ビートルズ? なにそれ美味しいの? 『教養として学んでおきたいビートルズ』
最近はビートルズを知らない世代、若者がいるという。ビートルズの曲を多少は知っていても、メンバーを知らないなんてことも……。
そうか、そうなのか……、もうそんな時代、世代なのか……。我が家では、いまでも土日の昼間にはときどき赤盤、青盤をかけているので、子どもたちの耳には触れていると思うが、たしかにメンバーまでは……、そういえば妻もジョン・レノンとポール・マッカートニーしか知らない……。
本書はビートルズ愛に満ち溢れた本で、根っからのビートルズファンというわけでもない自分からしても面白かった。
ジョン・レノンの「ぼくが音楽業界に遺したもっとも大きな貢献は、ポール・マッカートニーを発掘したことだ」という言葉が素敵だ。
リンゴ・スターは気さくで明るい人らしいが、彼のジョークが面白い。
「ビートルズでいちばん好きな人の人気投票をやっても、ぼくは一位になれないよ。でもね、二番目に好きな人の人気投票をやれば一位になれると思う」
また、リンゴとアメリカでの記者とのやりとりが紹介されていて傑作だった。
記者「ベートーヴェンが、あなたたちの曲に登場しますね。彼のことをどう思いますか?」
リンゴ「彼はすばらしいよ。とくに詩がね」
思わず吹き出してしまった。
彼ら四人をデビューさせたブライアン・エプスタインという若いマネージャーについての章は、なぜか強く心に残った。
ブライアンが四人と出会ったのは、彼が27歳のときだ。ブライアンと組む前、ビートルズの四人は、
ステージ上でタバコを吸ったり、飲食をしたり、客に背中を向けたり、仲間内でジョークをいい合ったり、客席にいる人たちに大声で呼びかけたり、マイクに向かってゲップをしていたのである。
そんな彼らが広くファンを得るために、ステージでは革ジャンではなくスーツを着せ、ステージマナーを徹底させた。
ビートルズは当初レコード会社との契約をなかなかとれなかった。ブライアンは決してめげることなく、彼の尽力によってビートルズはレコーディングにこぎつけ大成功をおさめた。
ところが、である。
ビートルズが有名になりコンサートをやらなくなると、ブライアンの存在意義は薄れてしまった(音楽業界に疎いので、なぜそうなるのか分からないが……)。
ブライアンには戻る家庭がなかった。彼は同性愛者であるという、当時としては厄介な問題も抱えていた。自分の居場所を失ったブライアンは、孤独をまぎらわすために薬物への依存を深めるようになった。そして、それがもとで命を落とすことになった(睡眠薬の過剰摂取が死因とされている)。
粗野な四人を「ファブ・フォー」(素敵な四人組)に変えるなど、ビートルズに魔法をかけ終わると、ブライアンはこの世からすっと消えてしまった。まだ三十二歳だった。
本書を読むにあたって、BGMにビートルズの音楽をかけようと思い、Amazon Musicを検索したら「1」というシンプルなタイトルのものが見つかった。聴いてみると、これが非常に良かったので、ぜひ一緒に。
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