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日課のランニング
数年後には、車は自動運転になるらしい。
貯金ではなく投資をすると良いらしい。
良い大学に行くと、良い人生になるらしい。
たくさんの靄がかったレールが僕の前には並んでいて、みんなが僕より先を歩いているように思える。
遅れないようにしなきゃと頭のどこかが信号を発している。
しかしながら、今、僕の目の前には
ひび割れたアスファルトの道、
雑多に伸びる道端の雑草帯、
冬の季節風で荒れた日本海の波たちが、ただ存在している。
朝の冷えた空気が、小鳥の囀りが、どこかの朝ごはんの支度中の香りが、僕の体を通り抜けていく。
僕らが人生で目指す先は分からないが、
僕は今、日課のランニングをしながら、家への帰路をただ、走っている。