苦手な専門教科をどのように対応するか

特別支援学級や通常学級でも支援が必要な子供たちの中には、苦手な専門教科がある場合が多いです。

専門教科とは音楽や図工、体育、家庭科など、週の中に何回かは入ってくる教科ですが、国語や算数などの座学の苦手さよりも、専門教科の苦手さは身体的、精神的にも拒否反応を示しやすく、その時間が苦痛になるほどの子供たちもいます。

ですから、国語や算数などで、苦手意識があっても、ある程度負荷をかけることもできますが、専門教科は無理にやっても、成長につながらないことがあります。

実際に私が担任をしていた子供たちの中で、どのような拒否反応がでていたのか、それぞれの教科に合わせてご紹介させていただきます。


【音楽】
◯楽器のが苦手
→ピアノの音、鍵盤ハーモニカの音、打楽器の音などの楽器の音を苦手としている子がいます。比較的CDの音楽や歌は、そこまで抵抗を示すことが少ないのですが、演奏や歌う音が、痛みを伴うようにうるさく感じて、耳を塞いでいる子がいました。

◯楽器の演奏
楽器の演奏は、指先を細かく動かす技術が必要になります。微細運動が苦手な子にとっては、ほとんど全ての楽器を難しく感じて、苦痛に思うことも多いです。

◯歌
声が出なかったり、出せなかったりする子がいます。話すことはできても、歌が歌えない。身体的なものもありますし、緘黙や気持ちの問題などもありますので、その時間はみんなと一緒に合唱がなかなか難しいところがあります。

◯リズム
リズムが取れずに、拍子が分からなかったり、全体に合わせて演奏や合唱ができないこともあります。自分ではなかなか気付くことができずに、周りの友達から指摘されたり、注意されたりして意欲が低下する場合も考えられます。


【図工】
◯想像できない
よく、「想像して作ってみよう」「イメージを膨らませて、考えながら描いていってみよう」など、抽象的な発問をされると、パニックになってしまう子がいます。
これは、本当に辛そうで、例えば、真似をして作ったり、キャラクターを描いたりすることはそこまで抵抗なく取り組めます。ただ、先生からの印象もあまりよくなく、手本があるものをよしとしていないことが多いので、図工の時間が苦痛になる子もいます。

◯道具を上手く(安全に)使えない
図工の道具は様々なものがあります。1番身近なものだと、のり、ハサミ、絵の具です。この3つが基本となるのですが、指先を使うことが難しいと、のりをつけ過ぎて、紙がシワシワになったり、ハサミで切ったところがギザギザしていたりすることが多いです。絵の具も色を塗るより、水をこぼしてそれを拭く時間の方が長くなってしまうこともあります。
また、ノコギリなどの危険な道具も安全に使いきれないことが考えられます。


【体育】
◯体が上手く動かない
体の動かし方が上手くいかな子もたくさんいます。走るとすぐに転んでしまったり、鉄棒などで握力がなく、すぐに落ちてしまったりと怪我につながることも少なくありません。

◯ルールが覚えられない
これも困っている子は多いです。体育はゲーム性を伴う運動も多いのですが、体はよく動かせるのに、ルールが覚えられず、友達から強く言われたり、覚えられない自分が嫌になったりしてしまいます。

◯気温の変化
体育は外で行うことがほとんどで、夏の暑さに弱かったり、冬の寒さにイライラしてしまったりと、体育をする前の段階で、気持ちが整わないこともあります。また身体的に、気温によって運動が制限される子もいると思います。


【家庭科】
◯調理実習ができない
身体的な理由で調理実習が上手くできない場合もあります。もちろんアレルギーはよくある例ですが、それ以外にも、嗅覚や味覚が過敏だったり、偏食だったりすると、匂いや味が受けつけないことが考えられます。

◯道具を上手く(安全に)使えない
先程の図工と同じことですが、家庭科でも、裁縫で針を使ったり、調理実習で包丁を使ったりと、道具を器用に使って、安全に活動をしなければならない場面が出てきます。
自分が怪我をするだけではなく、友達を怪我させる可能性がある子もいます。



これらの例はほんの一部ですが、私が実際に担任をしたなかで、専門教科に苦手意識を感じていた子の実例です。

もちろん、そのような子に無理に周りの同じ課題を行うことはよいと思っていません。一人一人に合わせた支援を行って、少しでも、苦手意識が薄れたり、そこを回避できるようにしたりして、成長につなげるようにしてきました。


中には、専門教科のことで上手く授業に参加できずに悩んでいる方、交流学習に、専門教科で参加する計画を立てている方など、様々かと思いますが、担任の先生との、参加のさせ方やその支援の方法などを話し合って、無理のないように、対応してあげないと、子供たちが辛い思いをしてしまいます。

実際にお子様から、どんなことで困っているのか、その原因をしっかりと見付けて、その情報を先生と共有してみてください。