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私は兼業音楽家。もう一つの仕事は、歯科医師。
この題目を目にした方は、そんなの絶対有り得ないと思われたでしょう。
では、その顚末をご説明しますね。
音楽大学在籍中のある出来事。
私は高等学校から女性が圧倒的に多い環境で生きて来た。
高等学校は元府立〇〇高等女学校が前身の〇〇都立高に通っていた。
大学は、女性の園。女性100名に対し男は10名と言う恵まれた?いえ過酷な、バランスの環境の中に身を置いた。
授業でタイツはいて、多くの女性の前をスキップする映像を思い浮かべて下さい。
笑止の沙汰ですね。
良く右手と右足が同時に出て、ステップが分からなくなりました。
そこではご推察の通り、余程男の容姿や頭脳に問題がない限り、女性のファン、又は不安が沢山、出来たのでした。
でも私は考えた。
この状態に甘んじると将来に暗雲が垂れ込むと考えた。
例えばアルバイト。
自分に生きる自信と一般社会の常識を植え付けるために、敢えて男の社会に目を向けた。
この典型1番 大手パン製造会社のルートセールス運転手。
2番 日産村山工場の新車陸送運転手で全国を飛び回った。
夜間の谷深い道や、ギリギリの燃料搭載での走行も有り、かなりの危険を含んでいた。
この燃料搭載の件は、目的地までの距離とカタログ上のリッター当たりの走行距離から算出され、一歩間違えば山の中で停止を余儀なくされる事も有る。
勿論、会社が無駄を嫌った事から始められた習慣だ。
寒ければエンジンの為アイドリングも長時間するし、山道は燃費が悪いのは承知の事実だ。
心配でガソリンを入れれば、全て自己負担。自分の損になる。
事故でも起きれば、そこまでの報酬は全てなし。
処理遂行まで付き添わなければならない。
車が好きだったから選んだ仕事だが、諸々の事を考えるとリスクの多い仕事で、冷や汗もので有った。
しかし今、思うに、若いうちは苦労は買ってでもやれ!の先人の教えの通り、やっておいて良かったと感じてる。
音楽家は社会に疎い〔バカ〕と言う、悪評から汚名を覆す原動力になればと思っている。
この女性社会で夏休み等に自宅に遊びにおいで的なお誘いが有った。
今回の、話の主人公は友達レベル、熟知度10段階で5マル程度でごく普通の交友関係であった。
当日になり、お宅へ向かった。
行ってビックリ!
大きな個人病院。大邸宅。
邸宅内では何度も迷いそうになった。
相当な富豪とお見受けした。
食事を御馳走になり、しばしの彼女との歓談。
あっという間に時間は過ぎて、お礼の言葉を述べ、帰ろうとした時、お父様がお出ましになりこう言われた。
「折り入って君と話をしたい。今夜は泊まっていきなさい。」
エッ 何故?
何も悪い事はしてない。
ええーっ?
さあどうしょう?
困惑の表情で、暫し戸惑っていた。
だがあまりの熱心さにほだされ、最終的に泊まる事となった。
別室に通された。
お父さんが口を開いた。
音楽を辞めて、歯医者になりなさい。
ガ~ン!
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その為の費用、何千万円と留学もさせる。
君の住居は近くに新築しよう。
以上 報告終わり。
さあ明日から頑張れよ!
えっ!一体何の事?
理解出来ない。私が歯医者??
過去に「ペンチで齒抜いてやろうか?」的な冗談は言った事は有るが、歯医者になるなんて言う冗談は一回も口にした事はない。
キツネにつままれた状態で寝床についた。
何故か隣の間にはもうひとつフトンが敷いてあった。
だがそこに誰か来る事は無かった。
恐怖の一夜。
その後暫くして
驚くべき事実が私の耳に入って来た。
その全容はこうだ!
![](https://assets.st-note.com/img/1705119222103-ITxag6Fx9E.jpg?width=1200)
彼女は同じ音大の学生。
お父様に、彼女はこう語ったらしい。
「彼の事大好きで、大好きで死ぬ程苦しい。どうしても結婚したい。今度遊びに来る様、話してあるので、来たら結婚を承諾させて!」
〘注 全て推測〙
弁解
私は個人的に彼女と付き合った事も無く、話だって何回したか?数える程しかないと思う。
見つめ合った事も、好きだと言った事もない。
こんなに自分を好いてくれるのは嬉しいが、今更、音楽を捨てて、歯医者になる勇気も、医学的な才能もない。
当然と言えば当然だが、今は心から彼女の勇気に感謝している。
私は、大富豪には当然ならなかったが、温かい、安定した小さな家庭を築けました。これからの余生を存分に楽しみたい。
ありがとう!
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