『蒼穹の昴』再読
最近ひょんなことから『蒼穹の昴』を読んだのだ。
Kindle unlimitedになってるのが嬉しい。
初めて読んだのは約四半世紀前、出版されてすぐに当時通っていた予備校の先生が激推ししていたので読んだのだ。
四半世紀前と同じく、熱く心を揺さぶられた。しかし当然にもその質は少々違っていた。
当時は自分もこのように熱く生きなくてはという思いに駆られたものだが、今や人生の先が見えてしまっており、そこまで熱くはなれなかった。
その一方で、死にリアリティが出てくる年齢になったことで、やたらと死にたがる登場人物たちの心情は少し理解できるよになった。登場人物の一人が上司に向かって、自分は死という易きにつくが貴方には生きるという難しい道をいってほしいと言う。前に読んだときよりも、死ぬほうが簡単ということにやや説得力が増した。まあそれでも死ぬほうが難しいと今でも思ってるけどね。
李鴻章の香港租借の交渉も、香港返還が目前に迫ったあの時と違ったふうに読める。この四半世紀で中国本土は飛躍的な成長を遂げ、香港を名実ともに飲み込もうとしている(返還前後は香港人のアイデンティティ探しみたいな映画がやまほどあったね。いつか振り返ってみたいな)。
蛇足だけど、東洋史の知識が浪人生の頃よりはだいぶ増えたので、そういう意味ではより楽しめたといえる。
というわけで昔読んだ小説を再読して、感受性の変化などを確認できて良かったというお話でした。
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