夢
ああ、何を言いたかったか忘れた。
だって夢なんだもの、仕様が無いじゃないか。
今の今まで寝ていたろうって?じゃあ君は5分前にあったことを憶えているのか?
わかったよ、ぼくがわるい。
打ち明けるよ。
君と来た広い大きな公園に居たんだ。わかるだろ?
あのおっきい湖があって、へりで二人で何度も座って話したり、寝そべったりした、あの。
あそこで君はいつも通り四葉のクローバーなんかを探して、僕もそれに付き合ったり、飽きて眺めてたりしたんだ。
そうすると、向かいの塔の横の銅像が弓を張るポーズしてるだろ?あの矢がさ、塔の先へ飛んでいったんだ。
その矢の先は、塔の先端をかすめて、見えなくなった。
びっくりだろ?俺も驚いて宙を阿呆みたいに眺めてたんだよ。
その間に君はもう四葉なんか探し終えて、どこかへ行ってしまったんだろうね。どこにもいやしない。
そのとき思ったんだ。ああ、こんなことなら全てを打ち明けて、腐って壊れるまで二人で眺めてりゃ良かったかもなって、僕が手放さなくても、良かったのかもしれないってね。
それだけだよ、終わりさ。
じゃ、おやすみ。