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進行肝細胞癌におけるテセントリク・アバスチン併用療法の有用性とか音声にまつわるモヤモヤについて

今日も夕刻は各社のWeb講演会を聴いていた。昨年からの疫病騒ぎで製薬会社主催の講演会がWeb配信される機会が増えているのであるが、とても勉強になるので重宝している。そしてエムスリーなどの株価はバク上がりというわけである。そしてMRさんたちは、、、

今日は主に中外製薬の肝細胞癌の講演を聴いていた。ポータルサイトはケアネットだ。仲の良かった中外製薬のMRさんのことは思い出さなかった。

現在、切除不能肝細胞癌の一次治療はテセントリクという免疫チェックポイント阻害剤とアバスチンという血管新生因子阻害剤の併用療法が標準となっている。私が医者になったころのことを想うと長足の進歩、隔世の感である。

Tregの発現が高い症例や、骨髄由来免疫細胞の発現の高い症例ほど併用療法の効果が高いなどというデータが提示されており非常に興味深い講演であった。VEGF経路を抑制することでそれらの免疫抑制機構が抑制され、腫瘍免疫が賦活化されると推測されるのである。腫瘍免疫はまだまだよくわからないことが多いものの、こうして最新の研究成果を面白く聴けるのであるから、今まで勉強してきてよかったなあと思ったのであった。

だが実際に心を傾けて聴いていたのは、もちろんエンタイビオでもなくて、ニー仏さんのキャスであった。ゲストに沼田和也牧師(ぐう聖)と友人のこゆるぎ岬さんを迎えた鼎談であった。

テーマは宗教、困っている人を助けること、死生観など多岐にわたった。とめどなくテーマが移ろっていくのは鼎談のよいところだ。とりとめのない、悪く言えばまとまりのないおしゃべりであっても、音声、雑音がもたらしてくれるサムシングによって一本筋の通ったものとして知覚されうる。あるいは自分の中に新たな思考を喚起してくれることが楽しかったりもする。これらは最近よく言及している、音とかライブ感のよいところである。

なかでも特に興味深かったのは、心霊現象についての話で、そこには文化的・民俗的なバックグラウンドが大きく関わっているのではないかという指摘だった。

臨死体験とかお迎え現象とか、かつては死者と生者の境が曖昧だったといった話も面白かった。死にまつわることは人間が作ってきた文物に大きな影響を受けるだろうし、単純に遺伝子にプログラムされたものとは思われない。サピエンスの営為は環境に影響を与えるだけでなく、サピエンス自身にも影響を及ぼすだろう。例えば現代日本は死を遠ざける社会とよくいわれるが、それは日本人の行動に多大なる変化をもたらしてきたであろう。

そうした影響は良いときもあれば悪いときもある。元々のプログラムと齟齬を来すこともあるし、その上をいってうまくハックするテクニックが生み出されることもある。というようなことを考えていると、進化心理学は非常に有用であるが、ときに単純すぎると感じることもあるのだった。


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はむっち@ケンブリッジ英検
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