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『「空腹」こそ最強のクスリ』青木厚

概要

『「空腹」こそ最強のクスリ』は、医学的知見に基づき、空腹の時間を持つことが現代人の健康に与える良い影響について、青木厚先生が丁寧に解説する一冊です。本書で著者が強調しているのは、「何を食べるか」ではなく「食べない時間をつくること」が健康改善の鍵であるという考えです。具体的には1日16時間の断食、いわゆる「半日断食」を通じて、体内の「オートファジー」機能を活性化させることにより、細胞が若返り、病気の予防や老化防止につながるとしています。特に「空腹」状態を意識的に作ることで、現代人のライフスタイルに適した健康維持法としての断食を推奨しています。

本のジャンル

健康、メンタル・マインドフルネス、ライフスタイル

要約

1. 食生活の常識を覆す「空腹」理論
 現代社会では、1日3食が当たり前の習慣とされていますが、実際には過去の農業中心の時代に必要だっただけであり、現代のライフスタイルには必ずしも適していないと著者は主張します。江戸時代に根付いた1日3食の習慣は、肉体労働者にとっては合理的でしたが、主にデスクワークを行う現代人にとっては逆効果で、内臓や体全体の疲れの原因ともなります。この点で、食事の回数や間隔を見直す「空腹」を維持することが大切とされているのです。

2. 16時間断食で体をリフレッシュ
 著者が推奨する「半日断食」とは、1日16時間の断食時間を取る方法です。この16時間という時間は、体内で細胞の「オートファジー」機能が発動する最適なタイミングとされています。オートファジーとは、古い細胞が自らを分解してリサイクルし、新しい細胞を作り出すメカニズムです。この過程が進むことで、体は健康を保つための「細胞の大掃除」を行い、体内の不要な成分や老廃物を排除します。この結果、細胞が若返り、アンチエイジング効果が得られるだけでなく、生活習慣病の予防にもつながります。

3. 空腹の時間を作るメリット
 食べ物を絶えず摂取し続けると、内臓が常に働かされ、特に消化器官に負担がかかります。胃や腸が休まる時間がなくなり、結果として内臓が疲弊してしまうのです。著者はこの点を、「1日3食を摂る現代人は、内臓を酷使しているブラック企業の経営者のようだ」とユーモアを交えて表現しています。空腹の時間を意識的に作ることで、内臓に休息を与え、体全体の健康を維持しやすくなるといえます。

4. なぜ「16時間」が必要なのか
 16時間断食のメリットは、オートファジーの活性化が挙げられます。食べ物が体内に入ると、消化にはおよそ10時間かかります。この消化過程が終わってからさらに6時間断食を続けることで、体がエネルギー不足を感じ、オートファジーが始まるのです。著者はこの仕組みを例えとして「自己浄化のスイッチ」とも呼んでおり、飢餓状態になると体は自らを守るために細胞の掃除を始めるのです。このプロセスは新しい細胞を生成し、老廃物を排出するため、体はリフレッシュされます。

5. 半日断食の実践方法と続け方
 「半日断食」を始めるためには、夕食を夜8時までに済ませ、次の日の昼食まで何も食べないというシンプルなルールを守るだけです。睡眠時間を含めることで実質的に8時間だけの断食時間が必要となり、多くの人にとって負担が少ない方法です。また、どうしても空腹が我慢できない場合は、ナッツやヨーグルトなどの低糖質・高タンパクなスナックを摂ることも許容されています。この「空腹の慣れ」を段階的に進めることで、無理なく続けられる食事法として半日断食を推奨しています。

6. 空腹とメンタルの関連
 著者は、空腹に慣れることがメンタルにも良い影響を与えると述べています。空腹を感じると体が緊張状態に入りますが、この状態は逆に集中力を高める効果があります。断食中に軽い空腹を感じることで心身が活性化し、集中力が増すことを利用し、仕事や勉強に良い影響を与えると考えられています。また、空腹を「自分にとって良いこと」と捉え、前向きに受け入れることが、半日断食の成功の鍵だと強調しています。

7. 注意すべきポイントと実践例
 著者は、断食は全ての人に適しているわけではないことも述べており、特に体力が落ちている人や病気を持っている人は注意が必要です。また、筋力トレーニングなどのハードな運動を行う日には、断食を避けることが推奨されています。これにより、体に負担をかけずに効果的な断食を実施することが可能です。健康維持のためには、無理のない範囲での半日断食が推奨され、週に3日程度の頻度でも効果が期待できるとしています。

まとめと感想
本書「「空腹」こそ最強のクスリ」は、食習慣を見直すための一冊として非常に役立つ内容が詰まっています。特に、食事のあり方を単なる栄養摂取ではなく、体内の機能を最大限に引き出す手段として捉える考え方が新鮮です。空腹を「薬」として考え、健康に役立てるこの食事法は、時間がないビジネスパーソンや忙しい日常を過ごす現代人にとって理想的な方法といえるでしょう。口コミでも高評価が目立ち、「無理せず健康を手に入れたい」と思っている人にぴったりな内容となっています。気になる方はぜひリンクから詳細をご確認ください。

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