【シン・システムでもなんのその】チェルシー2-0トッテナム・ホットスパー
スタメンとフォーメーション
ホームチーム・チェルシーは4-3-3スタート。
3-4-3ないし3-5-2で戦ってきたが、ここに来て両WBできるリース・ジェームス、左で高い攻撃力を持つベン・チルウェルが故障。3バックもアンドレアス・クリステンセンがコロナ陽性判定で欠場、若いトレヴォ・チャロバーもコンディション不透明という、最終ラインクライシス状態で挑んだことが4バックスタートの要因だろう。
アウェイチーム・トッテナムは奇跡のレスター戦からスティーブン・ベルフワイン、マット・ドハティーがスタメンに入った4-4-2。ドハティが右SH、攻撃的な右SBエメルソン・ロイヤルを外し、ジャフェット・タンガンガが右SBに入ったのは、右の守備力強化か、はたまたいつでもコンテ式3バックに変更できるという含みか。
新しいシステムと共に
チェルシーは前述の通り、普段3-4-3、ないし3-5-2で戦っており、リーグカップで2試合トッテナムと対戦した時も、両試合4-2-2-2を使用している。
今節の4-3-3はトーマス・トゥヘルになってからも多分前任フランク・ランパードから引き継いだ時以外ほぼやっていないと思う。
そんな中でのスタートは両SBはほぼオーバーラップは自重、前5+ジョルジーニョの6人に攻撃を委ねた。
トッテナムはトッテナムで、まずリーグカップの4-2-2-2を使われた初戦で面を喰らった感があったため、この試合の立ち上がりは探り探りで始まった。最初の10分は相手の保持時の立ち位置を見ながら、ハリー・ウィンクス、ピエール・ホイビュアはコヴァチッチ・マウントが自分の背中にいても立ち位置でパスコースを切り、マンツーで付く気はさらさらなかった。
トッテナムは左SBのベン・デイビスはそこまでジヤシュに詰めることはなかったが、右SBのタンガンガはハドソン=オドイにボールが入った際、アプローチを強めた。
ハドソン=オドイも、シティのスターリング・グリーリシュのように相手アタッキングサードの大外レーンで張るのではなく、相手ミドルサード付近でボールを受けるケースが目立った。引っ張れたタンガンガのスペースにハーフスペースからコヴァチッチが走り込んでいく。これでウィンクスが付いていき、オーバーロードを作った真ん中からジョルジーニョが展開していくシーンが8分、14分、30分、45+1分と見られた。
逆サイドのマウントはマウントでより深い位置でポケットを取っていく動き。動きとすれば、シティのスターリング-ベルナルド・シウバの関係に近く、自分の右足でのクロス(31分)、もしくはジヤシュの左足でのシュート(11分)、クロス(3分,23分)と、ゴールへ迫っていった。
無策ではなかったが・・・
そんなこんなで押される展開が続くトッテナム。2人前の指揮官、ジョゼ・モウリーニョかのような4-4-2、守る展開が続いていく。
しかし今の監督はコンテ。保持の際に打てる手は打っていく。
基本は押し込まれるので早いカウンターは打てない中で誰もが思いつく手はロングボール。ベルフワイン・ケインの個は勿論、ドハティ、ライアン・セセニョンも押し上げ、前4枚で数で戦いに行く。
後ろはというと、タンガンガが押し上げられ、以外3枚が最後列でビルドアップする3-3-4の可変型のような形。相手は守備時4-1の計5枚、これでウィンクス・ホイビュア合わせ数的には同数でビルドアップになる。
しかし24分、35分と、この形を使いビルドアップ(結果ロングボール)をしたが簡単に相手ボールになる。
配置的にはオドイがダイアー・タンガンガの2枚を見ることになり空くのだが、セセニョン・ドハティがあまり前に張らず、勝手に下りてくるところからビルドアップのゴールがよく分からなくなっていた感がある。
その他、13分ウィンクスの突撃でチャンスを作るも、ゴールならず。
フォーメーションの噛み合いの悪さは4-1-4-1のチェルシーに対し、4-4-2も3-3-4も然程変わらなかった。
その日の収穫はその日に活かす
後半開始2分、ついにゴールが生まれる。スタート1分の狙いは前半から変わらないチェルシー、タンガンガが1枚イエローを貰ったのも加味し、サイドの攻勢を強めていく。
ハドソン=オドイがボールを受けた所から、タンガンガをぶっちぎる。まずここでオドイのハーフスペース・中へのランニングが入る。そしてコヴァチッチの前半と同じ、外へ流れるランニング。この試合固まったオーバーロードは今度は反対サイドのジヤシュにスペースを作る。ジヤシュと1vs1のセセニョンだったが、今度はアスピリクエタが横切っていく。一瞬空いたタイミングでジヤシュのシュートが左隅に流し込まれて行った。
チェルシーは得点後も緩めない。トッテナムが保持に対し、前に出始めたところで中盤の4のラインが乱れ始める。
52分、ホイビュアの後ろを突いたマウントから左のハドソン=オドイへ。
また走るコヴァチッチを囮に空いたバイタルのマウントへパス。シュートは惜しくも外れたが、先制点とほぼ似たような形でチャンスを作っていく。
追加点もまた左から。55分、コヴァチッチ→オドイのワンツーからダイアーのファールを誘い、FK、マウントのボールをチアゴ・シウバが合わせ2-0。この時点で勝負ありという展開になった。
トッテナムは56分、タンガンガ→オリヴァー・スキップ、セセニョン→ルーカス・モウラ。ドハティーが下りて、ルーカスが右WGの4-3-3に変更。これを1失点目の後にしたかったか、2失点目の後にしたかったのかはわからない。ビルドアップは変更前よりもスムーズになった感じはあった。ドハティのオーバーラップから68分、チャンスを作るなどするが、チェルシーはチェルシーでハドソン=オドイを下げた5枚で対応する柔軟さ。そんなこんなでスパーズにゴールは生まれず、2-0でゲーム終了となった。
感想
チェルシーはなんかこの数試合自分たちペースで試合ができていなかった中で、新システムの当たりも含めて大きな白星になった。
この試合までの直近で落としたポイントが多すぎた分、リーグで上に行くのは厳しい気もするが、選手起用に更なる幅を広げそうな4-3-3。指揮官トーマス・トゥヘルは試合後のインタビューで「一つの方法だね。今日、4-1-4-1を試したのは、1試合目で4-4-2を試して有利になり、2試合目で相手がそれに反応したから、選手たちに新しい解決策を与えるアプローチになるかもしれないと考えたからだ。」
「3-4-3だけよりも選択肢が増えるけど、今後どうするか今はまだ決めない。」とコメントした。フットボールファン目線で見ると、残りシーズンで成熟していけば、狙う欧州連覇も見えてくる気がする。
トッテナムはこれでコンテ体制リーグ戦初黒星。これで対チェルシーはカップ戦含め3連敗。試合を見れば、VARでノーゴールになったシーンが認められていれば、というのもあるがそれはたられば。試合だけ見れば完敗であった。
ボール保持等にはまだまだ改善の余地はある。各ポジションの選手選択含め、目が離せないチームであることには違いない。
最後に
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