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「原発は脱炭素化だ」と漫然と虚説を唱えてきた原子力村的な偽論,原子力エネルギーこそ地球環境を温暖化させてきた素因(3・完)
【前記】「本稿(3・完)」はつぎの2稿を受けている。できればこちらも読んでもらえると好都合である。
※-1「原発が温暖化対策にならない5つの理由」という説明
まずとりあげる議論の材料は,鈴木かずえ「原発が温暖化対策にならない5つの理由」『greenpeace』2020年11月14日という記述である。リンク先住所は,https://www.greenpeace.org/japan/news/story_45947/ となっている。
この説明は「この投稿を読むとわかること」を,つぎの5点を軸に記述されている。「本稿(2)」でもいくらか参考にした中身であった。なかには本ブログ筆者の勉強してきたつもりの諸点(「原子力・原発問題」に関したそれ)とは違和感を含む議論もあった点を,まえもって断わったうえで参照する。
要するに,鈴木かずえの議論そのものは「脱炭酸ガス・問題」論の主張・立場をそのまま鵜呑みにしたうえで,さらに先走るかたちで進められていたゆえ,この点にからまざるをえなかった〈問題性〉が,棚上げされていたというよりは,ほとんど問題として意識されていなかった。
しかし,そうしたCO2 問題にかかわる「議論の余地」が残置された事実)は,いったん留保しておいても支障はないと判断できたので,ともかくそのいいぶんに耳を傾けてみたい。
補注)なお,引照に当たっては文体や表現について原意は崩さないように留意し,本ブログ全体における「論旨・流れの統一性」を維持する工夫をしている。
まず,つぎの諸項目が目次に立てられていた。
1. 省エネと自然エネルギーがますます遅れる
2. 原発はすぐ止まる
3. 原発も温暖化を進める
4. 気候危機回避に間に合わない
5. 原発は持続可能じゃない,2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロにするには
a) 2020年10月26日,当時の菅 義偉首相が「2050年までの二酸化炭素(CO2 )排出実質ゼロを宣言した」。しかしながら,その具体策は(相変わらず)原発を再稼働させることでしかなかった。
世界をみれば,東電福島原発事故発生後に多くの国が脱原発に舵を切っていた。本当に2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを実現するためには,原発は動かさず,省エネと自然エネルギーの利用によるCO2 排出実質ゼロをめざさねばならない。
なぜなら,原発はそもそも温暖化対策にはならないからで,その理由はたくさんあるが,その主な点が前記の5つであった。それぞれ追って説明していきたい。
1. ますます遅れる
二酸化炭素削減を原発に頼ることで,二酸化炭素排出ゼロのためには欠かせない,省エネの促進と自然エネルギーの拡大がますます遅れることになってしまう。
補注)いきなり最初から異論を提示する。「本稿(1)(2)」をすでに読んでもらった人であれば,こうしたCO2 に対する理解は,いってみれば「地球環境史」⇒「太陽系史」⇒「銀河系史」⇒「宇宙史」と表現し,それこそ,宇宙の全容に迫れる観点を用意したうえで,地球全体的・宇宙統合的な分析を試みるべき必要を「ひとまず考慮外にしていわれた」ような,いってみれば,そのまた以前の段階における認識であった点を指摘しておかねばならない。
前段の指摘は「本稿(2)」の最後部にまで論旨が進行したところで,そうした問題意識の基本は「脱炭酸ガス」にあったと解釈されてきたわけで,「ちまたでは」この論点に対して解決の方途が開けれさえすれば,地球環境問題の大部分がただちに解決しうる」かのように考える立場が,大勢を占めていた。その考え方そのものに疑問がもたれていなかった。
しかし,以前,アメリカの副大統領であったアル・ゴアが『不都合な真実』(日本語訳は2007年公刊)を公刊してからはとくに,炭酸ガス問題を金儲けの道具にするといった「環境問題に接近する方法論」が世界中に浸透していった結果,この問題の本質が「本来」どこにあったかという論点が,あたかも宙に浮く顛末になっていた。
以下には,【アマゾン通販による参考文献】で,アル・ゴアの本を紹介しておくが,まともでありたい科学的な認識に即していえば,炭酸ガス問題を営利問題に直結させて,ビジネスに仕立て上げたゴア流の方法論は,邪道どころか,反科学的の思考でしかありえなかった。
〔記事(鈴木かずえ)に戻る ↓ 〕
原発は事故の危険とつねに隣りあわせであった。東京電力福島第1原発事故では,事故発生から10年近くが経ったいまも,数万人が避難生活を強いられている。核のごみ(高レベル放射性廃棄物)は,数万年も隔離する必要があるが,いまだにその方法〔保存のかたち〕も場所〔最終処分場〕も決まっていない。
