ルーティン
自閉症の息子は、言葉のキャッチボールは出来ないけれど、自分の要求は、言葉で伝えてきた。特に食べ物に対する要求が多く、自分の中のブームの料理を朝のうちから伝えてきて、それ以外の食べ物は受け付けてくれなかった。
そんな息子の外出のルーティンが、金曜日に、某有名パスタチェーンに行くことと、日曜日に、家から1時間弱の所にある温泉施設に行き、その前後に食事をするという事だった。
金曜日のパスタ屋は、なぜか私と、日曜日の温泉はなぜか大吾と行くと決めていて、仕事でいない時以外は必ず毎週、これは今でもなので、10年近く続けていた。
正直仕事が終わって、家から30分ほどあるパスタ屋に、コミニュケーションも取れない息子と車で行くのはしんどかったけれど、2人きりの時間も大切かもと言う思いだけで続けている。
大吾との温泉の時は、温泉に行っている間、息子がいない時間を休息に当てたり、他の2人と、どこかに出かけて話す時間でそれは有り難かった。
ところが、沖縄事件があって、大吾が温泉に行かないと言い出した。時々は、温泉に行かない事もあったが、そうなると今度は私に、温泉以外のところに連れて行けと言ってくる。日曜日は絶対に外食と決めているので言い出したら100回くらい同じことを言ってくるので、仕方なく出掛けていた。
それを週2回は流石にしんどすぎる。
大吾になんとかお願いをし、隔週だけは行ってくれることを約束してもらった。
月に、2.3回の父親とのひとときを、息子がどう思って過ごしていたのか、行く場所が温泉だから、身体が大きくなったら母親ではあってあげることが出来ない。
それを知ってか知らずか、週末が近づくと、「日曜日、お父さんと温泉」と言ったいた。
大吾も、「俺もいつまでも行けるわけじゃないんだから、このルーティンかえれんのか」とよく言っていた。嫌そうには口で言う割には、こちらからすると、そう嫌そうには見えなかった。
でも、案外早く、そのルーティンはなくなった。
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