今井むつみ他『算数文章問題が解けない子どもたち』読んだ
この本なかなか良かった。
著者らは広島県教育委員会の要請を受けて、「ことばのたつじん」、「かんがえるたつじん」というテストを開発した。
主に小学生を対象に、言語や論理をどれくらい扱えるかを測定するものである。
認知心理学の成果を援用して、かなり細かく項目が設定されており、個々の生徒の課題発見に有用と思われた。
今年に入って今井むつみ氏の著書を複数読んでいる。人間は抽象的な概念を操作する能力をいかに獲得するか、に関心を持つようになったからだ。
抽象的な思考力の発達段階をより高い解像度で理解できれば、その段階にあわせて課題をこなしていくことで、老いも若きもいつまでも能力を伸ばしていけるだろう。
ついでだから技能の習得について読んだ本をまとめておこう。
まずは母語の習得、母語での思考力の鍛錬について。
高校レベルの入試が読解力の訓練に良いという話。
今井むつみ氏の共同研究者の針生悦子氏の著書、強く推奨。
言語と文化の関係を描いた人類学の金字塔。
数についてもいくつか本を読んだ。
『ピダハン』の著者の息子が書いたもの。
数を扱う感覚について。
これら2冊は面白かったが、数や数学をいかに習得しているかについてはたいしたことはわかってないんだなあとも思った。
記憶についてもいろいろ読んだ。
記憶競技にはじまり、なぜ人間は忘れるのか、どうすれば覚えられるのかまで幅広く論じられている。ジョシュア・フォアの本が一推し。
英語学習、第二言語習得論についてもいろいろ読んだのだ。
中田達也氏の本には引用文献が明記されているので信用できる。
こちらも豊富なエビデンスをもとに第二言語習得について解説したもの。網羅性が高いのでおすすめ。
こちらの記事では論理的思考能力を磨くには英語の資格試験を利用したらよいことを論じた。
記憶力や思考力と身体性は明らかに関係している。
スポーツ心理学はお勉強にも応用できそうだなあと思った。まあそういうことを抜きにしても純粋に面白い。
チェスと太極拳の達人が、技能習得について語る。めちゃくちゃ面白い。
ここに上げたもの以外にも学習については山ほど読んでいるのだ。
おかげであのクソめんどくさい、乳癌の薬物療法や腋窩マネージメントを覚えることができた。
しかしラテン語の格変化はなかなか覚えられないのであった。