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レティシア書房店長日誌
川崎市岡本太郎美術館へ行く
正月休み、川崎市にある岡本太郎美術館へ行きました。
小田急線向ケ丘遊園駅で降りてゆっくり10分ほど歩くと、大都会と思えないような林の中へ。生田緑地と呼ばれる一帯はバード・ウォッチングやハイキングもできる地域で、上り坂を7~8分ほど森林浴をしながら行くと、目指す美術館が見えてきました。
同館では、「川崎市市制100周年・開館25周年記念 『岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭』」展が開催されていました。(1月13日で終了)
岡本太郎は、1911年(明治44年)、漫画家・岡本一平と、歌人で小説家・岡本かの子の長男として生まれました。1929年(昭和4年)、父親のロンドン軍縮会議取材旅行に同行し渡欧するため、マルセイユ経由でパリに到着します。ここから、岡本の作家としての道がスタートします。
常設展示室には淺井裕介・福田美蘭が選んだ岡本太郎作品約150点が展示されています。企画展示室では、岡本太郎に挑んだ淺井裕介、福田美蘭の作品がそれぞれ10数点と、二人がインスパイアされた岡本作品が約30点ほど展示されていました。
淺井裕介(1981〜)は⼟、⽔、⼩⻨粉、テープ、ペンなどの⾝近な素材によって、あらゆる⽣物の根源を想起させるような神話的世界を描く作家で、展覧会が開催される度に、その土地で採取した⼟を絵具にして現地の⼈々と協⼒して⼤規模な作品を制作しているのだそうです。これまで私は彼の作品に接したことがなかったのですが、岡本太郎が持つ命の根源みたいなものやユーモラスな造形と通じるところがある、プリミティブな魅力のある作品群でした。
一方の福⽥美蘭は、こんな風に岡本太郎との接点を提示してみせるんだ、という楽しい驚きのある新たな視点をもたらしてくれる作品を展開しています。切り口が知的で、斬新。例えば、眼をモチーフにした岡本の絵画作品を三方の壁いっぱいに並べ、その前に市販の鳥よけの目玉風船を天井から吊り下げている。鳥を威嚇する風船と、観る者をドキッとさせる絵が響き合って、不穏な空気もあるのですが、私はクスッと笑えました。
岡本太郎の作品を、こんなに沢山まとめて鑑賞するのは初の体験でした。「太陽の塔」や、TVでの言動等でなんとなく型破りのエネルギーの塊みたいな印象でしたが、この作家の大きさ、深さに圧倒されました。
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常設展示室の岡本作品は、彼のエネルギーが爆発したような作品ばかりで、どんどんとこちらに迫ってくるのですが、じっと見ていても満腹状態にならないのが不思議です。館内は撮影自由だったので、気に入った作品をアップしておきます。初めて訪れた森の中の美術館は、とても居心地のいい場所でした。
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レティシア書房ギャラリー案内
2025年 1/8(水)〜1/19(日)古本市
1/22(水)〜2/2(日)「口を埋める」豊泉朝子展
⭐️入荷ご案内
「京都町中中華倶楽部 壬生ダンジョン編」(825円)
「オフショア4号」(1980円)
SAUNTER MAGAZINE Vol.7 「山と森とトレイルと」
いさわゆうこ「デカフェにする?」(1980円)
「新百姓2」(3150円)
青木真兵・光嶋祐介。白石英樹「僕らの『アメリカ論』」(2200円)
坂口恭平「自己否定をやめるための100日間ドリル」(1760円)
「トウキョウ下町SF」(1760円)
モノ・ホーミー「線画集2『植物の部屋』(770円)
古賀及子「気づいたこと、気づかないままのこと」(1760円)
いしいしんじ「皿をまわす」(1650円)
黒野大基「E is for Elephant」(1650円)
ミシマショウジ「茸の耳、鯨の耳」(1980円)
comic_keema「教養としてのビュッフェ」(1100円)
太田靖久「『犬の看板』から学ぶいぬのしぐさ25選」(660円)
落合加依子・佐藤友理編「ワンルームワンダーランド」(2200円)
秦直也「いっぽうそのころ」(1870円)
折小野和弘「十七回目の世界」(1870円)
藤原辰史&後藤正文「青い星、此処で僕らは何をしようか」
(サイン入り1980円)
YUMA MUKUMOTO「26歳計画」(再々入荷2200円)
モノホーミー「自習ノート」(1000円)
コンピレーション「こじらせ男子とお茶をする」(2200円)
牧野千穂「some and every」(2500円)
マンスーン「無職、川、ブックオフ」(1870円)
笠井瑠美子「製本と編集者」(1320円)
奈須浩平「BEIN' GREEN Vol.1"TOURISM"」(1300円)
小野寺伝助「クソみたいな世界を生き抜くためのパンク的読書」(825円)
小野寺伝助「クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書」(935円)
佐々木みつこ「戦前生まれの旅する速記者」(1980円)
山口史男「植物群のデザイン」(1650円)
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