それにもかかわらず,原発をCO2 削減の対策に当てるという間違った解決策のために,いままで,多大な金銭と長い時間,そして国家からの支援も注ぎこまれてきた。それではかえって,「省エネ」と「持続可能で安全な自然エネルギーの拡大」を進めるという,有効で必要な政策を遅らせる原因になっていた。
補注)「原発⇒炭酸ガス削減に有用」という観点は,基本から錯誤を犯していた。本ブログ筆者の場合,槌田 敦の説明(批判)を借りて説明することが一番手っ取り早いと判断し,ここではたとえば,つぎの図解を借りて示しておきたい。また,室田 武の関係する図解も併せて参照する。いずれも本稿の議論に直接関係する図解であるということで,紹介する。
![](https://assets.st-note.com/img/1738183596-nKki13W6ZbqsEHeMUtcdISBX.jpg)
以前は「出さない」といったり
「少ししか出さない」と奇妙に変節しつつ説明してきた
原子力村の立場の「奇っ怪なる弁説」を粉砕する
![](https://assets.st-note.com/img/1738183620-KlWLme9vHG1BTOEJX3Fy0YNb.jpg?width=1200)
室田武『エネルギーとエントロピーの経済学』(1979年)である
かすれてみにくいので書き出しておく
室田 武の図解は,炭酸ガス問題は地球次元における問題からだけでなく,太陽系にまで遡及する議論の余地を教示した。ただし,室田 武『エネルギーとエントロピーの経済学-石油文明からの飛躍』東洋経済新報社,1979年は,原発との関連でその問題を討議したのではなく,石油問題とかかわらしめた議論で原発問題そのものをとりあげた本ではなかった。
そのあたりの問題に関する討議は,後段であらためておこなうことにし,鈴木かずえの文章に戻ろう。
〔記事に戻る→〕 日本には,40年も前の1980年の省エネ基準でつくられた,断熱されていない,機密性も低い建物が多くある。自然エネルギーも,太陽光は飛躍的に増えているものの,風力や地熱利用はなかなか増えていない。二酸化炭素削減策を原発に頼らないと決めることで,省エネも自然エネルギーの普及も進むことになる。
補注)ここでは,「二酸化炭素削減策を原発に頼らないと決めることで,省エネも自然エネルギーの普及も進む」といったふうに,「CO2 」対「原発」といった「二項関係的な図式」が肯定的に関連づけられているが,こうした方式の問題理解そのものが,実は的外れであった。
原発(原子力)も二酸化炭素削減策になりうるエネルギー源だと,完全に間違えて理解した点は,かなり深刻な事態である。原発(原子力)の本質問題にかかわって,そのような間違いが基本点として指摘されねばならないとしたら,これは,前段で触れた「アル・ゴアの本」に悪影響を受けてしまったせいか,あるいは,当初から原発の技術経済的な特性を不十分にしか認識できていなかったせいだ,と解釈するほかない。したがってとりあえずは,鈴木かずえだけを格別に批難することはできない。
〔記事に戻る ↓ 〕
2. 原発はすぐ止まる
原発は,トラブル,不祥事,裁判,自然災害などで計画どおりの運転ができないことがよくある。そのたびに,不足分を補うために火力発電を動かすことになっていた。また,トラブルがなくても,約1年ごとに,定期点検を行うために,3カ月程度運転を停止する。その間のバックアップのために,原発が増えるとともに火力も増やしてきた。
原発に頼ったばかりに,逆に二酸化炭素の排出が増えることになってしまったのです。
補注)ここの点については「本稿(2)」参照したつぎの図表を,再度出しておくのが好都合である。脚注に書いておいた文章もそのまま,こちらでも紹介しておこう。
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その後この種の「真っ赤なウソ」はいわなくなったが
「少ししか出さない」などといいかえてきた
ところが最近また稼働している原発は
炭酸ガスを出さないなどと食言しだす始末で
肝心な問題のところに関する発言がコロコロ変わっていた
この変化じたいが不信感を抱かせた
いま〔2020年中の指摘〕,日本には33基の原発がある。そのうちの14基は,稼働から30年を超える老朽化した原発である。古くなればなるほど,不具合も増え,再稼働したとしても発電は不安定になる。
たとえば,関西電力が所有する高浜原発が,老朽化したそのたぐいの具体例として挙げられるが,昨年2024年秋に報道されていた関連するニュースを紹介しておく。
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大事故を起こしたら誰が責任をとるのか?
