。(1分)
問5の選択肢は、非常~に長いです。例えば、
1)男に化けて姫君と結ばれれば姫君の身の上を不幸にし、両親を悲しませることになると思い、せめて宮仕えのできそうな美しい女に姿を変えてそばにいられるようにしようと考えたから。
長い! めっちゃ長い!
これでひとつの選択肢とか、考えた人凄いです。
本文を要約しながら読んできたので、頭の中に大体の話の流れは入っているものの、細部までは確認しないと分からない。
しかも、どの選択肢も大筋は合っている!(狐は姫のところに行きたい、という思いがあることを書いている)
そのため、「あれ?私がわかってないだけで、本当は本文に書いてあったのかも・・・」という不安がよぎる。
「あれ?縁談が持ち上がってたんだっけ?」
「天性の優美さがあるきつねだっけ?」
「噂が立ってたんだっけ?」
そして落ち着いて、それぞれの選択肢から「いらないエピソード」を見つけていく。
そして最終的にいらないエピソードがなく、本文に合致している1を選択。
5.最後まで読み、最終問題へ。→問2,問6(5分)
問2が残ってますが、敬意の方向に関する問題でした。
・尊敬、謙譲、丁寧のどれに当たるか
・誰が誰に話しているのか
上記が理解できれば解ける問題なので、ひとつずつ確認し、4を選択。
これは問題なさそう。
そして、最終問題。全体に関わる問題です。
これの選択肢はというと・・・
1)犬をおそれる玉水のために邸内に犬を置かせないようにするなど、月冴が嫉妬を覚えるほど、姫君は玉水を厚遇した。最愛の姫君と歌を詠み合うことに熱中するあまりに、周囲の不満に気づけない玉水の姿が描かれている。
ええ~~~問5よりも長い! 2文も入ってる! 長過ぎ!
これも惑わされそうになりつつ
「この選択肢考えた先生、めっちゃ大変やったやろなぁ・・・」
と、先生目線で見てしまう(笑)。
同時に
「長い選択肢にするときって、『本文に書いてあること』をいっぱい入れて、『明らかな読み間違い』をちょこっと入れて作るよな・・・」
と、作問者の裏側まで思いを馳せる・・・。
すると、
1)周囲の不満に気づけない →気づいてる
3)殿上人の存在、姫君の恋を応援 →してない
4)しつこく問い詰める、冷たい応対 →してない
5)苦しい立場を理解してない →してる
と、本文に書いてあった部分より『明らかな読み間違い』に焦点を当ててみたら、2が残る、という結果になった。
(※ただし、「本文に書いてある言葉を全部利用しているが、時間や順番が前後している」というひねくれた選択肢を作ってないかはよくよく注意)
2でも「秘めた思いを察した」「戯れる」あたりは、本文には明記されていない。
でも「明らかに違うとは言い切れない、微妙なライン」は間違いという根拠には薄いので、明らかな間違い×<△微妙なラインと天秤にかけても、2が残る。
よぉし、2だ!
(この辺で、時間切れとなりました)
まとめ。センター古文に取り組むうえで大事なこと。
今回、センター古文を解いてみて。
【基本的なこと】
・古文単語、めっちゃ大事!
(意味が分かっていたらほぼ惑わされない!もし高校生でこれを読んでる人がいたら、今からでも語彙を増やすのがいいと思う)
・単語の次は、助動詞や敬語、副詞の呼応をおさえておく
(副詞の呼応は穴になりやすい!見ておいて!)
【解答するにあたって】
・内容を要約しながら読み進める
・自分で解答を考えてから選択肢を見る
(選択肢は巧妙に作られているので、見ると迷う)
・長い選択肢は「絶対に違う間違い」を見つけることが肝要
(作問する側からすると「間違いの根拠」をつけないと正答の解説ができない。5つあれば4つは絶対に間違い文)
このあたりが肝だなと思いました。
センターの解き方に関しては、いつかもっとよく考えて、ちゃんと記事にしたいなとも思います。
(ただし近いうちに「新大学入試」になるのよね・・・そこも考えておきたいな・・・)
この記事も、いつか、誰かの役に立つことを願って。
受験生、高校生、頑張って!
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