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#742 映画論26|ニュー・シネマ・パラダイス

映画論、本日はイタリア映画不朽の名作と呼ばれた「ニュー・シネマ・パラダイス」を紹介しましょう。
イタリア映画は「ライフ・イズ・ビューティフル」以来の紹介になりますが、テイストは違えど、どっちも染みる映画ですね。


ニュー・シネマ・パラダイスとは?

主人公は中年の映画監督・サルヴァトーレ通称トト
そんな彼のもとにあくる日、実家の母親から電話があり「アルフレードが死んだ」という訃報が届き、そしてトトの少年時代の回想シーンから始まります。
完全なるスタンド・バイ・ミー形式ですね。


トトが少年だった戦時中の時代、トトが生まれ育った田舎町では娯楽が乏しく、街に唯一ある映画館のみが街の人々が楽しむスウィート・スポットだったんです。
で、トトは映画に夢中になり、映画館で映写室に忍び込んだりする悪ガキになり、そんな映画館で働く映写師の頑固親父のアルフレードに追い出されるんですが、徐々に仲良くなり、映画館で火事があった時にアルフレードをトトが助けたりして、その絆は更に深まります。
中年と子供の友情を描く、菊次郎の夏形式で物語は進みます。


そしてトトも大人になり、立派な映写師になり、自分での映画撮影にも興味を持ち、恋をし、恋した女性を撮影したり・・・と青春を過ごすのですが、そんなトトにも徴兵令が下り・・・
そして戻ってからが少し切ないのですが、この辺はミスチルの深海の「ゆりかごがある丘から」を聞いてほしいですね。


そして戦地から帰ってきたトトに対して、「旅に出ろ」と言ってトトをアルフレードが送り出してくれる感じですが、この辺の下りはまさにハイスタのGROWING UPの世界観ですね。


そして数年が経ち、映画監督として成功したトトに、冒頭の訃報が届き、そこからまたストーリーが動く感じです。


ニュー・シネマ・パラダイスの魅力

1. 中年と子供の安定感

上でも紹介した通り、この手の菊次郎の夏パターンは割と王道パターンなんですね。更に子供が可愛ければ尚盛り上がりますし、このトトの幼年時代の可愛さは半端ないので、まさにこのパターンがハマった感じですね。
「映画館」という場所で、こうした世代を超えた友情が芽生えていくのは非常に素敵です。


2. 戦争が主張しすぎない世界観

この映画も戦争がテーマなんですが、そこまで引っ張られないというか、戦争が一つの物語の切っ掛けにはなっていますが、主張しすぎていない感じが個人的にはすごく好きですね。
ライフ・イズ・ビューティフルも僕はあれを戦争映画と思っていないので、そんな感じで「戦争は悲惨だ」「戦争は悲しい」の主張ではなく、それとは別のメインテーマがある感じが良いですね。


3. 映画で「映画」をやること

この劇中劇的なのも実は結構なテクニックだと思っています。
見に行った映画で、「映画は楽しい」「映画は何もかもを忘れられる」という事を登場人物みんなが言う映画を見ていると、自分たちも「…そう思わなきゃ」というサブリミナル効果が働くんですよね笑
こうして認知的不協和を上手く使い、宗教団体は洗脳していくんでしょうね笑


ニュー・シネマ・パラダイスの定説

そしてこの映画を見る上で、上級者たちがよくいうアドバイスがありまして、この映画は「通常版(2時間)」と「完全版(3時間)」の2種類があるんですけど、たいていの人が「通常版」を推します

僕も過去にそう言われており、むしろ「完全版と絶対間違えないように!」と強めにアドバイスされており・・そのアドバイスに従って通常版を見たんですが、完全版と見終わった後の印象がまるで違うとのことです。

まぁ何が違うのかはあえて語りませんが、とにかく長ければよいというものではなく、ある程度言わなくても脳内で補完したり、結末を予測したり、余韻を楽しんだりする、そうした「余白」も大事ということですね。

そんな感じで僕は通常版しか見てないですし、完全版は情報でしか知らないのですが、そんな僕がまだこの映画を見ていない人にアドバイスできるのであれば、「通常版を見ろ!」ということですね笑


まとめ

そんな感じで不朽の名策と言われている本作はふかわりょうとかもフェイバリットに挙げていた記憶があります。
誰が見ても面白い映画だと思いますので、是非見てみてください!(通常版を)


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