読了「自分の怒りタイプを知ってコントロールする はじめてのアンガーマネジメント実践ブック」
リモートで仕事をしていると、たまに同僚から「感情の起伏が小さいですね、怒ったりすることあるんですか」などと言われることがある。リモート勤務だから、業務時間の、それも一瞬だけの時間を同期的に共有しているため、相手の感情が伝わりにくいのは要因としては大きいのだろう。そういうコメントをくれる相手が他人に対して配慮できる人物だからこそ、そういったコメントが(気配り観点からも)出てくるのかもしれない。
怒らない性質かといえば、実際のところ、そんなことはない。私を深く知る人物は冒頭の発言を見て一笑に付すだろう。むしろ年々喜怒哀楽の波は大きくなっているようにすら感じる。業務でも、そうでなくても、「いやそんなことで怒るかい?」みたいなことで、気づけばカッカしている。自分で気づくと悲しくなる。
喜怒哀楽のうち、一番暴力的で、破壊的で、不可逆的な変化を外部に与えてしまうのが怒りだ。怒りたくないし怒られたくない。アンガーマネジメントというキーワードを気にかけて、この本を始めとする情報にアクセスする人たちの出発点は、大なり小なりの差はあれど、こういうところなんじゃないだろうか。
アンガーマネジメント診断から自己分析をする
本書はより詳細に記載があるが、インターネットには日本アンガーマネジメント協会監修の資料は多く存在するので、手始めに自己分析をするのにはそういった資料から入るのは有効だ。
ポピュラーでクイックなアンガーマネジメント診断は、12問からなる質問に答え、6つのタイプに振り分ける、ごくかんたんな仕組みになっている。
以下のSpreadsheetは、自分のGoogle Driveにコピーをすることで、診断表のプルダウンが使えるようになる。
私はというと・・・
公明正大: 8
博学多才: 9
威風堂々: 8
外柔内剛: 10
用心堅固: 7
天真爛漫: 10
値は2から12の範囲内に収まるので、こうやって見ると比較的どの項目にも当てはまっている部分があって、やや怒りやすい・・・自分で自分を生きづらくさせている傾向があるようだ。
「外柔内剛」については、冒頭でも触れたとおり身に覚えがある一方で、「天真爛漫」については自己認識がなかったので新鮮な気付きだった。確かに1on1などで「一度立ち止まって熟考せよ」とか「悩んだらたとえ自分が否定的意見を持っても他者の意見を受け入れよ」とか言われた記憶があるので、こういったところにつながっているのかもしれない。
マネジメント出来るという思い込みからくる危険性
この本の内容の本筋とは離れるが、読み終わったあと真っ先に感じたのは、この本を読んでわかった気になっているのがむしろ危ないのではないか、ということだ。
自分が我をも忘れるような怒りに触れたら。
圧倒的な怒りの力で他者が攻撃してきたら。
本書にも記載があったが、人間には感情を受け止めるコップがある。コップは見えないから、あとどれだけキャパがあるかわからない。コップの大きさも人それぞれだろう。
育児、介護、激務、上司部下同僚との軋轢、コミュニティ内の不和、不景気、流行病、etc。そういった外部要因で、コップの中身は表面張力ギリギリだったりしないだろうか。
そしてそういう境遇の人ほど、今の環境から逃げるという選択肢を、かんたんに選ぶことが出来ないでいるのはではないか・・・。
自分が「あと一滴でもコップに水が入ればあふれる」という状態に気づかないまま、どうにか制御しようともがくと、悲惨なことになるかもしれない。
自分で環境を変えていくことには限界がある。「もしかしたら制御出来ないかもしれない」という境遇に陥ったら、完全に制御を失う前に、周囲に支援を求めるのがいいだろう。いつか境遇が良くなるだろう、誰かが支援してくれるだろうというのは、そんな甘い話はないのだ・・・。
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