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夾竹桃

 東京都の花はソメイヨシノ、京都府の花はしだれ桜、奈良県の花は八重桜なんだそうだ。いわれはよくわからないが、なんとなくなるほどと思ってしまう。かつての日本の都、現在の都が全て桜というのも面白い。やはり日本の花は桜だろう。
 福岡県の花は梅である。太宰府天満宮の菅原道真の飛梅からきたのだろう。
 長崎県の花は雲仙のミヤマキリシマ、躑躅のことであるが、長崎市の花は紫陽花である。シーボルトが日本での妻、お滝さんから名をとってオタクサという名前を付けて世界に発表した日本原産の花である。
 広島県はモミジである。宮島のイメージからきたのか。僕の広島のモミジの印象はやはり宮島のモミジ饅頭である。
 広島市の花は夾竹桃である。
 皆さん、夾竹桃という花をご存じだろうか。インド原産のこの花は原爆で75年間、草木も生えぬといわれた広島市の土壌に、いち早く花を咲かせた木なのである。
 夾竹桃は高速道路や通常の道路沿いに結構植えている。夏の頃に赤い花を咲かせる。白い花もあるそうだが、僕のイメージは赤だ。なぜ道路わきによく植えてるかというと、車の排気ガスにも強い花だからである。
 なぜ原爆にも排気ガスにも強いかというと、毒が強いからである。花も木も葉も根も果実も毒が強く、土壌も侵すので、夾竹桃を植えた場所に他の草木は生えない。
 青酸カリより、猛毒なので、何処の部分を食べても死に至るらしい。微量でも中毒を起こすとのことだ。燃やしても毒ガスが発生するから、始末に厄介である。毒には毒をではないが、原爆にも負けない花があるというのは、驚きである。
 福岡市は2009年、毒性が強く危険だからという理由で、市立学校に植えてある夾竹桃を全て伐採しようとしたことがあるが、反対する声があり、2週間で撤回している。
 綺麗な花だ。桃の花に似ているらしい。葉っぱは竹によく似ている。それで夾竹桃というらしい。ちなみに花言葉は「危険な愛」なんだそうだ。

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