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出前授業が目指すもの

最近noteの記事も、観劇やら、お出かけやら、観劇やら、観劇やら、、って内容ばかりで、、。
友人から「最近、補助犬啓発より、推し活メインだねー」ってご指摘をいただきました。

はい、否定はしません。
チャンプとの啓発活動は、「日常」すぎて、noteに書く機会があまりないのに比べ、観劇などは新しい出会いや発見が次から次へと起こるので、ネタが尽きず、、。

まぁ、真夏の灼熱地獄で、チャンプと一緒に出掛けられないことが多かったことも一因かもしれません。
でも、夏休みが終わってから、また学校等への出前授業は再開し、多い時は週に3回とか授業しに行ったりしてます。
だってコレこそ、私が半生掛けて取り組んできたライフワークですからね。
なので今回は、私が子どもたちへの出前授業について、書いてみようと思います。

出前授業とは

「出前授業」とは、会社に勤める人などが、小学校や中学校で行う、特別な授業のこと。
普段、学校の先生が教えるのとは異なり、企業に勤めている人など、「学校の先生」でない人が授業をすることは、テーマもさまざまで面白いだけでなく、子どもに 
社会の一員として考えて行動を起こすきっかけにもなる、と、注目されているそうです。
私は企業人ではありませんが、まぁ、数の少ない聴導犬(補助犬)ユーザーでもあり、同世代の子どもを持つ親という立場(今はもう大きくなってしまいましたが)、そして何より会社などで就業してない「ヒマ」人であることも相まって、初代パートナーの美音(みお)との時代からポツポツとご依頼をいただき、今では、下は保育園から、上は大学まで、さまざまな学年にお声かけいただいて、授業に出かけています。

授業実施までの4ルート

私が授業をお受けすることになるルートは現在、大きく分けて4つあります。

1つ目が、東京都人権啓発センターの「人権問題体験学習会」のプログラムとして。

https://www.tokyo-jinken.or.jp/contents/hands-on/hands-on-index.html

10年ほど前に、「障害理解」のプログラムの一貫でお声かけいただいていたのが、最近は「ほじょ犬学習会」として一つのプログラムにしていただいてます。

ほじょ犬 学習会 テーマ 【障害のある人、補助犬】 補助犬を切り口とし障害理解・多様性理解について、当事者のお話を聞きながら学ぶ学習会です。補助犬のデモンストレーションや映像で学習を深めます。 実施内容:障害や補助犬についてのお話、 ユーザーによる補助犬デモンストレーション、映像視聴など講師:松本江理さん(聴覚障害者)、日本補助犬情報センター 体験人数:クラス単位 ◎学年単位◎全校対象◎ 時 間:1回90分程度
人権問題体験学習会パンフレットの「ほじょ犬学習会」部分抜粋画像

講師(私)とのやりとり、日程調整、そして費用なども人権センターの負担でやってもらえる、ということでかなりの人気らしく、かつ、ほじょ犬だけでなく他のテーマも含めて予算的な限度もあって、申し込みが殺到するとのこと。
そんな中、私は年に5回ほど、こちらのルートでいろいろな学校へお邪魔しています。

対象が東京都内のが学校なので、東は江戸川から、西は奥多摩、檜原村まで。そしてなんと、3年前には八丈島にも!

ちょっぴり非日常的な、旅気分の出前授業だったことを今でも思い出します。(なんせnote3回連載にも関わらず、授業については数行のみ、、観光気分丸出しでした)

東京都の公益財団法人の主催するプログラムとということも、信頼に足ると思っていただけるようで、ありがたい限りです。

2つ目のルートは私が理事を務めています「日本補助犬情報センター」経由。

日本補助犬情報センターは、補助犬の社会での理解と普及を目指すともに、補助犬を通して、障害者の社会参加を推進していくための活動を行ってます。
補助犬の育成ではなく、ユーザーが補助犬と社会でスムーズに暮らしていけるように、また社会が補助犬を伴った障害のある人をスムーズに受け入れていけるように、そして、あらゆる人が自分らしく生きていける社会になるように、そんな活動をしていますので、「障害理解」「多様性理解」は大きな柱になるわけで、、、。
また「補助犬」は盲導犬・介助犬・聴導犬の3種いるこもから、その全般に渡る、かつ訓練育成側でない立場、ということで、出前授業の依頼が集まり、私にも声が掛かります。
私単独だけではなく、盲導犬ユーザーさんとのコラボ授業もあったりします。こちらはセンターの事務局が横浜市にあることから、神奈川県内からの依頼が多く、、神奈川も広いので、時に練馬から逗子とかまで行っちゃったりしてます。

3つ目のルートが「株式会社リディラバ」さんの教育プログラム「SDGs/社会問題スタディツアー」として。

数年前からこちらのツアーに「補助犬への理解と課題解決」というテーマを組み込んでいただき、年に数回、授業させていただいてます。
こちらの特徴は、東京に来る全国津々浦々の中高生が対象になりうる、ということ。
最近の修学旅行が単なる観光だけでなく、「学び」を取り入れているところが多く、その中でのプログラムとしてなので、私が行ったことのない地域の高校生とかにも話ができるのです。
「明日はディズニーランド!」とウキウキしてる生徒さんたちにも、関心を持って心の残してもらえるような授業を心がけてます。

