[ 本屋物語 | 2022年09月04日号 | Check… 伝統とイノベーションは対立しない【#中野剛志×#適菜収×#小池淳司〈第2回〉】 | 先生はえらい #内田樹 |
伝統とイノベーションは対立しない【中野剛志×適菜収×小池淳司〈第2回〉】
実に感慨深いものがありまして、以下の文書は印象に残りました。
1回目は以下で、あわせてご覧下さい。
つまり以下のイチロー選手の哲学「合理的になるには無駄なことをたくさんしないとダメ」を中野さんが咀嚼されて、おっしゃっているような気がしないでもなく。
讃えよう「合理化」が、現在の価値観と21世紀の日本を跋扈しておりますが、今一度立ち止まって考えなければいけませんね。
無駄とも思える努力の積み重ねが、「美しさ」を維持する。フェイ・ヴァレンタイン by Cowboy Bebop の言葉もあわせて思い出した次第です。
今回は内田樹さんの名前も出てきて、興味深く拝見させて頂きました。前からもですが、最近は、適菜さんが内田樹さんの言葉や思考に関してお話されることがチョクチョクあり、"内田樹をcheckしよう実行委員会"の私といたしましては、実に感慨深いものがあります。
で、あわせて先生はえらい (ちくまプリマー新書)をこの文書の下にご紹介させて頂きます。
内田先生の何がエライかと云いますと、内田樹の研究室でおしゃっておられる「私自身は繰り返し申し上げているように、自分の著作物からの引用は「無償で、ご自由に」という立場を取っている。 引用どころか盗用も剽窃も改作も、「ご自由に」である。」にある学問・分析・思考に対する日本でも屈指の優れたintelligenceを共有しようとする姿勢であります。みんなが共有し分解し進化させれば未来の日本は良くなるに決まっています。+「ナイアガラー」内田樹なワケですから、私にとっては「内田樹はえらい」となるワケです。
追伸…最近、この高尚な精神を、成田悠輔さんの新書の冒頭の「この本の内容を再利用したい場合はジャンジャンやってしまってほしい。私に連絡する必要も名前を記す必要もない。切り抜くなりパクるなりリミックスするなり自由にしてほしい。 自分のシマや功績が増えることより、世界や政治がちょっとでも変わることの方が楽しいからだ。」を拝見させて頂き、根底に流れる同じエネルギーに、「おっ…この人は違うな…」と感じたこともあわせてこちらに明記させて頂きます。
+本屋は付録
先生はえらい (ちくまプリマー新書)
だれもが幸福になれる、常識やぶりの教育論。
著者からひとこと より
この本は「ちくまプリマー新書」という中高生対象の新しい新書シリーズの一冊として書かれたものです。
「いまどきの中高生に何か言いたいことがありますか?」と筑摩の編集者に尋ねられたときに、「『先生はえらい』かな・・」とぽつりと答えたのが、この本のきっかけになりました。
タイトルからおわかりいただけるようにこれは師弟論です。
教育論というのは世に多くありますが、師弟論というのは、最近少ないですね。
というのも、「先生はえらくない」ということがいまの日本ではほとんど常識になっているからです。
「教育基本法を改正せよ」「教育勅語を復活せよ」などと言われるみなさんはもちろん、「教師だって生身の人間だい」「教師は労働者である」という方向に力点を置かれるみなさんも、とりあえず「先生はそんなにえらいもんじゃないです、別に」ということについては衆議一決されています。
先生方のお気持ちも、あるいは先生方を罵倒される方々も、それなりに切ない事情があって語り出されているわけですから、お気持ちもわからないではありませんが、そういうことだけで果たしてよろしいのであろうか、という警世の一石を投じるのが本書の趣旨であります。
私の「先生はえらい」論は、「えらい先生とはこれこれこういうものである」というような認知的なものではありません(そんなことを言っても何も始まりません)。
あるいは「いいから黙って先生の言うことを聞きなさい」というような政治的なものでもありません(そんなことを言っても誰も聞いちゃくれません)。
そうではなくて、「先生」というのは定義上「えらい」ものである。あなたが「えらい」と思う人、それが「先生」であるという必勝不敗の同語反復を断固主張するところの書物なのであります。
私が行ったのはいわば「えらい」の構造分析です。
「他者を『えらい』と思うのは、どういう心的状況、いかなる権力的付置のことか」
という分析を試みたのです。
これなら私も理論的に熟知しています。
というのは、私がこの数年集中的に読んできたレヴィナス老師とラカン老師はどちらも「えらい」の専門家だからです。
この方たちは「えらい」というのはどういうことで、それがどのような教育的・分析的効果をもつのかということを、ほとんどそのこと「だけ」を考究され、書き残されているのでした(ということに気づかれているかたはあまりいないようですが、そうなんですよ、これが)。
私も最近まで気づきませんでしたから、偉そうなことは言えませんが。
ともあれ、レヴィナス、ラカン両老師のご高説をすべて「えらいの構造分析」という視点から読み直し、ついに「『先生はえらい』だって、『えらい人』のことを『先生』ていうんだもん」という必殺の同語反復に到達したというのがことの真相であります。
「えらい」の構造分析を通じて、師弟関係の力学的構造が解明されれば、まあ、あとは原理的には「赤子の手をひねる」ようなものです。ビジネスでいうところの「レバレッジ」(梃子)というやつですね。
「われにレバレッジを与えよ、さらば宇宙を動かしてごらんにいれよう」とまではゆきませんが、「えらい」のレバレッジ・モデルの解明を通じて、やがて日本の教育はあらたなフェーズに入ってゆくものと確信しつつ、新刊案内のご挨拶に代えさせて頂きます。
内田 樹
【目次】
先生は既製品ではありません
恋愛と学び
教習所とF‐1ドライバー
学びの主体性
なんでも根源的に考える
オチのない話
他我
前未来形で語られる過去
うなぎ
原因と結果
沈黙交易
交換とサッカー
大航海時代とアマゾン・ドットコム
話は最初に戻って
あべこべことば
誤解の幅
誤解のコミュニケーション
聴き手のいないことば
口ごもる文章
誤読する自由
あなたは何を言いたいのですか?
謎の先生
誤解者としてのアイデンティティ
沓を落とす人
先生はえらい
出版社 : 筑摩書房 (2005/1/1)
発売日 : 2005/1/1
言語 : 日本語
新書 : 175ページ
ISBN-10 : 4480687025
ISBN-13 : 978-4480687029
お時間が許されましたら、以下もあわせてご覧下さい。
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