自己紹介
自己紹介は子どもの頃から苦手だ。
苦手をはっきりと実感したのは、ドラマ『ブラッシュアップライフ』にもちらりと出てきたプロフィール帳なるものが小学校高学年で流行り、友だちから
「書いて」
と手渡されたところからなように思う。
名前や生年月日、血液型などの事実はすらすらと書けるのにファーストステップの『好きな色』で迷う。
好きな色……。
明るい色が好きだけど、ピンクはいかにも女の子らしいし書くならオレンジ・黄色・水色のこのあたりが無難かなあ。
その色を書くことによって自分がどう相手に見られるか見られたいかを考えていた。
目立たずにそっとそこに馴染みたかったからだ。
セカンドステップは『好きな映画』『好きな言葉』など。
もうこのあたりにくるとそんなもん考えたことねえなわかんないよと思いながら
『耳をすませば』と苦し紛れに書いた。
友だちに返した際に
「耳をすませばが好きなんだ!」
と言われ、
「うん」
と頷きながら、
これはいったいどういう反応なんだ?意外なのか?何か間違えたか?と困惑した。
最終難関はもちろん『好きな人』『その人の名前は』である。
んなことを書けるわけがない。言えないことを残るものにできるはずがなかった。
ただ正直者だったため『ひみつ』に丸を書いた。その後、
「こっそり教えて」
とあまり仲良くもない友だちに言われて以来、その後膨大に手渡されることになったプロフィール帳には答えが浮かばないものは空欄とせめてもの抵抗で『いない』の丸で乗り切った。
その後も幾度となく問われる好きなものこと特技や趣味に何と答えるべきかわからず、
『特技:なし』
が定番化し、雑談であれば
「趣味ね〜、寝ること」
なんて言って笑っては相手を困らせていた。
自分のことがわからなかったからか、その時間が苦手だった。
記事投稿のページを開き『はじめての記事は自己紹介ーーを書くのがおすすめです』の文章を読んで思考が停止する。
これはどうやら自己紹介を書くのが定番なようだと知る。
見様見真似に書いては消しを繰り返し、悩んだ挙げ句面倒になり結果このようになった。
はじめまして。
こんな私ですが、日常や物思いについてつらつらと書き記してゆこうと思います。
うっかりどなた様かに届いて、うっかり共感してもらえたら嬉し。
よろしくね。
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