そして、最後が「口コミ」!
これのメインは、うちの子どもたちが通っていた小学校にいらした先生が異動先から呼んでくださるケース。また、PTA会長していた時に関わりを持った近隣校の先生や保護者経由でご依頼をいただいたり。
これも嬉しい!
馴染みのある先生と、懐かしい場所でお目にかかれたり、子どもたちの近況をお話ししたり、、
授業後、先生と話し込んでしまうこともたまにあります。

また先生経由だけでなく、ママ友が学校に紹介してくれて呼んでいただけたり、イベントなどでユーザートークを聞いてくださった方が企画してくださったり、、ありがたいことです。

ご来校ありがとうございます。 令和六年度 ※※小学校 道徳授業地区公開講座 講師 日本聴導犬パートナーの会 日本補助犬情報センター理事 松本江理 様 ご来校いただきありがとうございます。 校長室にお越しください。
ある学校で昇降口に掲示してくださったウェルカムボード

授業で目指すもの

やっと本題です。
「授業」と言っても対象は、6歳児から大学生まで。
講義みたいな形式もあれば、お話会とか、ワークショップみたいな形まで様々。聞いてくれる生徒さん学生さんの数もまちまち。
いちおう、「ほじょ犬学習会」なので、もちろんチャンプも同行し、「聴導犬とは」「補助犬とは」という話やデモンストレーション、「補助犬が抱える課題」などの話をさせてもらいます。
でも、私が授業する目的は、補助犬の専門家を増やすためではありません。
「補助犬」の存在や、補助犬と暮らすことでぶつかるバリアについて知ることを通して、社会にはいろいろな人がいるということ、自分という物差しだけで考えるのではなく、いろいろな考え方ややり方や生き方があるということ、を知ってほしい、という願いを込めています。

見えて、聴こえて、歩けて、、それが当たり前ではないということ。
でも見えない人も、聞こえない人も、歩けない人も、みんなと同じように、お出かけしたいし、美味しいもの食べに行きたいし、テレビも見たい、なにわ男子のライブにも行きたいと思っている。(←私だけ?)

でも、見える人、聞こえる人、歩ける人のことだけを考えて作られた社会では、困ることが起きてしまう。だからみんなとはちょっと違う方法を使ったり工夫をしている。
そんな話を、噛み砕いて。

小学生の場合は、「いろいろな人がいる」「みんな違いを持っている(障害だけでなく、あらゆる面で)」「お互いの違いを認め合い、尊重することが大事」ってことが伝わればいいかなーと思ってます。
これは、学校でのお友達関係にも繋がると思うので。

そして、高校生以上の場合は、「障害の社会モデル※」についても語ります。

障害の社会モデルとは、障害は個人の心身機能の問題だけでなく、社会環境や社会の仕組みなどの「社会的障壁」が合わさって作り出されるものであり、その障壁を取り除くのは社会の責務であるという考え方です

Google AIによる概要

その考え方を堅苦しい話ではなく、身近な出来事と結びつけてお話しするようにしてます。
なぜなら、多くの人は、障がい者の問題は、障害者という特別な人の問題で、自分たちとはちょっと離れた世界の問題って考えたり、自分たちは障害者のために何かを「してあげる」存在と考えたりしがちだけど、実際は、障害者は同じ世界にいるし、自分のすぐそばで、あるいは自分自身にも関わる問題なんだってことに気づいてほしいから。

ここでもなにわ男子ネタは活躍!
「私は“なにふぁむ”(なにわ男子のファン)だから、インスタライブやるって言えば見たいし、Blu-ray発売されれば、買って観たいのよ。みんなもそーだよね?」

「みんなは、「見たーい!」って思えば、すぐ見て楽しめるけど、私は、耳が聞こえないから、インライ見てもBlu-ray見ても、彼らがなに言ってるか、分からなくて全然楽しくないのよ(顔見てニヤニヤはできるけど)。そういう時、私は自分が「障害者だな」と感じちゃう」

「でも、もしそのBlu-rayに日本語字幕が出せるようになってたら、どう?私もみんなと同じように、きょへの言葉に笑ったり、みっちーの言葉にキュンしたりできるのよ。そうなったら、私は「障害者」でなくなるわけ。」

そういう話によって、「障害があっても人としての願いは同じ」「環境や社会が整えば、障害が障害にならなくなる」そういうことに気づいてほしい。

そんな思いで、これからも、あちこちの学校へ出かけ、たくさんの子どもたちと出会っていきたいと思っています。

最後に…

長くなりましたが、最後に。

多くの小学校では授業後に子どもたちが感想文やお手紙を書いて、それを先生が送ってくださいます。
私にとって、それを読むことがいちばんの楽しみであり、ご褒美なのですが、つい先日届いた感想の中の言葉をご紹介したいと思います。(個別に許可をいただいてないので原文そのままではありません)

私は、障害のある人は自分とは違う人間なんだと思っていました。でも自分と同じなんだと気づきました。今は歩けても年をとれば自分もつえが必要になったりします。体の不自由な人はそれが早くなったようなことだから「同じ」なんだと思えました。

私は「いろんな人がいる」をあたりまえにしたいと思いました。

小学4年生の「違い」「同じ」「あたりまえ」への思い。
こんな言葉を目にすると、私の授業に合格点がもらえたような気持ちになるのです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ぶーみおちゃんぷ
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