会いたかった人に再会した夏
私には恩師が2人いる。、、、と思っている。
果たしてその先生たちが私を覚えているかは、わからない。
その先生2人は、当時業務以外の工夫で私にとても寄り添ってくれた人たちだ。
私は感情をあまり表に出さないポーカーフェイスが得意な生徒だったと思う。だから、ある意味扱いづらい生徒だったのかもしれない。
そんな私と常に向き合ってくれていた先生たち。
大人になってから、私はどうにかして感謝を伝えたくなっていた。
あらゆるSNSでその先生たちを私はずっと探してきた。大袈裟にではなく何気なく日常の中で。
SNS普及前に出会った先生たちだ。
一切情報がなかった。
しかし、この夏休みに1人の先生との再会を果たすことができた。
定年を迎えたことをきっかけにFacebookを始めたとメッセージが来たのだ!
「うれしい!」と同時に私は驚いた。
連絡が先生から来たことに。
私を覚えていてくれたことに。
定年を迎える年齢ということに。
10年前のあのとき先生もっと若く見えてたなぁ、、、。
高校3年生の受験の時期にお世話になった先生。
夏休み中のAO入試のプレゼン受験に挑む私を業務時間外で支え続けてくれた。
当時全く触ったことがなかったパワーポイントの使い方、プレゼンの仕方全てを教えてくれた。
先生はいつも「これはですね。ここをクリックするとこの画像を全面に持ってこれるんですよ。」と学生の私に常に敬語を使ってくれていた。
穏やかで丁寧な先生だった。
先生には基本的なツールの使い方を教えてもらった。
プレゼンの企画は私が1番興味のあった給食について。この企画立てに導いてくれたのもきっと先生だった気もする。
当時は自分で決めた気持ちでいたが、きっと先生が私の性格や興味を知ってテーマを絞っていってくれたのだろう。
そんなことを気がつけたことは、大人になった証拠だろうか。
パワポの資料ができたら、プレゼンの練習をした。
先生は学校中の先生に声をいつの間にかかけてくれて、たくさんの先生の前で何度も練習をした。
私1人だったら、恥ずかしくて誰にも見せないまま本番を迎えていただろう。
高校3年生の夏が、初めて人の前でしっかりプレゼンした記憶だ。
この時間があったからこそ、プレゼンでは台本を作り込まず、聞いてくれる人に伝えることが大切だということを学べた。
流れを記憶してどれだけ感情的に伝えるか。
高校生ながらにしっかりしていたなぁと自画自賛しつつ、先生には頭が上がらない。
受験当日、練習のおかげで「お世辞抜きに素晴らしい!」と試験官の教授からお褒めいただけた。
結果は、もちろん合格。
先生との記憶は、受験前までのことしか残っていない。
私は果たしてしっかり感謝を伝えていたのだろうか。
だから、会いたかった。
心からの感謝を伝えたかった。
そして、今年の夏休みにそれが叶ったのだ。
メッセージ上だけど「あの時間がなかったら今の私はいません。ありがとうございました。」と伝えることができた。
SNS時代に感謝すべき、1番嬉しかった再会。
9月には直接お会いすることも叶いそうだ。
今考えると、先生が受け持っていた教科も先生の人柄も一切知らない。
高校生の私は自分でいっぱいいっぱいで、人のことに興味を持つ余裕もなかった。
今は逆だ。自分のことよりも先生のことを知っていきたい。
どんな教師人生を歩んできたのか。
10年前、どんな気持ちで受験を支え続けてくれたのか。
これからどんな将来を描いていきたいのか。
10年前、私について知ろうと会話を重ねてくれたように、今度は私から会話のボールを先生に投げていこう。