80歳になっても頑張るぞ!と言える自分でありたい。
私がテレビ番組のADだった頃、
あるおばぁちゃんを取材した。
・83歳
・地方でランチのお店を1人で切り盛り
・500円食べ放題
・遠方からも老若男女が訪れる
コロナがやっと落ち着き、
お店を再開するタイミングだった。
お店に入ると、閉めた当時のままで寂しい店内。20人ほど入れるテーブル席と座敷がある。
おばぁちゃんは明日からの再開に向け、
テーブルを拭いたり、お客さんが安心できるようアルコールを置いたりしていた。
私たちが挨拶をすると「これから買い物に行くの。」と話してくれた。
お客さんが戻ってきてくれるか不安な表情が見えつつも、嬉しそう。
そのままおばぁちゃんは、原付バイクを走らせ颯爽とスーパーへ。そして、大量の食材を詰め込みお店に戻ってきた。
翌日は6:00から仕込みを始め、12:00の再開に合わせて料理を揃えていた。
近所の人からもらった食材を使いつつ、煮物、揚げ物、そば、炊き込みご飯、サラダ、魚の煮付け、何でも作ってしまう。
厨房を覗くと、おっきい鍋を振るおばぁちゃん。鍋が何個もあるから時間差で面倒を見ていた。
調味料はもちろん目分量だ。
これが、おばぁちゃんの味の美味しさの秘密だと私は思っている。
たくさんの品目数を作り、盛り付け、お客さんを出迎え、お会計も1人でやりきってしまう。
心配が嘘のように、お店の外まで並ぶくらいお客さんが来店していた。
聞いてみると、テレビで知って北海道から来た人もいた。
なんか少しヤンチャそうな若い青年たちも、おばぁちゃんのご飯を美味しそうに食べている。
常連さんももちろんいて、ある意味ファンのようにおばぁちゃんを慕っている。たまに料理を手伝ったり、素敵な関係。
閉店はお客さんが帰るまで。
決まっていない。
こんな風に毎日営業をしてきたことが、私は信じられなかった。
しかも、500円食べ放題だ。
ときには大量のお持ち帰りもさせちゃう。
懐はあったかくないけど、心はあったかいよ。
頑張るぞ!!(ガッツポーズ!)
と、私たちに話してくれた。
ただお腹いっぱいにみんなをさせたい、そんな想いから。
おばぁちゃんに出会えたことが私は嬉しかった。絶対に忘れられないし、たくさんの人に伝えたいと思った。
それから、
「あのおばぁちゃんのような80歳になれるかな?いやなりたいな!なるぞ、頑張るぞ!」と人生の大先輩の言葉を何度も復唱している。