レミーのおいしいレストラン
Ratatouille (米) 2007, Brad Bird 1h50 ★★★★★
公開当時の感想を発掘。んでここへ。だから前のものだよ。
ラタトゥイユとは
原題は 「Ratatouille」、話の鍵となる南仏料理の名前で、野菜のごった煮のこと。綴りの中にネズミ Rat が入ってる。
料理といいネズミの動きといい、描写が見事。
本編前
あ、本編の前に全く関係のない短編の上映がある。宇宙人の UFO 操作見習いと教官のやりとりで、これまたとてもいい。笑ったよ。
でも独立作品と知らず本編に関係あるのかと思ってたんで、頭の中では 「?」 がダンスしていた。
あと 「携帯を切って下さい」 等、映画館のマナーをカエルが歌いながら注意+宣伝するのも心をゲット。うまいね。ユーモアのセンスとアイデアにまいった。
ネズミの描写
で。ネズミね、毛がすごいんよ。頬擦りしたいわぁ。本物だと50万本あるところを3万本まで再現したとか。雷のあとボワってなってるところ。うは~ん。もこもこ大好き人間にはたまらんですよ。
濡れたときも気合の入ってること。もうね、大満足。あそこまでいくと逆に、ぬいぐるみ化されたキャラクターや着ぐるみを見たときにガッカリしそう。
他の描写
水の描写との合わせ方もすごかった。
こりゃまた!となったのがフランスパン。リアル、本物を取り込んだのかいねと思うほど。
「シュレック3」 は 「どうです絵の出来スゴイでしょ」 臭がプンプンした。確かに髪の描写とかすごかったけど、前2作に比べシナリオがついてかず、絵が浮いてしまったようにみえたんよね。でもこっちはそれが気にならなかった。
厨房訪問
団体さんでの厨房訪問中、慌てて隠れるシーン。やー最高。各自の隠れ方、床のタイルに重なったり、食い意地張ってるエミールも良い。食べるの早いね。
あ、料理にとりかかる前にみんなで並んで全身洗うとこ。一瞬どういうわけだかアウシュビッツを連想してしもうたよ。戻る。んでチーズ抱えておろし器滑ったりかわいい。
混ぜ具合が良い
リアリティーとフィクションの混ぜ具合が好き。ネズミが料理したり、人をぐるぐる巻きにしたり、巨大ロボットを操るがごとく髪をつかみスティック代わりに動かしたりってのは完全なフィクション。
逆に背景や料理は本物志向。どこまで実物に近いものを表現できるか挑戦しているのが分かる。んでその本物志向・偽世界の二つが同じ画面にあっても浮かず、違和感がないんよ。
人間もデフォルメされているんだけど、そこに実物のような料理があっても調和してんの。すごいよ。
フランスらしさ
あとフランス語版には本物のコックさんが声優として参加したと聞いた。つまり私が見たもの。クレジットをチェック。役はない。多分モブみたいな感じで厨房内の声を入れたんじゃないのかな。お気に入りのコックさんシリルの名を発見。全然気づかなかったよ、わっはっは。
フランス、パリを舞台にした話。人の、顔での感情表現やジェスチャーがフランス人ぽいと感じた。細かい所だけどとてもよく出来てるなあと。
見たのは吹き替えだったけど、オリジナルではフランス語訛りの英語とのこと。で、唇の動きは有名人をモデルにしたんだとか。あとで聞いて納得。もしかしたら口の動きだけじゃなく、顔やジェスチャーも参照したのかもね。
あれ見た!
レミーの作ったラタトゥイユはどっかで見たぞ!あの盛り付けを初めて見たとき、「こう出すんか!さすが料理人」 と感動した覚えがある。だから出てきたとき嬉しかったんよ。再現も見事だったし。
和風料理でいうなら、肉じゃがをああいう洗練した形で出すようなものだもの。ここまで喜んでおいて、でも誰が盛り付けしたのか、感動を与えてくれた主を覚えてないや。ごめんよコックさん。Jean-François Piègeだったかな?
コックさん達は
この作品を見てのインタビューを受けるフランスのコックさん数人を見た。撮影チームが厨房を撮りに行ったレストランだったり、星つきだったり。同じくTV番組でおなじみのHélène Darrozeのとこにも撮影チームが取材で入ってて嬉しかったなぁ。
非常に好意的な評価。特に料理の見た目。現実で 「厨房にネズミがいる」 のは論外というのは共通、一人、「でもレミーみたいな腕のあるネズミだったら厨房のメンバーに加えてもいいかも」 なんて冗談ぽく話してる人もいたよ。
最後
作品内の批評家の描写で特に好きだったのが二点。絵とシナリオ一つずつ。
絵。ラタトゥイユを食べた瞬間の表現。子供の頃、お袋の味を浮かべているところと、ペンを落とすところ。
そしてシナリオの部分。ラタトゥイユを食べたあとの批評。キャラクター作りや生かし方がうまいやね。絵も言葉も胸にきたよ。
(2007年8月の感想)