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素敵な出会い⑤

日本料理店の店長さんに乃木坂の彼女へのプレゼントを渡し会計を済ませた後に背後から呼び止められた。

まさか、乃木坂は俺の女だから勝手に手を出すんじゃねぇぞ、ゴルァ!

と映画「アウトレイジ」に出てきそうな強面の人に絡まれるのか、と恐る恐る振りかえると

身なりのしっかりした50代くらいの男性客が話しかけてきた。

あなたの話を少し聞かせてもらえますか?
と言われたので

僕は新潟県長岡市から旅行で札幌に来たこと、今日は大学時代の友人たちと会食したこと、趣味は数学でNPO数学みえる化プロジェクトのメンバーであることなどを話した。

その男性客、Hさんはうなずき、時折微笑みながら僕の話を聞いてくれた。

すると、おもむろに

あなたは他の人とは違う。
素晴らしい才能を持っている。
だって今、私と少し話しただけでもそれが分かりましたもの。

と言ってくれた。

いやいや、そんなそんな。
僕はただ趣味で数学が好きなだけで、会社では人間関係が上手く行かない変人ですよ。

と言うと、

他の人はあなたのことを理解できないのだと思います。会社で嫌がらせがあるとしたら、それはあなたに嫉妬しているからですよ。

私には分かります、あなたは優しい世界を作りたいのでしょ。

と僕が理想とする優しさが連鎖する社会の実現をものの見事に言い当てたのだ。

すっかり酔いがさめてしまい、その男性客、Hさんと閉店まで話し込んだ。
聞くところによるとHさんは会社員の傍ら指揮者をやっており、明日(2024/1/21)静岡で指揮者のオーディション?に出演するという。

音楽の美しさは普遍的で、例えばバッハの音楽を今聴いても心地よいと感じるには調和がとれているから、そこには音楽理論が背景にあるのですよ。

と教えて頂いた時、この人は本物だと僕は思った。

そう、音楽は数学なのだ。
数学の美しさもそこにある。
すなわち時の権力者に歪められることなく、正しい推論で証明された定理は何百年たっても、そしてこれから先もずっと普遍なのだ。

だから調和のとれた美しさも、例えば黄金比など数学的なものが背後に隠されている。

僕は上記と「だから僕は音楽とアートを数学でつなぐことをライフワークとしてやりたい」とHさんに話すと、

あなたは天才だ、と褒めて頂いた。

最高級の賛辞を頂いて嬉しかったけれど、僕は「天才」が嫌いだ。
だって本当の「天才」は努力しないから。

僕は不器用で頭の悪い人間だと自負している。
だけど好きなことなら努力を苦に思わない。
たとえ10分、いや5分しか時間が取れないとしても毎日続ける。
数学も、歌も、中小企業経営に関する勉強も。

努力に勝る天才はない、というのが僕の持論だ。
だから僕が努力できる環境に日々感謝し、毎日の言動を反省し、そしてまた努力を継続できれば、自分の夢は叶うと信じている。


今回の旅行で一番の素晴らしい出会いは日本料理店で出会ったHさんだった。またいつか、件のお店で美味しいお酒と料理を嗜みながら語り合いたい。

もちろん、乃木坂の彼女も交えて笑

①~⑤にわたる旅行エッセイをご愛読頂きありがとうございました。

今日も皆様にとって、よい一日になりますように。

出会いは偶然ではなく必然かも。

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竹内康司
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