というよりはヘタをすると東電福島第1原発事故を上回る
大事故の発生が絶対に起きないという保証はない
50年経った自動車を日常業務的に乗用や貨物運搬用に供する
会社企業(運輸・交通業)などあるまいに
なぜ原発となるとこのように特別あつかいできるのか
「摩訶不思議以上の奇っ怪」そのもの
だが要はこの原発がもしも「それこそ事故って大事故」を起こしたら
その時どうなるか考えていないのか?
33基の原発のうち,東電福島第1原発事故の後につくられた原発の規制基準で,運転を許可された原発は9基である。しかし,四国電力の伊方原発3号機が裁判で運転差し止めとなっているほか,不具合などで定期点検を終了させることができない原発もあり,2020年11月14日現在,九州以外で動いている原発はない。
補注)なお,ほぼ最新の原発稼働状況がこの図解・地図。
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実に恐ろしい日本原発事情が進行しはじめている
3. 原発も温暖化を進める
原発も発電のしくみは火力と同じで,お湯を沸かしてその蒸気でタービンをまわす。原発の燃料のウランは,核分裂による熱でお湯を沸かすので二酸化炭素が出ない。
補注)ここの説明は不正確である。原子炉の内部の仕組みの問題としてではなく,それをとりかこむ設備・装置・機械の全体を動かすためには,それも外部から送電してもらってもいる必要があるのだから,原発の稼働中にかぎっては炭酸ガスを出さないというのは,完全なる誤謬であった。前掲した図解をもう一度よく観察してほしい。
〔記事に戻る→〕 けれども,燃やした後は使用済み核燃料となり,数万年,環境から隔離しなければならず,その設備の建設,維持している間も二酸化炭素は排出される。
これは,前段の「補注」にこのまま連結できる説明になる。前段のその説明からこちらの説明まで,「一連の炭酸ガス排出事象として連続していた」事実に注目しておくべき必要があった。
〔記事に戻る→〕 もう一つの問題は「温排水」である。原発では燃料を冷やすために海水を使う。その水は温まってしまい,これを海に捨てている。その水は冷却のために引き入れたときよりは,7度〜10度温まった状態で棄てられる。
そのために海水温は上昇してしまい,排水口付近の生態系に影響を与えている。また,その水は温まっただけでなく,化学物質や放射能が含まれ,海水温の上昇にくわえて,化学物質と放射能も生態系に影響を与えている。
補注)この段もさらに要説明であった。原発が立地する沿岸の海域だけに対する悪影響,自然環境に対して海水の温度を人為的に上昇させるそれは,ただ単にその沿岸地域だけでなく,そのエネルギー総量が地球環境の温暖化によからぬ影響をもたらしている。
その事実はやはり「本稿(2)」で関説,説明したところなので,ここでは繰り返さないが,原発の付近・周辺地域にのみ関心を向ける温暖化現象へのその影響を考慮するだけでは,問題の核心には迫ったことにはならない。
〔記事に戻る ↓ 〕
4. 気候危機回避に間に合わない
原発は,計画から稼働開始までとても長い期間がかかる。気候危機はまったなし。壊滅的な気候変動の被害を避けるために,二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を,できるだけ早く,大きく減らすことが重要である。
補注)原発の建造期間は10年間として考えておくと,その間もそのほかすべての設備・装置・機械と同様に,その工事中において炭酸ガスを排出する作業が進行していく。
ましてや廃炉になった原発を管理していく,いわば廃炉工程になると炭酸ガスの排出は,本格的な技術経済過程を形成することになる。この程度の事実は,あえて詳説するまでもなく明快に感得・理解できる現象である。
〔記事に戻る→〕 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は,人間が暮らしつづけられる気候を保つためには,まずは2030年までに現在の二酸化炭素排出量を半減する必要があるとしていた。つまり,この10年が勝負になっている。
