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砂の妖精

ロンドンから遠く離れた、田舎の一軒家に移り住んだ四人の兄弟姉妹は、ある日、サミアドという、砂の中に住む不思議な妖精に出会います。目はカタツムリ、耳はコウモリ、体はクモのようにずんぐりした妖精は、一日に一回ならば、なんなりと子どもたちの望みを適えてくれるというではありませんか…。
Amazon商品ページより

さて。昨日はやっぱり寝てしまいました💦
習慣づけの意味もあって、毎日書きたかったのですが、無理しても続かなさそうですし、悩ましいところです。
本日は子供の頃に好きだったNHKアニメ、『おねがい!サミアどん』の原作、『砂の妖精』。
アニメで知って、原作も読んでみたくてお願いして買ってもらって読みました。子供達の無茶振りのお願いなんかはアニメと変わりませんが、その結果の困りようは原作のほうがなかなかにシビアで、ハラハラ具合は原作の方が上だと思います。けどそこがまた楽しい!
本の方だとサミアドがけっこう気持ち悪い感じの見た目に描かれていて、そこはアニメの方がいいかな(笑)。アニメの方は毛が生えて帽子かぶったポリンキーみたいなちょっと可愛らしげなキャラクターだったので。原作通りの見た目だと、私だったらもう一回砂に埋めて見なかったことにするかも。だって怖いんですもん。

いわゆるエブリデイ・マジックの元祖のようなお話で、サミアドの魔法は日没までしか効力が持ちません。さらに子供達のお願いとちょっとズレてしまっているので、色んな困ったことが起きてしまうのです。きれいな顔になりたい、とお願いすると、全くの別人になってしまって家に入れなかったり、お金が欲しいとお願いしたら、今は流通していないお金で結局使えなくて欲しいものは何一つ買えなかったり。さあて、子供たち、どうする?といった感じで楽しく読んだのを覚えています。
サミアドのキャラクターもまたいいんですよね。アニメの方だともうちょっと世話焼きキャラなんですが、原作のほうはもっと偏屈で頑固者で、でもお世辞には弱くてというクセありなキャラクター。しぶしぶ子供達の願いに応じるところなんかは最終的に孫に甘い頑固なおじいちゃんみたいで面白い。そのくせちゃんと助けてあげるところがにくいですねぇ。
子供達も考えなしなことを口にしてしまう子、慎重派でよく考えてお願いをする子、それぞれ個性的で伸び伸びしていて読んでいて本当に楽しくなります。困っちゃってからのわちゃわちゃ感も可愛らしい。それにねえやのマーサがいいキャラすぎて……。綺麗な顔になった時、マーサが家に入れてくれない上に水までぶっかけられたので、サミアドにマーサが魔法に気づかないようにしてもらうのですが、そのせいでマーサが一気にお笑いキャラに(笑)。何が起きるかはぜひ読んでいただきたい!

子供の頃はそんなふうに思いませんでしたが、お話を思い出しながらこの記事を書いていると、サミアド、ドラえもんにちょっと似てるなと思っちゃいました。未来の道具と魔法という違いはありますが、一見望み通りの物のように見えて、考えなしにその効力に頼っちゃうと困ったことになるところや、考えなしのお願いをしてしまって思いもよらない事態を引き起こしてしまったり。F先生も『砂の妖精』お読みになったのかな?なんて考えるとわくわくしちゃいますね。
イギリスファンタジーの元祖と言われるネズビットですから、それはもう広く読まれていてあちこちの作品に影響を与えているわけですし、なきにしもあらずでは?なんて。

ハイファンタジーや魔法が存在してもおかしくないような古い古い時代に舞台を設定するのではなくて、当時における現代に妖精や魔法を持ち込んでいるのがこの物語の魅力です。子供達の突拍子もないお願い事や、うっかりのお願い事が巻き起こすドタバタ、そしてそうしたことを経験して次第に思慮を身につけ始める子供達の成長が魅力的に描かれていて、説教くさいところもなく本当に楽しく読めるお話なんです。
ちょっと残念なところはあるけれど、魔法というもののワクワク感はたっぷり。
ティンカーベルみたいな可愛らしい妖精ではなくて、どっちかというと妖怪に近いサミアドですが、読んでいるとどんどん好きになっていきます。そしてこうしたお話に付き物のお別れもまたやってくるのですが、それも寂しい、かなしい、だけではなくてちゃんと希望もあって、またサミアドと再会してわちゃわちゃする子供達を想像してしまいます。

思い出しながら書いているとまた読みたくなってきますね、やっぱり。アニメももう一回見たいなあ。
素敵で完璧な魔法もいいけれど、こうした綻びのある魔法もまた楽しい!

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