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時計の針は必ず重なる

北条選手、同期入団の藤浪選手を勝たせてやりたい、足を引っ張りたくないと考え過ぎて力んでしまったのではないでしょうか。本人がいちばんわかっているはず。矢野監督のコメントはさすがです。前監督なら間違いなくメディアの前で罵倒していたでしょう。ミスを気にする選手の傷口に塩を塗り込んでも余計に落ち込ませるだけです。気にしない選手に一言言うにしてもプライドを尊重して人前は避けるべきでしょう。ボーアが復調してきたのは矢野監督が遠征中に人目に触れない場所で諭したから、というニュースもありました(ボーアがどういう性格なのかはわかりませんけど)。

よく「プロは結果が全て」「高い給料をもらってプレーしている以上、それに見合った成果を出せない選手は叩かれても仕方ない」と言いますよね。一理あります。どんな仕事でもミスをしてお客さんに迷惑をかけたら、責められることはあります。責任のある立場であればなおさらです。でも皆さんもご存じの通り、どんなに注意深く、全力で頑張っていてもミスが出ることはあるのです。我が身に置き換えて考えると、ドライな結果論ではなくそこまでのプロセスや仕事に対する姿勢を見据えた上で責めるかどうかを決めて欲しいです。そんなの甘過ぎると言われても、せめて自分が誰かのミスに巻き込まれた時はなるべくそうしています。情けは人のためならず。

もちろん一塁まで全力で走らずにアウトになったとかなら、ファンは怒っていいでしょう。1987年の日本シリーズでクロマティが緩慢な送球をする間に、一塁走者の辻選手が一気にホームインしたことがありました。ああいうのも注意されてしかるべきです。でも先日の北条選手は違うと思うのです。

高い給料をもらっているから、有名人だから、見ず知らずの群れに浴びせられる罵詈雑言の嵐を甘んじて受けるべしというのはどこか歪んでいる気がします。ルサンチマンの正当化というか。もちろん建設的な批判と誹謗中傷は分けて考えないといけません。前者まで封じ込めてしまうのは言論の自由の委縮につながります。その違いはどこにあるのか、と質問されたら私はこう答えます。「自分がいちばんわかっていますよね」と。わからないという人は感情に任せて発信する前に一度冷静になる時間をとるのがいいと思います。

北条選手、落ち込まないで。藤浪選手には、イチ書店員として、にしのあきひろさんの「チックタック 約束の時計台」という絵本をオススメします。報われない時間はあと少し。針はもうすぐ重なるはず!


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