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第34回「ナミビアの砂漠」感想+マキャベリ「君主論」即興感想_2024.9.22

片倉洸一の耽楽的音声記録
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これまたあるネット記事から上映を知った映画と、数日前に読み終わった本について感想を述べる。
※例によって映画に関してはネタバレの配慮がないので未鑑賞の方はお気を付けください。

1:山中瑶子「ナミビアの砂漠」感想
・金曜日のレイトショーの風景―週末にふらっと映画館に立ち寄る女子高生から感じたカッコよさ
(鑑賞直後の感想をムニャムニャ)
・音から感じた統一性―ほとんどが環境音と音楽以前の音から構成。
・大した展開はない物語―主人公が眺めるナミビアの砂漠を眺めるのと同様に人物達を観察する映画。
・無関係なものに見出す癒し―遠い国の野生動物、関りの薄い周囲の他人
・「アリ・アスターが絶賛!」が知るきっかけでしたとさ。
(改めて感想)
・評価される理由が分かる作品―ジェンダー、現代性、統一感などなど…
・BGMの欠如―カナの連続性、持続性の欠如。カナの聴覚に沿った環境音の録音に注目。
・観察映画―「カナ→ナミビアの砂漠」 「観客→「ナミビアの砂漠」の人物達」
 「カナ→カナ自身」といった視点
・日本の風景を描けている映画―迷路のような住宅地、狭いアパートの部屋、ぎこちない人間関係
・「嫌なシーンほど長い」という感想に納得―上の空の友人との会話、一人で部屋でウロウロ、キャンプでの空虚な会話…逆に劇的な場面はやたらテンポが良い
・常態化する喧嘩の幼稚さと疲れ―ここまできてようやく向き合えるようになった二人?
※なぜか最後のシーンから「ヒストリー・オブ・バイオレンス」を連想。
・これからも同じような周期が続くのではという突き放した観察。映画的な劇的さの誘惑に負けずに観察映像を製作できた作品。

2:第3回耽楽的即興感想:マキャベリ「君主論」
・ヴェヴレンと同日にあまり期待せずに買っていただけ。―なんとなく知っていた「マキャベリズム」が気になった程度
・読みにくい本―注釈が本文並か以上に長い本は特に…本文200p、注釈+解説がなんと180p。写本が原本のため異同、加筆が異様に多い。
・当時のイタリア情勢―ローマ帝国の残骸に群雄割拠で統一されずに周囲の強い国に侵略、利用されまくり。
・フィレンツェ共和国書記官マキャベリの遍歴―現場仕事で「傭兵も外国の援軍もクソ。君主は自分の軍隊を持つのが前提」と悟る。でもうまくいかず。
・フィレンツェの政権交代に伴い失脚、拷問→隠棲の憂き目に遭う
・マキャベリの願い「どこの家からでもいいからイタリアを統一する君主に出現してほしい」―今のイタリア(16世紀前半)こそが君主が誕生する好機!
 イタリア人ならば誰が、この方への恭順を拒むであろうか?この野蛮な外敵の支配下で、誰もがその悪臭に耐えている。したがって、あなた方のご尊家には、正義の大事業を引き受けるときの、あの勇気と、あの希望とを抱いて、この大任を引き受けていただきたい。
・マキャベリ死去の年にローマ略奪発生という大いなる皮肉(1527)
・その後もイタリアは統一どころかフィレンツェだけでもフィレンツェ共和国→フィレンツェ公国(1532)→トスカーナ大公国(1569)→…と転々。

※ついでの情報
・同時代にダヴィンチもフィレンツェにおり、マキャベリにピサ攻略の際に助言をしたりしていた。
・塩野七生という作家のイタリアの歴史を題材にした小説群を神保町で偶然知る。

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