とりとめのないこと2023/03/14 待たなくてもいいよ
Waiting is so hard…….
娘は、そう言いながら目の前に置かれたバナナを見ることなしに、キッチンの妻を見つめていた。
Do you wanna eat banana?
僕がそう言うと、彼女は眉をハの字にして、Yeahと言った。
どこからか種が舞い降りて、キクザキリュウキンカが庭に咲き乱れ始めている。花が咲き始めた頃から、最近ずっとこの調子で、待たなくても良いよ、と言われるのを聞きたくて、彼女はわざわざWaiting is so hard 待つのがしんどいと言うようになった。
改めて、ゆっくりだけど確実に、彼女の意思を持って語彙が彼女自身によって使われ始めているのを実感する。
おしゃべりし始めたのは七ヶ月くらいからMommy,Daddyから始まって、だんだんと自分のしたいことを要求するようになった。
待ちたくないけど、待つ。だからちょっとだけ食べてみるのいい?おねがい。
あざとさを身につけ始めたようだ。
彼女は僕が彼女の「Please」に弱いのを知っている。
先週から、The dictionary of lost words by Pip Williams を読んでいる。家族で読もうと思って原著を購入した。
お母さんのいない五歳の女の子、EsmeがDr.Murrayと辞書編集をするお父さんの傍で一生懸命に作業を見ながら真似をするように単語の書かれたたくさんの紙きれを整理していく。六歳、七歳、とEsmeの成長とともに紙切れに書かれた言葉が仕分けされていく。
Esmeは僕の娘よりだいぶ大きいけれど、言葉の持つ意味を自分の中での解釈と他のひととの解釈を比較していく様は、なんだか真似してみたくなった。
あまり難しいことを娘に押し付けるのは良くないなと思うため、それなら、たくさん娘とおしゃべりをしようと思った。本当はバナナ食べたいのに健気に妻を待つ娘が可愛い。
花が咲くように、言葉たちが花開いていく様子を日々の生活の中で目の当たりにする。
はじめての言葉との出逢い───子どもにとってもおとなにとってもしあわせなこともあれば辛いことやかなしいこともあるだろう。
良い本に出逢えた気がする。読み終わったらまた感想を書けたら書こう。
読むきっかけをありがとうございます。