補注)今年は2025年であるが,このように2030年までというふうに時期を切った「二酸化炭素排出量の半減計画」は,すでにその「勝負所さえ置き去り状態にしていた」と解釈するほかない。
たとえば,日本国の経済産業省エネルギー庁は,「2030年をめざしていたはずの日本における原子力が電源で占める比率」を,2040年にまで順延さえるという小手先の操作をくわえていた。
同庁の理屈にしがたえば,それでは脱炭酸ガスのための「目標先延ばし」を意味する。だが,それでもあえて間延びさせる便法を駆使し,脱炭酸ガス問題を目先だけでは,はぐらかしておこうとする措置まで講じていた。
〔記事に戻る→〕 原発は計画から稼働開始まで長い時間がかかる。たとえば,日本で1番新しい原発は2009年12月に運転を開始した北海道電力の泊原発3号機である。
北海道電力が,泊原発3号機の建設のための準備について,泊村に申し入れしたのは1996年でった。工事開始は2003年。申し入れから完成までに13年かかっていた。
現在建設中である電源開発の大間原発の着工は2008年であったが,完成は「未定」である。すでに大きな被害をもたらしている気候変動。この10年でCO2 を半減しないと間に合わない5原発は持続可能じゃない。
補注)ここの議論(批判)の見地もまた,大幅に問題意識がズレている。鈴木かずえは,原発をCO2 削減対策に役立たせられるかのような前提で議論をしているゆえ,ここでの論法は二重にズレていた。
つまり,原発の新設が長引くから「炭酸ガスの排出量が増える」という「正しい理解」と,原発が稼働しはじめれば「炭酸ガスの排出を減らせる」という「間違えた理解」が,まるで無理やりに二重奏しているかのごとき論旨になっていた。
〔記事に戻る→〕 原発は,通常運転でも大量の放射能を海や大気に放出している。またその運転は,原発で働く人びとの「被ばく労働」が前提になってもいた。
5. 原発は持続可能な発電方法ではない
原発に過酷事故が起きれば,被害は甚大である。
東電福島第1原発事故では16万人以上が避難し,発生から10年になった時点でも4万人が避難生活を余儀なくされていた。
溶けた〔溶融した〕核燃料--そのほかの原子炉内の構造物もついでに巻きこんで溶融された成分も含めてデブリという--に触れた汚染水は100万トン以上。事故対応に要する金額は,総額で81兆円との試算もあった(廃炉・汚染水処理で51兆円,賠償で10兆円,除染で20兆円:「日本経済研究センター」試算)。
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2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロにするには,それでは,どうやって,二酸化炭素排出を実質ゼロにすればよいのか。ここで,実際に2050年二酸化炭素排出実質ゼロのためにつくられた「長野県気候危機突破方針」をみてみたい。
補注)引用中の本文をつづけて紹介する前に,つぎの経済産業省エネルギー庁が2030年目標として,提示していた電源構成比率を参照する。この中身を,以下につづく記述内容と比較してみるとよい。
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この程度にしか示さない再生可能エネルギーの比率となれば
これは手抜きといわれて当然
まずは省エネ。使うエネルギーを3割に〔減らす〕
(上掲の経済産業省エネルギー庁の2030年度目標は,直近に示された予測〔の主張〕だと,半導体産業やAI事業の拡張にともなう需要を読みこむつもりで,増加を予測していた。だが,節電に向かっていく趨勢は無視しがちであり,偏った予測を出したがっていた)。
つぎに,再生可能エネルギーを3倍以上に増やしたといっても(経済産業省エネルギー庁のそれは「36~38%」だから),基本姿勢としてどだい消極的だとみなされざるをえない比率である。
つぎの統計図表は,2023年の「世界18カ国比較」からなる「国別の電力-電源構成」比率である。石炭資源をすでに切り捨てた日本が,中国やインドとたいして変わらない程度にしかならない「再生可能エネルギーの電源比率」であったという事実は,この電源比率がとくに,ヨーロッパ諸国に比較していちじるしく劣り,低いことを物語る。
