読了「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」
元はと言えば育児関連の知識を得たくて手にとった本だった。どこで覚えたか定かではないが「モンテッソーリ教育」という言葉だけが脳裏に残っており、幼稚園の選定(と言っても息子の入園まではまだ2年以上あるが)に先だって知識を得ようと思ったのだった。
自律性のある子ども
私はかつて新卒採用に携わったことがあった。日本の就活市場は独特で、未だに一括採用が主流だ。欧米の大手IT企業が謳うようなプロダクト開発手法や先進的な組織づくりをいち早く導入しているWeb系企業ですら、である。
このトレンドは、少なくともあと数十年は変わらないと見込んでいる。そもそも少子化が進んでおり解消が見込めない日本では、今後新卒採用に頼って人材獲得するような企業は、資本とビジネスが一定規模安定している一部企業に限定されるだろう。
高齢化も子どもたちに重くのしかかる負担だ。いま時点からあらゆる税金が軽減していくとは、到底思えない。厚生労働省の調べによれば、年収の中央値は437万円。年収はほぼ横ばいかややダウントレンドであるのに対し、物価は基本的にアップトレンドであるので、子ども世代は自分たち世代より貧しい環境に置かれる、という推測が出来る。
この厳しい国内で(子どもが望むならアメリカでも中国でも好きに行ったらいいんだが)、税金を正しく納め、自分らしく生き、そして家族を養っていくには、それなり以上の生きる能力(誤解を恐れず言うなら収入を得る能力)が必要である。
自分で考え、自分で判断し、自分で行動し、自分で振り返り改善する。要するに自律であるが、これをモンテッソーリ教育とやらは伸ばしてくれるようだ、というのが、当初の理解だった。
モンテッソーリ・メソッドとピープルマネジメントの共通点
かつて誰が言ったか、「子を育てた経験のある人は管理職でも成功する」という言葉がずっと引っかかっていた。自分の中で育児経験と管理業務が接続しなかった。子を持たない方にも立派な管理職はいらっしゃり、その逆も数多く見た。
自分もいつしか管理職(エンジニアリングマネージャーという役割を管理職と定義するのは違和感があるが、広義で言えば管理職)となって5年は過ぎた。子どもにも恵まれ、親としての経歴もこの春で2年だ。
子を育てた経験のある人は管理職でも成功する・・・改めてこの言葉を振り返る。
自律性を持って行動できる
得意分野をしっかり伸ばす
粘り強く挑戦する
上記3点を踏まえると、育児と組織マネジメントは確かに共通項がある。
モンテッソーリ・メソッドは組織内のピープルマネジメントに直結するエッセンスが多くて共感が多い。
振り返っておきたいスタンス
あえて育児ともピープルマネジメントとも取れるような言い回しに置換してみたが、文脈に整合性が取れそうだ。
リードではなくサポート
環境づくりに徹したら、まずは自由に試してもらう。助けを求めてきたときだけ支援する。
体験の提供
クリティカル(文字通り致命的、もしくは修復不可能)でない限りは失敗を回避させない。成功も失敗も共感する。
興味のフェーズに合わせた関わりをする
特定の事柄に対して強く反応し吸収する時期があるので、それに合わせた関わり方をする。
終わりに
2歳にもなっていない子どもに対し、幼稚園をどうするか・・・という判断をするのは、やはり少し早いし、不確実要素が大きいとは思っている。モンテッソーリについて多少の理解が進んだところで思うのは、別にモンテッソーリメソッドにこだわる必要は特になくて、良い体験が得られることがまず第一だと再認識した。フレームワークとして優秀なのはそのとおりだが、まず親である自分が振る舞いを変えることでまだまだ子どもに良い影響を与えられるだろう。
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