当たり前と当たり前ではない状況の境界線。地震…
年末年始はパートナーと富山県氷見に2泊3日旅行。
31日にホテルにチェックイン。温泉に浸かりながら一年を振り返り、夕食は氷見の海鮮を堪能しながら、ちょいと一杯。(普段はほとんど飲まないけどせっかくだから乾杯)
毎年、紅白から、ゆく年くる年を見て、時報と共に娘息子とLINEで新年の挨拶を済ませて就寝。
元旦。朝食におせちやお餅を堪能して、
「天気が良いから能登半島一周ドライブ行こう」
パートナーが言ってきた。
昔、石川県に住んでいた事のある私は
「結構、距離があるよ」
(私的には、せっかく連泊なので部屋でゆっくりしたいな…)
「行ける行ける。せっかくだから海沿いドライブしよう」
フロントに寄って、今日の夕食の時間の確認と、食後にカラオケしようと予約をお願いした。
「気をつけて行ってらっしゃい」と見送りしてもらい出発した。
元日ということもあり、車は少なくて快適だった。
途中寄った“道の駅”は、ほとんど閉まっていたので、本当にただドライブしながら景色を楽しんでいた。
思った以上に距離があり、珠洲市の先端まで行くのは断念。少し内側を周り輪島を抜けて、そこからは高速を使ってホテルに向かった。
到着したのは4時頃。
(せっかく連泊してるのに、車に乗ってる時間の方が多いじゃん。笑)
その時、旦那さんの実家に帰っている娘からLINEがきた。
「地震大丈夫?」
「?」
「能登で大きな地震があったって速報流れてるよ」
「えっ?お母さん今能登から帰って来たよ」
「えっ!⁈」
私がLINEのやり取りをしてる間、彼が車を建物一階の駐車場に入れようとしたその瞬間、突然車が波打つように激しく揺れ出した。先に止めようとしていた前の車も尋常じゃないほど揺れている。天井のコンクリート片がバラバラ落ちてくる。
「車、バックして外に!!」
とりあえず、安全そうなホテルの玄関前に車を止めて、フロントへ向かった。
フロントには宿泊客が集まっていた。
津波警報発令
館内放送で、
「このホテルは10メートルの高さの場所に立っているので大丈夫です」
気づけば、地元の人たちも続々と避難してきている。介護施設の入所者も次々集まってきた。
フロントから海を見下ろすと、第一波が来ているのがわかった。
「ホテルから連絡します。水道管が破損して水が出ない為、お食事提供が出来なくなりました。もし、お帰りの手段があり、そちらの方が安全だと思われるお客様はお申し出ください」
ここに避難してきてる地元の方もいる。電車が動いていないのでここにいるしかない人達もいる。動ける私達は出た方が良いのではないかと思った。
津波の引き具合を見て、今なら行けると判断して、荷物をまとめてホテルを出た。廊下ですれ違ったホテルの清掃担当の従業員の方々のうちの一人の女性が私の腕を掴み
「お気をつけて」と力強く声をかけてくださった。
私も、
「皆さんもお気をつけてください!」
と叫んでいた。
心配する娘や息子から、LINEがどんどんくる。
「大津波警報が出てる!!」
「お母さん、今どこ!!」
「お母さん、早く高台に逃げて!!」
行けるところまで行こう。そう決めた。