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人生に悩める大人に読んでほしい絵本 ほか【絵本の選書】

絵本の選書のお題を募集し、応募いただいたものにお返事を書いています。

今回は5つのお題のお返事を書きました。これで、このキャンペーンで取り組んだ選書のお題は合計17個になりました。

選書を考えていると、「そんな視点で絵本を調べたことないなぁ」と思うことが多く、選ぶこと考えることはなかなか大変ですが、おかげさまで勉強になっています。

本屋としては「絵本に対してこういう需要があるのか⋯」と、読者のニーズを知ることができる貴重な機会となりました。将来の絵本の棚作りに生かせるので、とてもありがたく思っているのでした。




Q.「出産祝いの絵本」ありますか?

A.『しごと』(ヘレン・オクセンバリー/文化出版局)は、どうでしょうか?

文字が一切ない絵本で、赤ちゃんがご飯を食べる、おまるに座る、バギーに乗る、お風呂に入る、哺乳瓶をくわえる、ベビーベッドで過ごす、といった様子が、そこで使う道具とともに描かれています。まるで職人とその商売道具を描いたような一冊です。

生まれたばかりの赤ちゃんには少し早いかもしれませんが、育児で疲れた親御さんがこの本を手に取り、「この子にとっては、これも全部仕事なんだな⋯」と、少しでも心を和らげてくれたら、という願いを込めておすすめします。

青野いるかさん、ありがとうございました!



Q.「人生に悩める大人に読んでほしい絵本」ありますか?

A.『ぼくを探しに』(シェル・シルヴァスタイン/訳:倉橋 由美子/講談社)は、いかがでしょうか?

超定番な絵本ですが、それでもこちらの絵本をおすすめします。
「何かが足りない それでぼくは楽しくない
足りないかけらを 探しに行く」

という文章から始まります。
読む人次第で、どのようにでも受け取り方が違う絵本だなあと思います。

欠けているピースを探し続ける主人公。苦労をしながら、あるとき、ぴったりと自分の身体にフィットするピースに出合います。

しかし、満ち足りたら満ち足りたで、欠けていたときとは違って、見えなくなってしまうものがあったり、できなくなってしまうことがあったりするということに気づくのでした。

「不完全な自分であること」を肯定してくれるような絵本だと思います。

ちやさん、ありがとうございました!


ちなみに、以前の記事で紹介した、『きみの行く道』『ぼくは ふね』

こちらの記事でも紹介した『ぼちぼちいこか』なんかも、悩める大人の胸にうったえるものがあるので、こちらもおすすめです。



Q.「小学生と保育園児の両方が楽しめる絵本」ありますか?

A.『うろおぼえ一家のおかいもの』(出口 かずみ/理論社)は、どうでしょうか?

小学生と保育園児のどちらともが楽しめる本の候補は⋯とてもたくさんあります。なので、これだ!と一冊に決めるのは、なかなか難しい。そこで、ちょうど我が家には保育園児(年長男子)と小学生(3年生女子)がいるため、この子たちの共通のお気に入り絵本はなんだろう⋯と考えたところ、この絵本が思い浮かびました。

アヒル一家がおかいものに行くことになったのですが、この家族は、全員記憶があいまいな「うろおぼえ」なファミリーです。買い物に行くために家から出たものの、何を買いに行くんだったのか、うろおぼえ。それどころか、そもそも何のために家から外に出てきたのかさえうろおぼえ。

とてもゆるい空気感が流れる素敵な絵本です。人生、うろおぼえくらいがちょうどいいのです。

坂本絃さん、ありがとうございました!



Q.「石が出てくる本」ありますか?

A.『ロバのシルベスターとまほうの小石』(ウィリアム・スタイグ/訳:せたていじ/評論社)は、どうでしょうか?

「石のお話」といえば、こちら。とても有名な作品です。私も何度か小学生相手に教室で読み聞かせを行いましたが、多くの子が最後まで、食い入るように聞いてくれたのを覚えています。

ロバのシルベスターが、願いを叶える魔法の小石を見つけます。家族をおどろかせようとうちに帰る途中で、お腹をすかせたライオンに出くわします。驚いたシルベスターは、何を思ったか、自分の姿を魔法の力で岩に変えてしまいます。危機は去ったものの岩になってしまったことで、動くことができません。ロバの姿に魔法の力で戻りたいところですが、それも叶いません。シルベスターの家族は心配で心配でたまりません。さあ、シルベスターは、どうなってしまうのでしょうか⋯。

魔法の小石と岩を中心に、家族愛がとても温かい素敵な物語です。

りょうさん、ありがとうございました!



Q.「プレゼントしたくなる絵本」ありますか?

A.『ありがとうのえほん』(フランソワーズ・セニョーボ/訳:なかがわちひろ/偕成社)は、どうでしょうか?

身近なものにたくさんの「ありがとう」を届ける絵本です。朝ご飯のゆでたまごを産んでくれた、めんどりに「ありがとう」。大事なものをしっかり守ってくれるおうちに「ありがとう」。ぽかぽかなおてんきにしてくれた、おひさまに「ありがとう」。

こんな風に、身の回りに当然のようにあるものに対して、思わず感謝の気持ちをもつことができるような内容になっています。

お世話になっているあの人に、「ありがとう」の気持ちを込めて贈るには、ぴったりの一冊ではないでしょうか。表紙もとてもかわいらしいです。

園田啓示さん、ありがとうございました!



以上、今回は5つに回答しました!
ありがたいことにたくさんいただいたお題も、残すところあと6つです。

プレゼント抽選まで、あと少しです!


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前回の選書はこちら↓↓↓


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