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諦めていれば傷つかない、その思いが苦しい〜映画「余命10年」〜

最初はInstagramのレビューアカウントの方に、ささっと書けばいいか、と思ってました。
でも書いているうちに、次から次へと思いが、、

余命10年 : 作品情報 - 映画.com
https://eiga.com/movie/95553/

映画.com

数万人に1人という不治の病で余命10年を宣告され、生きることに執着しないよう、恋だけはしないことを心に決めていた20歳の茉莉。同窓会で和人と出会い恋に落ち、彼女の最後の10年は大きく変わっていく。

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2回観ました。
1回目は「字幕付いてる」というだけの理由でなんとなく。
そしてエンドクレジットの「小坂流加に捧ぐ」の意味、、原作者が同じ病気でこの本の完成を待たずに若くして亡くなったことを知ってから、もう一度。

YouTubeで、映画の舞台挨拶で原作者の親御さんからのお手紙が読み上げられ、小松菜奈さんが号泣するシーンも見ました。

どこまでがノンフィクションで、どこまでがフィクションなのか、分からないけど、やはり命のピリオドが決められて「短いのか長いのか分からない」時間を、その「時」がいつ来るのか、ずっと先かもしれない、いや、明日かもしれない、そんな気持ちで過ごしていたのだと思うと、ご本人も、そしてご家族も苦しかったことと思います。

おこがましいけど、私自身、中学1年生の時に、「将来、聞こえなくなる」と言われて、それがいつ来るのか、真綿で首を絞められるような気持ちで過ごした日々を思い出してしまいました。

何も知らず、突然、命の終わりを迎える方が、ギリギリまで幸せに、楽しく過ごせるのでしょうか。
それとも、期限が分かっていれば、その日に向けて、いろいろな準備(心も含め)ができるのでしょうか。

正直、分かりません。

多くの人は自分の余命は知らずに毎日を過ごしています。

エンドロールで流れるRADWIMPSの「うるうびと」。
音楽を聴くことはできないけど、その歌詞がまたグッと来るのです。

全人類から10分ずつだけ寿命をもらい
君の中どうにか 埋め込めやしないのかい

それか僕の残りの 命を二等分して
かたっぽをあなたに 渡せやしないのかい

そしたら「せーの」で
来世に 乗れる

https://www.uta-net.com/song/315242/

私達が、時に無駄に過ごしてしまう、たった10分。
それを集められたら、、、。

生きたい、死にたくない、死なせたくない。
そんな思いが伝わってきて、私たちはみな、生きている今という時間を大事にしなきゃいけないんだ、、そう思わせてくれる歌なのです。

そしてもう一つ。
映画では桜の花びらが舞い散るシーンがけっこう出てきます。
桜は短い期間、多くの人を楽しませ、そして、潔く散っていきます。
だから、使われたのかなぁ、と思ったのですが、ちょっと調べてみたら、、桜の花言葉、フランス語では「忘れないで(Ne m'oubliez pas)」っていうんだそうです。

これもつながるのかなぁ。

とにかく、小松菜奈さんは、「糸」といい、こういう、ちょっと何かを抱えてる役が本当にピッタリ。
切れ長な目が、どこか、諦めたような、どこか、冷めたような、、。

他のキャストさんも好きな俳優さんばかり。
坂口健太郎さんはもちろん、山田裕貴さん、奈緒さん、原日出子さん、松重豊さん、田中智司さん、、そして黒木華さん。親とは違う距離で見守り、支えるお姉さんの役、、素敵でした。

たぶんまた観ると思います。
でもその前に原作本、そして小坂さんの死後、PCから見つかったという遺作「生きてさえいれば」を読んでみようと思います。

【キャスト】小松 菜奈、坂口 健太郎、山田 裕貴、奈緒、井口 理、黒木 華、田中 哲司、原 日出子、リリー・フランキー、松重 豊
【監督】藤井 道人
【脚本】岡田 惠和
【原作】小坂 流加「余命10年」(文芸社文庫NEO刊)
【配給】ワーナー・ブラザース 【制作年】2022年

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