読書録 「生きがいについて」
神谷美恵子「生きがいについて」(みすゞ書房)
書店や図書館で手に取った本の中で心に刺さる一文を見つけた時、生きていてよかったなと感じる。
本書はそんな一冊だ。
結局、人間の心のほんとうの幸福を知っているひとは、世にときめいているひとや、いわゆる幸福な人種ではない。かえって不幸なひと、悩んでいるひと、貧しいひとのほうが、人間らしい、そぼくな心を持ち、人間の持ちうる、朽ちぬよろこびを知っていることが多いのだ。
人間の存在意義は、その利用価値や有用性によるものではない。
野