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#673 映画論23|十二人の怒れる男
懐かしい映画行きましょう。
本日紹介するのは1954年にドラマ版が製作され、1957年に映画で公開された作品「十二人の怒れる男」です。
「十二人の怒れる男」とは?
![](https://assets.st-note.com/img/1716694056902-ZpwRVGKw7g.png?width=1200)
僕が初めてこの映画を見たのは確か大学の授業でした。
ゼミかなにかで教授がサボった説が濃厚ですが、とにかく面白くてみんな引き込まれた記憶がありますね。
そのあともう1回見た記憶があるんですけど、それはいつか忘れてしまいました。
「有罪間違いなし」と思われた貧困層の少年による殺人事件が、12名の陪審員たちの熱い議論により徐々に無罪へと傾いていく話であり、「法廷もの」に分類されるサスペンスドラマ・サスペンス映画であり、密室劇の金字塔として高く評価されている作品です。
そう、この映画はシーンチェンジがほとんどなく、全て「会議室」で行われるんです。これを1957年に作ったというのが凄い。
本作品の発端は、レジナルド・ローズ(作者)が「実際に殺人事件の陪審員を務めたこと」であり、その約1ヶ月後には、本作の構想・執筆に取りかかったそうですが、日本では、アメリカの陪審制度の長所と短所を説明するものとして、よく引用されているようです。
「十二人の怒れる男」あらすじ
![](https://assets.st-note.com/img/1716695046445-9bwQXHs27a.png?width=1200)
スラム育ちの18歳の少年が「自宅で父親をナイフで刺し殺した」とされる事件の裁判で陪審員に選ばれた12名の男たちは、6日間に及ぶ法廷での傍聴を終えて審議に入るのですが、この審議として物語がスタートします。
もし少年が有罪となれば1級殺人罪で「少年の死刑が確定」することになっていたのですが、有罪か無罪かの評決は全員一致していることが原則であり、まずは挙手で有罪か無罪かの投票を行うんです。
すぐに有罪が確定するかに思われたのですが、建築家の陪審員8番だけは無罪を主張し、ここから内容が面白くなります。
有罪派の11人は色々な人がいます。
中学校の体育教師、気弱な銀行員、息子とうまく行ってない会社経営者、トレーダー、スラム出身の工場労働者、塗装工、早く帰って野球を見たいサラリーマン、建築家、老人、自動車修理工場経営者、時計職人、広告代理店営業マンetc…
そして、陪審員8番が何故少年が無罪であるかという根拠を話していくのですね。
「十二人の怒れる男」魅力
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もう物語は上に書いた通りなのですが、その8番の主張に、少しずつみんなが惹かれていきます。
8番はこんな密室で短時間でロクに議論もせずに有罪と決めるのはおかしいので、しっかりと議論をしましょうという趣旨で「犯行目撃者の証言は果たして本当に正しいのか?」という点にフォーカスを置いて話していくのですが、有罪を主張していた11人の心情が少しずつ変わっていきます。
最初に撤回したのは老人でした。
「もう少し議論をするべきだ」という趣旨で無罪に変えて、「有罪:無罪=10:2」となりましたが、91%が有罪を主張していた世界が、83%になった時点で大分違いますよね?
ここから「無罪派」の巻き返しが始まります。
冷静に考えてみると違和感のある証言など、少しずつ明らかになる矛盾が生まれて・・・徐々に無罪派が増えていくんですね。そんな感じで
実際のレポートは下記のブログが非常に秀逸なので、気になる人は是非見てみて下さい。私も「あー、そうだったな」と思い出しながら振り返りました。
まとめ
そんな感じの70年くらい前の映画と思えないくらいの名作ですが、日本の裁判員制度に異を唱えるというか、警鐘を鳴らす作品ですよね。
「人が人を裁くという判断を印象で行ってよいのか?」と、精度に対して一石を投じる名作です。
是非、これは多くの人が見るべき作品ですね。