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2040年度ならば追いつけるかもしれないという企画になっていた
すぐあとに挙げるが経済産業省エネルギー庁が
2040年向けに作成した図表を参照したい
はっきりいって,日本の「20~22%」という再生可能エネルギーの電源比率は,だらだらというか嫌々に,2030年にまで先延ばしにもしてきたものだったから,関連して経済産業省エネルギー庁が公表していた報告資料は,以下に参照するように「再生可能エネルギー」の電源比率を「4~5割」にまで引き上げることになった。
しかし,その電源比率は,前段に示した「国別の電力」(電源構成比率)に登場していた「2023年」におけるヨーロッパ諸国などの電源構成比率に,ようやく追いつくかどうか,という程度に留まっていた。
その間にある「15年間という期間」の『差としての介在』は,再生可能エネルギー導入比率の遅滞を,それも,これまですでに提示されてきた「2030年目標値比率」は,ひとまずすっ飛ばし,忘れておきたかったかのように,つまり,適当に「ごまかしてアイマイにしておきたかった」かのごとき魂胆の表象のように,明白に浮上させていた。
とにかく,なんといっても「原発の比率を2割程度」にまで上昇させていく点が目玉になっていた。
それにくわえて,「2040年度目標」をひとまず先延ばし的に設定しておいたからか,電源別の区分総計「発電電力量」の上端部分は《実線》ではなく《段々模様》(ボカシ模様)に作図してあった。
これは「予測である点」を理由にしたつもりなのか,そこには,なるべく「明解な電源比率」の区分が入りこまないようにする工夫が,この「火力3~4割程度,原子力2割程度,再エネ4から5割程度」という,アイマイな比率表現に注入されていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1738195394-PpcOWxYu1L9ag0sfMdKCDEjV.jpg?width=1200)
1~2割増えるかのように記入されているが
これは経済産業省エネルギー庁の見解(主張・予測)であって
絶対的な根拠はない
というのは「そのようには増えない」と予測する見地もあったからである
原発の比率を増やすことにしか脳細胞を回転させようとしない立場が同省同庁の立場
〔記事に戻る→〕 長野県の計画では,これで2016年度の総排出量1,450万トンのCO2 を2050年度までに実質ゼロへ。7割減なんてできるの(?)と思うかもしれない。
〔でも〕長野県のシナリオをみていほしい。(以下,長野県の資料に依拠した記述となる)
長野県では,ソーラー,小水力,バイオマス,地熱での発電にくわえ,太陽熱,バイオマス,地中熱という熱利用も試算にくわえてある。
◆ 次期戦略における政策体系(案)2020年4月1日 ◆
![](https://assets.st-note.com/img/1738197223-Tj1x5Znb4dtqCXL2lihKe8AW.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738197244-jQTncPGrYNteq2hu84xIVRSE.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738197268-wKTkNCXI7R5pxd41EmGV3LPh.jpg?width=1200)
自然エネルギーはあくまで「持続可能な」自然エネルギーでなければならない。だからこそ,まずは徹底した省エネが大事となる。
それでも,ものを燃やせばCO2 は出る。実質ゼロにするためには,二酸化炭素を吸収してくれる森林を増やすこと,海洋,土壌を守ることが大事である。
私〔※-1で登場させた文章の書き手〕は,二酸化炭素排出実質ゼロは,歩いて楽しめるまち〔街〕,省エネリフォームや自然エネルギーの活用で地域での仕事,雇用が生まれ,元気になるまちを思い浮かべる〔という〕。
