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田舎の厳しい現実をまざまざと見せつけられて~映画『Dr.コトー診療所』感想

私がまだ小学校低学年の時にドラマ『Dr.コトー診療所』やってましたっけね~。
「早く寝なさい」と母に叱られながらも、将来お医者さんになることを夢見ていた私は夢中になって見ていました。
結局数学がメタメタだったので、夢は諦めましたが、人と接する時は真剣に、そして謙虚に、という姿勢はコトー先生から学びました。
今でも自転車に乗っていると中島みゆきさんの『銀の龍の背にのって』が脳内再生されます。
2022年に15年以上ぶりに待望の続編映画『Dr.コトー診療所』が上映された時は本当に驚き、歓喜しました。
当時はコロナが流行っていたため、映画館で見ることは叶いませんでしたが、今日めでたく地上波初放送を見ることができたので、ここに感想を記していきたいと思います。
※この記事は映画の内容についてネタバレを含むため、知りたくないという方はまわれ右してお帰りください👋


1.僻地医療の厳しい現実 

小さい頃はただただ「コトー先生はすごいな、優しいな。」「島は海が綺麗で伸び伸びしていて良いな」って純粋な感情でドラマを楽しんでいたのですが、大人になった今映画を見てみると、僻地医療の厳しい現実を見せつけられて、頭を抱えてしまいました。
島の方々は皆さん、親身になってくれて、優しく明るい人が多いんですけど…

皆、コトー先生に頼りすぎじゃね?!


病気でもないのに、病院の待合室に居座られたら、私だったらぶちギレてます💢
「用がないなら帰れよ」って冷たく言い放って、重さんに「なんだ、おめぇその態度はこのやろー!」って殴られるオチが見えます。
島に医師が一人しかいないのは仕方がないけど、見ていてイライラしてしまいました。
怪我してなくても雑談しに来たりとか、トラブルばっかり起こして、先生過労死させる気か?って思っちゃいました。
先生は白血病だし、奥さんの彩佳は臨月だしで大変なのに休めない…労働基準的に100%アウトです。
映画の終盤では大型台風が直撃して、怪我した人が大勢病院に押し寄せるのですが、「先生!先生!」って、ケガの程度関係なく、あちこちでコトー先生に手当てを求めます。
緊急事態でパニックになってしまうのは分かるけど意識がある人とか、歩ける人は譲りなよって思いました。
て言うか、自衛隊は???
あれだけ予め、台風直撃に備えて、避難所の準備もしてたし、なんなら台風の通り道なんだから毎年の経験から自衛隊手配とかできたんでないの??って冷めた目で見てしまいました。
治療中に体調悪化する先生、陣痛が襲ってきた彩佳、意識不明のおじい、心肺停止のおばあ…これが都市部の大病院だったら余裕なのに。
島民ではないですけど、こちらまで見ていて悔しい気持ちになりました。
映画に限らず、今回の能登半島地震でも同じような地獄絵図が広がっていると思うと、ゾッとします。

2.田舎ほど自己犠牲を求められるという現状 

私も栃木の片田舎出身で、学生時代は東京に住んでいたため、身を以て思い知ったのですが、田舎って都会と比べると不便きわまりないです。
「都会の喧騒を離れて、田舎でのんびりスローライフを…」、なんて最近巷でよく聞くフレーズですが私だったら全力で止めます。
·田舎に住んだら電車やバスは1時間に1本。
·一番近いコンビニまで車で20分。
·バイトの時給が安い。
·流行の最先端を司るのはイオンモール。
…といった具合に、田舎には書ききれないくらいの不便ネタがあります。
まず田舎は車がないと生きていけません。
高齢者の免許返納なんて優雅なことは言ってられません。
年金少なく、タクシーを利用することができないお年寄りは目が見えづらかろうと、ブレーキとアクセルの区別が怪しかろうと運転しなければいけないのが現状です🚙
おまけに道の修繕が間に合っておらず、道路は穴が空いていたり、でこぼこだったりの状態です。
飲み会をやりたくても車がないと居酒屋まで行けないため、必ず飲まない人は飲んだ人の送迎をやらなければいけません。
映画では、重さんは老体に鞭打って、酷い雨風の中、自宅で孤立してしまった島民の救助に向かいましたが、報酬は出ないと思います。
これは島に限らず、割と田舎ではよくある話です。
割り振られた仕事以上のことを自ら進んでやる人でないと田舎で溶け込むのは難しいです。
おとなしく真面目な人の場合、地元の古株の人に目をつけられて、面倒なことは全部押し付けられるというケースもあります…。
不便であるが故に“自己犠牲”が不可欠な社会、それが田舎です。
幸いなことに、コトー先生の島はそういう押し付け合いはなく、お互い助け合っているので、人と人との絆が感じられる良い田舎の例だなと思いました。
すべての田舎がこうであれば良いのに…。
そうすれば“自己犠牲”なんて考えも頭をよぎらないのかもしれません。
頼り頼られが一番良い関係性なのかもしれません。



3.タケヒロの挫折

タケヒロー!!!
せっかく医学部に入ったのに、自主退学しちゃってショックでした(涙)
この下り要りましたかね???
タケヒロにはこれ以上苦労してほしくなかった💦
でも、意外と沢山いるんでしょうね。
成績不振で奨学金を停められたがために、学費が払えなくて泣く泣く辞めていく医学生って。
成績が振るわない時なんて学生時代、いくらでもあるのだから長い目で見て、国や学校もこの学生に奨学金を払うと決めたのなら、入学から卒業まで面倒をみるべきだと思うのですが…。
中々厳しいんでしょうね。世知辛い。一体何人の金の卵が経済的な理由から夢を諦めてきたのでしょうか。
タケヒロはすぐに自主退学したのではなくて、学費を稼ぐために一旦は休学したんですけど、最悪なことに闇医者の経営する病院で事務員をやっていたために犯罪に巻き込まれてしまいます。
闇医者が不法滞在の外国人の手術に失敗したのです。
不法滞在は勿論悪いことですけど、自国に帰れない、又は帰りたくない理由があって安全な日本に居続けていて、そういう人は保険の都合でまともな病院にかかることが難しいという日本が抱えたグローバル化の課題が描かれていましたね。 
“奨学金”、“闇医者”、“不法滞在外国人”現在の日本が抱える課題を絡めるために尺を無視して、タケヒロの挫折を描いたのでしょう。

まあ、最後は大学に復学したのか、タケヒロが他の学生と一緒に実習しているシーンがあったのでホッとしました。



4.コトー先生はやっぱりすごい 

映画を見て、田舎の厳しい現実に胸が痛みましたが、小さい頃から変わらず「やっぱりコトー先生はすごいな」と思いました。
明らかにキャパオーバーなのに、冷静に神がかった治療を施し、島の人達から感謝されても常に謙虚でいる。
小さい頃はコトー先生の手術シーンに感激していましたが、今はコトー先生の人柄と器の大きさに胸打たれます。
私もコトー先生のような人間になりたいものです。
そして映画、とても良かったので本当におすすめです✨
この記事、ネタバレがふんだんに含まれていますが、ここには書ききれないくらいの魅力が詰まっています。
まだの方は是非是非( ^ω^ )










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