ジョブ型雇用
これまでの日本企業の終身雇用体系が崩れ、欧米並みの職務によるジョブ型雇用がすすんでいる。私の勤めていた会社もそうであった。これまでの体制からガラリと変わり、社長の代も若くなり、古い体制に慣れ親しんで、新しい体制に順応できないものは、容赦なく淘汰された。
これまでの終身雇用を信じていた者は慌てた。特に40歳後半から50代の連中は自分の身が危なくなった。
辞める者が増えた。暗に辞めさせられる者も増えた。降格人事は毎月のように行われた。
野球でいえば、若手を起用することによって若返りを図ろうということなのだろうが、降格させられ、給料を減らされる者はたまらない。辞めさせられないだけマシと思わねばならないのか。野球は個人契約だから仕方ないけれど、サラリーマンはそうはいかないだろう。
人事査定も上部で操作された。若手でこれは、という者はどんどん起用されていった。逆に大した落ち度がなくても、古い体質から抜けられない者は落ちていった。年寄りには戦々恐々である。逆に若手のほうも、急に抜擢されてどうにもならず、辞める者もいた。病める者もいた。
新しい体制になって私が最初にしたことは、住宅ローンの借り換えである。このままでは先のボーナスも給料も下がるだろうと思ったからだ。
案の定、賃金の改定がおこなわれ、給料は下がった。しばらくすると降格も経験した。降格を予想して先に辞める者も多かったが,辞めても他にいい収入口などはなかろう。我慢して働き続けるしかなかった。
やがて体調に変化がおとずれた。バセドウ病になった。ストレスによるものであろう。バセドウ病からうつも発症した。
私以外にもうつを発症する者は多かった。それで辞める者もいたし、それでも頑張ってる者もいた。
私はこれでは仕事にならないので、最終的に定年前に辞めることにした。当分は傷病手当と会社が入ってくれたLTD保険があったので、収入に不安はない。今年の秋でそれも切れるが、それから失業保険の申請をする形になるのかな、とは思うが、働けるかどうかはわからない。
新しいことをすれば、何かの反動がある。それにより人生を狂わされる人もいる。年寄りも若手も。どこかで無理がくる。
会社を守るためには、会社はそれでいいのだろうけれども。