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#928 映画論36|座頭市

最近は専ら「(北野)映画論」になっておりますが、本日は2003年に公開され、日本国内で観客動員数200万人を記録し、北野映画最大のヒット作となった日本映画界不朽の名作「座頭市」を紹介しましょう。

前作「Dolls(ドールズ)」からわずか1年での公開。気合入ってます。


座頭市(ざとういち)とは?

まず座頭市とは何かを説明しますと、
座頭ざとうには諸説意味があるんですが「琵琶法師の座に所属する剃髪した盲人の称」とか「江戸時代に盲人が幕府から許されて高利で貸し付けた金」とかなのですが、とにかく目が見えないことを意味する語です。
で、いちは名前なので、週刊少年マガジンでいう所の「特攻の拓」とか「破壊王ノリタカ」とかと同様の言葉と考えてもらえればと思います。

そんな市を演じたのは昭和の名俳優、「勝新」こと勝新太郎ですね。

そんな感じで目が見えない市なのですが、メチャクチャ強いんです。
視覚が無い分、嗅覚とかが優れており、目が見えている敵よりも余裕で強かったりする設定が秀逸であり、結構漫画とかでも目が見えないキャラが強かったりするのは、ルーツは座頭市、そして勝新にあるでしょう。
ONE PIECEの藤虎は完全にモデルが勝新ですね。

そんな感じでまとめると、盲目の侠客である座頭の市が、諸国を旅しながら驚異的な抜刀術で悪人と対峙する、アクション時代劇で、それが時代を越えて、平成の名監督・北野武によってリメイクされたんですね。


座頭市(ざとういち)の魅力

元々、座頭市の放映権は勝新の関係者の方が持っていたんですが、その方が「是非たけしに、新しい座頭市を作って欲しい」と依頼して制作された背景があるようです。
そんな感じで、たけしが色々とぶち壊して再構築した座頭市、結構昔に見たんですが部分部分で今も印象に残っています。


1. 北野流バイオレンスは健在

たけし映画初の時代劇ですが、冷静に考えるとこの時代は人が死にまくるんですね。なので、ソナチネとかBROTHERとかの非じゃないくらいに人が死ぬんですが、まさにたけし映画の真骨頂ですね。
そして、殺陣のシーンはメチャクチャカッコいいです。
賭博のシーンで不正を見つけた際とかカッコよかったですね。


2. 音にこだわった演出

前作のDolllsは「色彩=視覚」にこだわりましたが、今回の座頭市は「音楽=聴覚」にこだわりがあります。
畑を耕すシーンでも桑の音とかがいい感じのリズムだったりで、センスを感じます。
そして有名なタップダンスも見ごたえ、聞きごたえがありますね。


3. たけしの新解釈

まず、市のたけしが金髪なのが新しいんですが、他にも独自の演出、独自の解釈があったりするんですが、何といってもラストシーンでしょう。
これまでの設定や前提を覆すラストはなかなかビックリでしたね。


座頭市の好きなシーンBEST7

7位 冒頭で無双する市

まず、オープニングで盲目の市を相手に、六平直政さんを筆頭とするヤクザたちが絡むんですが、市が一蹴!メチャクチャ強いです!
冒頭でこのような最強の殺戮マシーンである所を見せつける演出は流石ですね。


6位 市を世話してくれる女性の一家

そして町で知り合った農民の女性と仲良くなり、市は「按摩さん」と呼ばれて家に招かれ、宿と飯をもらう代わりに按摩の施術をしてあげてギブアンドテイク、持ちつ持たれつの関係となるんですが、この女性役がメチャクチャリアルで良い役者でしたね。


5位 凄腕の素浪人・浅野

そして浅野がメチャクチャカッコいいんです。
病弱の妻に薬を買うため、町で一番悪い岸辺一徳の用心棒になり、悪い事にも手を染めたりするんですが・・・とにかくカッコいいです。
たけしと浅野がどっちが強いかが気になりますね。


4位 使命に燃える姉妹

そして市よりメインで、物語の主役的な感じで動くのはこちらの姉妹です。
結構裕福な商店の子供だったんですが、あくる日、家に忍び寄った強盗に家族を惨殺され、その犯人を追い続ける姉妹なんです。
ひょんなことで市と知り合い、市が揉めている相手が敵と知り、市のサポート的な感じになるんですね。


3位 市と浅野

そして市と浅野のつばぜり合いはカッコよかったですね。
この辺のバトルが、この物語のクライマックスです。


2位 タップダンス

そして戦が終わり、最後は祭でみんながダンスと言うピースな展開になります。この辺の演出は有名で、この作品を見たこと無い人も「たけし版の座頭市はタップダンスがあるやつ」と認識しているでしょう。
プロが監修しているだけあり、本格的でカッコいいですね。


1位 驚愕のラストシーン

そしてラストシーンはなかなか衝撃でした。
この辺は実際に見てみて感じてください!


まとめ

そんな感じで時代劇はほとんど見ないというか苦手だったりする僕なんですが、それでも楽しくスムーズに見る事ができるのは、流石の北野監督作品ですね。
時代劇好きな人はもっと楽しめると思うので、是非チェックしてみてください!

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