013 ご縁-物事はすべて繋がって成り立っている-
2022.5.19発行
「縁起」とは
「縁起」というと、一般的には「縁起が良い、悪い」など、幸不幸の前兆的な意味や、寺社仏閣や仏像などの由来や沿革を指す言葉として用いられます。
ですが、本来の意味は、「全ての現象は原因や条件が相互に関係しあって成立している」ということを指します。
普段、私たちは当然のように人と会い、ご飯を食べ、生活していますが、出会い一つにしても、数えきれない無数の事象が関係し合って成り立っています。別の言い方をすると、無数の事象が一つでも欠けていれば、その出会いはまた違ったものになり、極端な言い方をすれば、その出会い自体が存在していなかったかもしれません。
日常で生じる〈怒り〉〈不安〉〈猜疑心〉などの原因には〈自己中心性〉が存在します。自分の事しか見えていない、視野が狭い状態ですね。その循環は、悪いスパイラルを生み出します。
一方〈怒り〉などの原因を抑え、〈他者への共感性〉〈慈悲〉を持つことで、結果的に〈自己中心性〉を無くす事ができます。その循環は、良いスパイラルを生み出します。
つまり、「悪いことをすると悪いことが発生して、良いことをすると良いことが発生する」という考え方が「縁起」です。
意識的、無意識に関係なく、私たちの行動は「原因」となって「結果」を生みます。その「結果」が次の「原因」となり、また「結果」へと繋がっていきます。
なぜ「ご縁」という?
「ご縁」という言葉は「縁起」に由来していますが、本来ならば「縁」だけで充分です。では、なぜ「縁」の前に「ご」が付くのでしょう?
「無数の事象が一つでも欠ければ、その出会い自体が存在していなかったかもしれない。」
その出会いに無意識にも「二度と巡り合うことができない」という感覚がはたらき、有り難い(めったにない)という感謝の気持ちが起こり、「縁」を尊ぶために「ご」という敬語を付けて「ご縁」というようになったのです。
コロナ禍で、私たちの暮らしは随分変わりました。一番の変化は、人と人が直接会って話をする機会がとても少なくなったことです。大勢で集まることも許されず、みんなで楽しくおしゃべりするのも気が引けて、マスク越しのモゴモゴ話では出会いの楽しみも半減です。
ですが、幸い、今はインターネットがあります。いろいろな機能を使って、自分のことを外に発信したり、逆に世界中の人たちからの情報を受け取ったり、直接の出会いはなくても無数の人たちとのご縁はつながります。こんな時だからこそ良いご縁と出会うための努力をしたいものですね。
物事はすべて繋がって成り立っている 「おかげさまの循環」
Vol.006で紹介しました、「おかげさま」。「当たり前」と思っていた日常が、今は「当たり前」でない状況になっています。そんな時に、〈怒り〉〈不安〉〈猜疑心〉など〈自己中心性〉が顔を出します。
「物事はすべて繋がって成り立っている」と気づくこと、「おかげさま」であると気づき、それを他の誰かに廻していくことが、「おかげさまの循環」です。
この「おかげさまの循環」が安穏な社会づくりへ繋がっていくことでしょう。
次回は「良いスパイラルを生み出す」ようにするためには、どうしたら良いか?について、掘り下げていきます。
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