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短歌+ショートエッセイ:真ん中にない中心



としん、としん せり上がりゆく心音を感じて都心という場所をゆく
/奥山いずみ


 東京出身っていっても、西東京だから……。
 こういう謙遜?の言葉を言われたことがある。西東京はみんなが思っているいわゆる東京とは異なります、という東京都民のリアルを語るひと言なのだろう。

 同じ用例として、横浜っていっても○○だから……などもあって、いずれにしてもthe 東京・the 横浜ではない場所が東京にも横浜にもあるということなんだと思う。まあ、茨城出身からすると、どっちも東京だし横浜なんですけどね。

「今日、都心に行ってくる」と東京で暮らすひとが言っていて、都心とそうでないエリア分けがあるのか、面白いなと感じた。
 都心、すなわち都の中心部。けれど地図上の中心にあるわけではなく、概念上の中心だ。そして、その始まりの地点もよくわからない。周囲に人が増えてきたな、という感覚があって、気がつくとわたしは都心という場所に足を踏み込んでいて、その心音を聞いている。

 



冒頭の短歌は、2024年9月8日 東京新聞朝刊 東京歌壇 東直子選として掲載された一首
Cover photo by Ryoji Iwata on Unsplash

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