「省エネと自然エネルギーによる温暖化対策で,ぜひ,そんなまちをつくりましょう」と唱えていた。
もっとも,都道府県の次元と日本全体におけるエネルギー政策は,そう簡単には同一路線には乗せられない。けれども長野県のこうした方途は,国家単位の次元では実現のむずかしい課題に,かえって率先して取り組み,成果も出せる可能性があるから,過小評価は禁物である。
なお長野県はつぎの構想も公表しているので,参照してほしい。さらに高次元から広範な課題にとりくむ意欲を明示している。ただし「温暖化原因説」としての二酸化炭素説に言及している点は,問題ありということで,留保が必要である。
7) 参 照:グリーンピースのブックレット『原子力は地球温暖化の抑止にならない』の紹介。
原注)東電福島第1原発事故が発生してから10年目となる2021年3月11日,ドイツ環境省は声明を発表した。(以下は『声明 グリーンピースによる日本語仮訳)
ドイツは,東電福島第1原発事故発生前,原発の運転期間の延長を認める予定であった。だが,事故発生後に運転期間の延長を止め,脱原発を決めた国。東電福島原発事故発生後にあらためて脱原発を決めた国はドイツ以外に,スイス,台湾,韓国,ベルギーがある。
補注)韓国は大統領が文 在寅から尹 錫悦に代わってからは,原発推進策の再度戻った。つぎの『時事通信』の記事を参照してほしい。
声明の中で,ドイツのシュルツ環境大臣は,原発のリスクをなくすためには,自国の脱原発だけではなく,地球規模での取り組みが必要なことを強調していた。気候変動対策を原発に依存することは大きな間違いだと断言していた。
そして,原発は,もっとも高くつくオプションであり,さらに永く残りつづける核廃棄物を生むとして「それは持続可能からは程遠い。とくに,再生可能エネルギーがより安く,より安全で,持続可能なオプションとして利用可能なのだからなおさらだ」と結んでいた。
※-2「地球環境系⇒太陽系⇒銀河系⇒宇宙系」という天体全体におよび環境科学的な認識にもとづくエネルギー問題の吟味
「本稿(2)」で触れたように,この「地球環境系⇒太陽系⇒銀河系⇒宇宙系」という天体全体の『網の目』のなかで,実は,地球温暖化の問題は理解され,その核心を捕捉しつつ,これからの対策をどのように考えるかに,問題の対象がひかえていた点を,それほどくわしくではなかったが,いちおうはごく簡潔に言及した。
その「本稿(2)」ではつぎの画像を借りて,含意する点を示唆しえたつもりである。
![](https://assets.st-note.com/img/1738211415-jRYs3E8SCXOz9pyqIhaKVrLW.png?width=1200)
1) 産業気象研究所編『図説・産業と気象』日刊工業新聞社新聞社,1971年という本。
この本は「経済は天気に左右される」という観点から,産業の問題を解明していた。いまから半世紀以上も前に公刊された本であったが,非常に興味深い内容を編んでいた。
しかし,この本の議論の対象となった問題は,若干,古代史からの議論が含まれてはいるものの,もっぱら現代産業経営のために役立ちうる中身になっていた。
2)西岡秀雄『気候700年周期説-温暖の歴史-』工学社,昭和47年という本。
この本は過去における気候変化の波を考慮することの重要性を指摘強調した,つまり「気候変動とその原因探求」という見地から執筆されていた。
ということは,「本稿(2)」で触れたごとき「地球環境系⇔太陽系⇔銀河系⇔宇宙系」という『宇宙総大系』のなかでこそ,実は「二酸化炭素・温暖化原因説」に対して,適切に切りこむ問題視角の設定が可能である関連を示唆しえたことになる。
3) 武田邦彦・他6名著『暴走する「地球温暖化」論-洗脳・煽動・歪曲の数々』文藝春秋,2007年という本。
この本についてはアマゾン通販に寄せられた感想文から,つぎの文句を引用しておくのがよいと思う。
現在の地球温暖化論議は,科学を越えて「モラルの問題」(アル・ゴア氏)となっており,この理論が科学的に正しいかの検証をおこなう気がまったくないようにみえるところに胡散臭さを感じるという。それはまったくそのとおりであろう。
