ジャックと豆の木【読切超短編小説】
お爺さんは言った。
「これは、魔法の豆だよ。
計り知れない価値があるんだ。
どうだい。君の持っている
その牛と交換しないか。」
少年は答えた。
「いや、そんな話、
信じられない。
さては、あんたは詐欺師だな。」
お爺さん、大慌てになる。
「とんでもない。
そんなつもりは…」
少年は答える。
「通報するのは辞めといてやるから、
2度と俺に話しかけるんじゃないぞ。」
1人になったお爺さんは、
ため息をついた。
もっともこれが、
当然の反応と言うべきなのだ。
この豆は確かに本物なのだが、
その価値を本当に理解する人間は
どれ位いるのだろう。
また、仮に巨人の国へ
辿り着いたとして、
私のように金のガチョウを盗んで
大成功できる人間は、
もっと少ないのではないか…