『南伝 ブッダ年代記』そして仏教の始まり
いろいろあって今さらながら仏教のお勉強を始めたのだが、開祖たるブッダの生涯について知る必要があるだろうと思い、書店で探しているとこの本にいきあたった。
南伝とはスリランカから東南アジアに伝わったという意味で、今のところ上座部仏教により関心があるのでちょうどよいように思われ、購入したのであった。著者はインドネシア出身であるが、ミャンマーで著名な業績をあげていたというのもポイントだった。
ゴータマ・ブッダの前世から入滅後の第一結集くらいまでが描かれている。「こんな糞尿のつまったただの革袋、足でも触れたくない」など私でも知っているほど有名なエピソードを始めとして色々と詰めてこまれている。したがって網羅性に関しては問題ないように思われた。
ゴータマ・ブッダとその高弟はまあまあ怪力乱神なのだなあと驚いた、というか私が無知すぎただけなのだが。さらにゴータマ・ブッダは実家太い、イケメン、文武両道と噂以上のチートキャラであった。
というわけで楽しく読んだのだが、いかんせん地名を始めとして固有名詞が多くて苦労した。基礎知識の不足を痛感させられたというわけである。読み終えた後、Amazonをボケっと見ていたらまたしても良さげな一冊を見つけてしまった。しかもKindle Unlimitedだ。
著者はインド哲学がご専門ということで、ゴータマ・ブッダとその時代について過不足なく説明してくれる。商業が発達してリベラルな時代思潮で様々な思想が花開いた。たとえばしばしば六師外道とひとくくりにされる同時代の宗教思想に平易な解説がついており、原始仏教の立ち位置がわかる。
そして出家主義であったインドにおける仏教は、在家を組織化することができなかったため、イスラム教の勢力が侵入してきたとき誰にも守ってもらえず、インドからはほぼ消滅することになったとのことだ。仏教の後にインドで隆盛するヒンドゥー教との相違も含めて説明されていて理解が進んでよかった(KONAMI)
根本分裂、部派仏教の時代、スリランカや東南アジアへの伝播、チベットにおける大乗仏教の確立、中国ほか東アジアへの伝来など駆け足ではあるものの、おおまかに述べてあり、仏教という多様で豊穣な宗教思想の全体像を捉える上でたいへん助けになった。
どうも著者は初期の大乗だったり中観派がとてもお嫌いっぽうのが引っかからなくはないが、こっちを最初に読めばよかったな。。。
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