山形〔浩生〕氏の「効果のほとんど期待できない二酸化炭素の削減に多大な費用を費やすなら,温暖化で被害を受けるであろう発展途上国への直接的援助に使った方がいいのではないかという議論があってしかるべき」という視点も新鮮だ。
一度,環境対策を業務とする組織が立ち上がると,仕事を確保するために環境ビジネスを維持しようとする力学が働くという指摘も納得させられた。
科学的裏づけなしに世界中が対策に突っ走っている地球温暖化問題を立ち止まって考えなおすのには最適な1冊であろう。
本書はなかでも,こういう問題に触れていた。
「国連総会という政治的な場で採択された気候変動枠組条約は,人為的な産業活動が地球を異常に温暖化させるという仮説が科学的に妥当である場合にしか意味をもたない」
「そうであるにもかかわらず,このような前提が本当になりたつのだろうかという点に関しては,ほとんど議論されてこなかった」
「いまとなっては,なぜこの種の本質的議論が展開されなかったのか,その原因がはっきりと分かる。一方の当事者がひたすら沈黙を貫けば,議論じたいが始まらないのだ」
〔このまま〕「沈黙をつづけるのか。その理由を読者の1人ひとりがよく考えてほしい」(以上,47頁から)
4) 嶋中雄二『太陽活動と景気』日本経済新聞社,昭和62〔1987〕年(2010年に文庫版)という本。
この本は,産業活動に及ぼす太陽系のあり方に言及した本である。再び,アマゾン通販の書評から適当に,紹介向けに適した文章を拾いあげてみたい。
2023年から太陽黒点相対数が増えている。2024年5月には北海道でオーロラがみられた。太陽黒点説によれば,太陽活動が活発になって気温が上昇する。コメやトウモロコシは豊作になり,小麦は不作になる。
暖冬でエネルギー消費量が減り,原油価格は下がる。景気循環のコンドラチェフサイクルと太陽黒点相対数は逆相関となる。この本は1987年に出版された。
コンドラチェフサイクルをなにによって測定するかという問題はあるが,2025~2030年は谷の時期となる。並行して太陽活動が活発化している。コンドラチェフサイクルの谷のやや手前では,これまで大不況が起きている。
2024年は株高に沸いているが,あとには世界恐慌が続くのかもしれない。しかし,下降局面はイノベーションが起きる時期でもある。AIブームと重なる。これからの経済を考えるうえで,たいへん面白い材料を提供してくれる。
ただ筆者は,太陽活動の変化サイクルに合わせて,産業発展の中心地がイタリア→英→仏→独→米と移り,つぎは日本だと予測している(209頁の記述)。これはたぶん誤りで,中国だ。
この書評を書いた人は,1987年時点で公刊されたこの本の著者が,どのような気分でもって,そういう「間違えた予測」をしたのか,だいぶ勘違いしていた。つまり,後出しジャンケンの要領で,2024年5月31日の時点になったからだが,このように批評していたとしたら,お門違いの指摘(とても適切な批判にはなりえなかった発言)を放っていたことになる。
その点はさておき,問題を太陽系にまで全体的に関連づける議論を展開していた嶋中雄二のこの本は,表紙カバーの上の巻かれた「帯」に「衝撃的な新学説!」だと,大仰な宣伝文句が印刷されていた。
本稿の関心は,そもそも「原発が稼働中には炭酸ガスを出さない」などいった空虚な定説を批判し,だから『原発は再生可能エネルギーのお仲間になれる』みたいな議論をも,併せて根本から批判し,排除するところにあった。
二酸化炭素(CO2 )の問題にまで牽強付会された「原発(原子力エネルギー)」問題の要諦(!)は,「環境問題」に対して原発は有益であるなどいった「暴論以前の稚拙な立論」として披露されていたからには,「原子力村発信の妄説」として,完全に否定されるべきシロモノであった。
実のところでは,原発保有国になりたいこの日本国なりの「はかない野望:本心」,つまり,アメリカ帝国に依然「首根っこを押さえこまれた」状態のままにある「対米服属国日本の立場」から吐露されたところの,しかもその欲望が「腸捻転的症状となって現われた〈寝言の定言〉であった」ことになる。
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