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開店までに体重を二桁にできなければ本屋ではなくフライドチキン屋をつくります。

この物件を、本屋に改造する。

店舗の中に入りたい。

しかし、この元呉服屋さんの建物。

さすが年季が入っているだけあって、

向かって左側のシャッターだけ、開かない。



ガンガンとやってみるけれど、我々の侵入を拒むかのごとく、頑として開かない左手のシャッター。

仕方がないので向かって右側のシャッターを開ける。こっちはなんとか開いた。よかった。

この物件、呉服屋さん時代から活躍するショーウィンドウが、店の表側に残っている。

そのため、ショーウィンドウと開かずのシャッターの間の、細い隙間から侵入を試みることになった。



みんなで仲良く順番に入っていく。



まず建築士の宮本さんが入り、

次に私の妻が入った。


そして、最後に、店主である私が












……入れない。




ドン!


私だけ、入れないのだ。



お? 何で?…だと…?










腹が出ているからだよ!!





店主が、店主だけが、長らく待ちわびた物件の玄関に腹をつかえて、中に入ることができないでいる。

これは、紛うことなきブタコヤブックス。




側面のシャッターが開くことが分かったので、仕方がないから私だけ、回り道をして侵入するも、




……入口からは、出られない。




はさまっている。

完全にはさまっているのだ。



…ああ、なんと情けない姿だろう。



3年2組の36人のかわいい教え子たちよ、せんせいは、今、入口にはさまっているよ。あんなにこわいかおで、いつも偉そうなことを言っているけれど、はさまっているんだ。

もうすぐ70歳を迎えるわたしの両親は、本屋の入口に息子がはさまっている姿を見て、何を思うだろうか。まだまだ先には逝けぬ、と不安にさせるだろうか。

愛する我が娘よ、息子よ。はさまっているけれど、聞いてくれ。人生ってのは、楽しいことより、辛いことのほうが多いかもしれない。辛いときにはこの写真を見て、元気を出してほしいんだ。

妻よ。長い付き合いだ。言いたいことは分かっている。大丈夫だ。何も言わないでくれ。

建築士の宮本さん。
はさまったままでも工事は可能ですか?




最悪、はさまったまま営業することも視野に入れなくてはならない。

これは店主自らが体を張って、本屋の入口と柱にはさまって「本の栞」を体現するという現代アートでもない。

どうにもならなかったときは、はさまりカーネルサンダースとして生きていこう。ブタの名を冠したチキン屋という、ややこしい店が出来上がるぞ。











…嗚呼!!!




本屋の神様(と妻)が、痩せろと言っている!!

そうだよね、本を出したり運んだりという本屋の業務は、太っていたら難しいよね。まあ、教員業務も同様だけどね…。



物件探し。ここまで紆余曲折ありました。

見つかったかと思ったら白紙に戻ったこともありました。

ようやくいい物件との出会いがありました。

夢に見た本屋。ようやく見つかった素敵な物件。

期待に胸を膨らませ、いざ入ろう!としたら、



腹が膨らんでいるために入れません!!


残念!!!


解散!!!



今日も重いね!!こんにちは!


そりゃそうだ、107.4kgってお前、新弟子か?

本屋とか、本屋じゃないとか、はさまってるとか、はさまってないとか関係なく、痩せなきゃいかん。当たり前のことである。大切な人たちを、泣かせるわけにはいかない。

この身体で保健体育の授業で「生活習慣病に気をつけろ」とか言ってるんだから。「笑ってはいけない保健体育」じゃないんだから。



わかりました。いっそのこと、この身体もエンターテインメントにしてしまいましょう。とりあえず、二桁にしましょう。90kg台の身体に、体重を戻しましょう。99.9kgで構いません。あと大体7kgです。

というわけで




開店までに体重を二桁にできなかったら、本屋ではなく、チキン屋にします!





屋号を矢場とんにして、味噌カツ屋にしてもいいかもしれない。

いい機会なので、痩せましょう。


ここでこんなふうに言っちゃえば、やるしかない!

痩せましょう。



というわけで、ブタコヤブックス開店の日は、体重測定から始まることが決まりました。

達成できたら胴上げしてください。



本屋の神様の許しを請うべく。

ちゃんと入口から入るべく。



ブタコヤブックス店長の挑戦に、ぜひともお付き合いください。

《 食べ物を与えないでください 》